謎の封筒と招待状を手に入れた佐介たちは地図に書いてあった波止場にやってきた
波止場についた佐介たちはそこで光牙、紫苑、相馬、そして彼らとともにやってきていた各校の面々が集まってきていた
そこへ佐介たちが到着したのと同時刻に一隻の船がやってきて執事服の老人が佐介たちが招待客であることを確認すると船内に招き入れ出航を開始した
豪華な持てなしを受けながら佐介たちは船で海を渡りながら目的地に向かってくのだった
あれからしばらくの時が流れた。一行は部屋に案内された後、しばらくは自由な時間を過ごしていた
そんな中だった
ガチャッ!
「おいみんな!」
「「「「「「「っ?」」」」」」
「どうしたんですかかつ姉?」
いきなり扉を開けて入ってきた葛城に皆が驚き、佐介が尋ねる
「早く来い、島が見えてきたみたいだぜ!」
「「「「「「「っ!」」」」」」
葛城のその言葉に全員がハッとなり、彼女に続いて外に出る
「おっ、お前たちも来たか」
「あっ、焔ちゃん、それにみんなも!」
甲板に出てみると同じように外に出ていたほかの参加者と鉢合わせする
「…うわぁぁ~!」
そして彼らが見据える先に佐介達も目を向ける
彼らの視線の先には海の真ん中に浮かぶ孤島があった
「皆様方お揃いですね?」
「あっ、セバスチャンさん」
するとそこに数人のメイドたちを引き連れる形で佐介たちのもとにやってくるセバスチャンがいた
「あの、もしかしてあの島が?」
「はい、あれが目的地であり大会会場であるオーグ島でございます」
セバスチャンのその言葉で案の定、あそこが一行が目指している場所であることを知る
「あそこで武闘大会が開かれるんですね…僕、今からわくわくしてきました」
「ふん、そうだな。久しぶりに暴れられそうな予感がするな」ワキワキ
「えぇ、僕も同じ気持ちです」
「みんな張り切ってんな~?…まぁ、ここまで来たら俺もやるっちゃやるけどな」
佐介たちは島で行われるであろう武闘大会に早くも思いをたぎらせていた
それは他の選抜メンバーたちも同じ思いだった
「はん、何いい気になってんだお前ら?」
「『っ?』」
しかし、そんな彼らに茶々を入れる声が、そこには他の大会参加者の者たちが
「随分と盛り上がってるみてぇだがこの俺様、暴若がいる以上優勝と賞金は俺たちが頂くぜ」
「そーだそーだ!」
「いいぜ兄貴!」
「ふんがぁぁ!!」
最初に声をかけてきたのは全員が厳つく、尚且つ好戦的な見た目をした少しやばめな連中を率いているリーダー格の暴若と名乗る男だった
暴若は佐介達に半ば挑発的な物言いでそう言い放つ
「ふん、随分と勝手なことを言っているようだが君こそ何を血迷ったことを言っているのかな?」
「あぁん?」
すると今度は別の者が声をかけてきた
「張り切るのは結構だが、しかし残念だったね。この大会で勝つのは我々さ」
「んだと?」イラッ
メガネをかけた男がメガネをくいっとかけ直しながら先の男が言い放ったのと同じように優勝するのは自分たちだと主張する
「我々の持つたぐいまれな頭脳と戦闘シュミレーションの前には何人も太刀打ちできないのだよ」
「その通り、分咳さんを筆頭にあらゆる状況下の中で最善の策を見出戦う我々が勝利を収めることは必然的なのです」
理系チームのリーダーである分咳や彼の仲間たちは余ほどの自信があるのか自分たちの勝利を信じて疑わなかった
「用心なされ、慢心は…おごりを生みますぞ?」
「なに?」
すると今度はいかにも様々な宗教家といった格好をした者たちのリーダー格が話しに割って入る
「なんだお前たちは?」
「お初にお目にかかります。わたくしは雲凱。このチームの主将を務めております」
雲凱と名乗る宗教チームのリーダーが自己紹介をする
「おごりとはどういう意味かな?」クイッ
「慢心、傲慢、それらは人の心を狂わし判断を鈍らせもする。故に用心なされることを進めます」
「はぁ?…我々が驕ってるとでもいうつもりか?はっ、とんだ杞憂だね。我々がそんなへまをするわけがないだろうばかばかしい」
「あくまでおのれの道を貫く、それもまた一つの選択、ですが肝に銘じておいて下され、我々とて負けるわけにはいきませぬ。全ては神の身心のままに」
そう言うと雲凱に続くように他のメンバーたちがそれぞれの宗教の祈りのポーズをし始める
「ちょっとちょっとみんなして自己紹介しててずるいな。俺たちも混ぜてくれよ」
続いて今度はこれまた全員が何かのスポーツをしているのかユニホームに身を包んだ集団のリーダー格の男が語りかけてきた
「てなわけで俺は我通。このチームのリーダーだ。よろしくな」
すがすがしい笑顔でスポーツチームのリーダー我通が自己紹介をする
「な、なんだこいつ?」
「いかにも脳金って感じだね?」
彼を見た暴若と分咳は少しうっとおしそうな顔を浮かべる
「んでさぁ、まぁ神がどうとかはさておきさ、試合が始まってもいないのにもう勝った気でいるって言うのはよくないと思うぜ?」
「「「っ」」」キッ
我通のその言葉に三人は少しムッとなる
「勝負ってのは何が起こるかはやってみないと分からないもんだ。それなのにもう勝った気でいるのってやっぱその人が言うように慢心してるからなんじゃないか?」
「な、なんだと!」
「それにささっきから勝ち負けだけにこだわってばっかり見たいだけど勝負はなにもそれだけがすべてじゃないんじゃないの?お互いに全力を尽くして且つ楽しむことが大事なんじゃないかな?」
「…けっ、綺麗ごとをべらべらと」
そんなの我通の一言にインテリチームと不良チームが嫌悪感を抱く
大会参加者たちの気迫によって場が一気にやる気ムードが全開になっていた
そんなこんなで一行は船旅を終えて島に到着した
「ん~~!やっと着いたな?」
「そうだね」
島に着いて数時間ぶりの陸地に降り立ち、そこで焔が軽く伸びをした
目的地に到着し、一行はその光景を目の当たりにする
「…なんだか随分とさみしい感じがするね?」
「うん、なんかまるで無人島って感じだよね?」
着いたは着いたがあんまりの静けさに少し不気味さを感じさせられた
「さて、ここから先よりは歩いていきますので皆さまついてきてください」
会場に案内するといわれて一行はセバスチャンの後を付いていった
セバスチャンの後を追う中で島の様子が全員の目に止まる
「なんだかすごいところですね?」
「そうですね?」
「見るからになにかの遺跡って感じがするな?」
道を進むたびにここが昔あった遺跡ではないかと思われるような光景が広がっている
しばらく鍾乳洞を歩いていった佐介達の行く先に光が差し込んでいた
「『うわぁぁ~!?』」
その光の先に進んだ佐介達が見たのは島の中心とは思えないような神秘的な場所であり
周囲は森や湖におおわれており、その中心部には立派な城が佇んでいた
「これはすごい」
「ほへ~、最初に見た時は何の変哲もなさそうな島だな~って思ってたが、こんな場所があるなんてな?」
思いにもよらなかった光景を目の当たりにして一同は度肝を抜かされる
「皆さま、見とれられるのも分かりますが、着いてきてもらわないと困るのですが?」
「あっ、ごめんなさい」
ついうっかりしていた一行はセバスチャンのその言葉でハッと我に返り、白への一本道を進んでいくのだった