時を同じくして雅緋のほうは相変わらず母の元に通い詰めていた
至福の時間を噛み締めていた雅緋だったが、それと同時に柳生からの言葉が脳裏によみがえり
複雑な心境を抱きだしていた
するとそこに光牙がやってきて、雅緋と同じように母に会いに来たようだった
されど光牙は暫しの会話を挟み、それを終えるとまた来ることを告げ、拠点に戻っていった
拠点に戻る帰路の道を進んでいた光牙だったが、自分を追いかけてきた雅緋が引き留めてきた
雅緋は自分が仲間たちを二の次にしてまで失われた母との時間を優先しているのに
どうして光牙はそうならないのは何故かと問いただす
これに対して光牙が自分の意見と考えを包み隠さず告げると
意味深な言葉をつぶやいたと同時に、雅緋が光牙に攻撃を仕掛けてきたのだった
静かなる林の中で今激しい戦いが勃発していた
「や―っ!は―っ!でぇぇい!!」
「く――っ!?」
雅緋の唐突の攻撃を受け、光牙はひたすらそれを受け流し、回避する
しかしそれでも雅緋の攻撃が止まりを見せることはなかった
「たぁぁぁっ!」
「はぁ――っ!」
ガキィィン!
刹那、光牙が雅緋の攻撃に合わせて振りかぶったことにより互いの獲物がぶつかり合い、鍔迫り合いへと持ち込まれた
「やめろ、何をするんだ姉さん――っ!?」
「光牙、私と戦えっ!私が勝ったらお前も一緒にママしゃまとこの世界で暮らすんだ!」
「な、なんだと――っ!?」
なぜこんなことをするのかと問いただそうとする雅緋だったが
話を聞いても着れず、半ば強引に鍔迫り合いを解き、またも攻めに攻めてくる
戦う意思をもてていない光牙にとってこれほど厄介なことはなかった
そんな光牙に対して雅緋が飛んでもないことをいいだしたのだ
さしもの光牙もこれには驚きを隠せずにいた
「どういうことだ?何を勝手なことをっ!?」
「拒むことはないだろう!ママしゃまとまた一緒に暮らせるなんて最高じゃないか!これ以上ないくらい悪くないことだろうに――っ!」
「ぐっ――!?」
迫りくる雅緋の攻撃をいなしながら自分に攻撃を仕掛けてきた真意を問う
それに対して雅緋は光牙と母とともにこの世界で家族仲良く暮らすのだと主張する
「俺の話を聞いてなかったのか姉さん!過去に囚われ、それにうつつを抜かしてばかりで自分の道を耳失うようでは本末転倒だといっただろうっ!?」
「違う過去なんかじゃない!少なくとも私にとってこの世界でママしゃまと過ごす時間は「今」だ!私はママしゃまとお前とこの世界の「今」を生きるんだ――っ!」
「〈まずい、姉さん、完全にこの世界に染まってしまっているのか――このままでは姉さんは偽りの「今」の住人となってしまう、今の俺にできることがあるとすれば――っ!〉」
この世界で母と過ごす時間を自身の「今」と豪語し、それに執着している雅緋の姿を見て光牙は意を決する
「やあぁぁぁ――っ!」ブォン!
「はあ――っ!!」カキィィン!
「なっ――!?」
再び切り込んできた雅緋の斬撃を光牙がはじき返す
「……―っ!!」キリッ
「こ、光牙――っ?」
先ほどまで守りに徹していた光牙が急に反撃してきたことに驚きを覚える
「…わかったよ姉さん。そこまで言うのならやってやる。勝負してやる。俺が負ければ潔くこの世界で姉さんと母さんとともに暮らす、だが俺が勝ったら俺の言ことを聞いてもらう、それでいいか?」
「あぁ、それで構わない、絶対にお前を倒してあの日失われた家族の時間を、私とお前が幸せだったあの頃を取り戻して見せるっ!」
「そこまでの覚悟なら是非もない、来い、姉さんっ!」
「行くぞ光牙――っ!!」
「――っ!!」
その言葉を合図とし、互いの想いをかけた姉弟対決が始まる
一方そのころ、光牙たちが本格的な戦闘を開始する直前の頃
「待っていてくれ雅緋。ボクが絶対に君の目を覚まして見せるから!」
日影との戦いで自分のすべきことを見いだした忌夢が雅緋と戦うべく山道を歩いていた
ドガァァァァァァァァン!!
