同じようにやってきた光牙との3人が揃う
他愛ない会話を数回した後、光牙は早々に拠点に戻ると告げその場を去っていった
帰路を行く道中、後を追いかけた雅緋に呼び止められ、問いかけをされた光牙は自分が今すべきことをなどを正直に告げる
しかしそれによって雅緋がこれまでに溜め込んでいた仲間やライバルたちとのわだかまりとこの世界での母との時間を手放す恐怖
そのジレンマにより自分を抑えきれなくなってしまった雅緋は光牙に襲い掛かる
姉弟で争うことになってしまったことに光牙は戸惑いを見せるも
「今」という偽りを主張し、過去にすがりつく雅緋を助け出すべく光牙は意を決し、この戦いに臨むのだった
光牙と雅緋が戦闘が繰り広げられる森の中
「えっと…確かこのあたりだったはず?」
雅緋の目を覚ますという己の使命のために山中を訪れていた忌夢が近くで戦闘が行われていることを知り、現場に向かおうとしていた
周囲を見渡しながら忌夢が森の中をかける
カキキキン!!
するとその直後に自分のいる場所から近しいところで金属と金属のぶつかる音や何かが爆発したりする音がする
「この音は――あっちかっ!」
先頭の音を聞いた忌夢はそれを目印に急行する
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…――あっ!?」
息を整えながら忌夢が視線を向ける先には信じられない光景が写っていた
「はあぁぁぁぁぁ――っ!!」
「ふっ、はあ――っ!!」
「こ、これは…」アセアセ
自身の目の前で光牙と雅緋のバトルが勃発していたからだ
「早くも日影の言っていたことが現実になってしまったってわけか!?」
2人の戦う様子を見て忌夢が日影との会話の中でいずれ光牙と雅緋がこうなるかもしれないといっていたが
今まさにそれが現実になってしまっていた
「こうしてはいられない!ボクも!」
状況を把握した忌夢ががすかさず2人の戦闘に介入しようとする
「――っ、やあぁぁぁぁぁぁ!!」ギュィィィィィン
「――っつ、はあっ!!」ギュィィィィィン
ガキィィィィィィィン!
ジジジジジジジジジジ!!!
「ぬあっ、ぐ――っ!?」
しかしその直後、光牙と雅緋は互いの得物に自身の力を集約させ、力を帯びたそれを同時にぶつけあった
その瞬間、エネルギーとエネルギーのぶつかり合いにより発生した風圧と衝撃波によって忌夢は動きを封じられてしまった
「な、なんて凄まじいんだ――っ!?」
必死に飛ばされまいと堪える忌夢はこの力の中心であり、互いに力をぶつけ合い、鍔迫り合いを行っている両者を視界に捉えるのがやっとだった
一方、忌夢がいることなどつい知らない光牙と雅緋は尚も戦いに集中していた
何度も何度も互いの得物をぶつけ合い、その度に激しく鳴り響く金属音と衝撃が起こる
両者とも力が拮抗している
「食らえ、【悦ばしきInferno】っ!!」
そんな中、先に仕掛けたのは雅緋であり、秘伝忍法を発動させ、斬りかかった