「な、なんだ――っ!?」アセアセ
刹那、忌夢から見て前方のほうから凄まじい音と衝撃が走った
「いったい何が起きて…ってこの先はっ?ま、まさか――っ!!」
この轟音と衝撃が発生したことに直感が働かた忌夢が急ぎ現場に向かうのだった
忌夢が異変を察知して急行している頃、光牙と雅緋の戦闘も本格化していた
「はあぁ――っ!」
「ふっ――!」
互いの得物がぶつかり合い、金属音に混じって火花が飛び交う
「っ――!はあ――っ!」
パシュシュシュシュ!!
すかさず光牙が弓を引き、トリガーを離すと光の矢が数発発射された
「なんのっ!たあっ――!!」カキキキン!
これを受け、雅緋も負けじと刀を振るい、矢を打ち落とす
「――っ!?」
「今度はこちらの番だっ!はあぁぁぁぁぁ!!」
雅緋は左手に力を集約させ、溜め込んだエネルギーを相手にぶつける彼女の秘伝忍法技【ROSSOに染まりし渦】を発動させる
進行を阻止せんと放った矢の中をかいくぐり、間合いを取ったと同時にエネルギーを集約させた左手を叩きつける
ドビュゥゥゥゥゥゥン!!
「―――~っ!?!?」
左手が触れた瞬間、集約させていたエネルギーが一気に拡散し、その衝撃によって光牙の身体は大きく後方へと吹き飛ばされる
ドスゥゥゥゥゥンッ!
「がは――っ!?」
吹き飛ばされた光牙は一本の木に激しく体を叩きつけられてしまった
「ぐっ、ぬぅぅぅ――っ!?」
シャキン!
「――っ!?」
痛みを覚えた身体で無理やりにも起き上がりを見せる
しかしその直後に刃先が自身の目と鼻の先まで突きつけられた
「終わりだ光牙、この勝負私の勝ちだ。諦めて負けを認めろ、さぁ、約束通り私たちでママしゃまと一緒にこの世界で暮らそう」
勝ちを確信したように光牙に対して誘いの言葉をささやく
「…残念ながらそれはできない」
「ど、どうしてだ?」
「なぜなら――っ俺はまだ負けを認めていないからだ!」
そんな雅緋に対して光牙はまだ自分が戦えることを主張する
「――っなら、これで止めを刺して堂々と私の勝ちを宣言してやる――っ!!」
誘いを断られ、それならばと強引にでもいうことを聞かせるべく雅緋が刀を振り上げる
「やあぁぁぁぁぁぁ――っ!!」
「まだだ!はあ――っ!!」ファサッ!
刹那、光牙は雅緋の攻撃に合わせてマントを広げる
ギュィイイイン!
刀が振りおろされる直前、マントがエネルギーを纏い、シールドを展開する
ガキィィイイイン!ジジジジジジッ!!
エネルギーシールドによって発生した防御壁が雅緋の斬撃を防御した
「なに――っ!?」
「っ~~――ふっ!はあっ!!」
「ちいっ!?」
決めたと思っていたはずが思わぬカウンターを受けてしまい、危うく弓による斬撃を食らうところだったが咄嗟に身を後ろに後退させたことで攻撃をギリギリ回避した
「さっきは危なかったが、残念だったな姉さん。俺を倒すにはあと一手足りなかったな?」
「くっ――っ!?」
「さぁ、続きと行くか」
互いに距離を取り仕切り直しとなった両者は互いに武器を構え次に備えるのだった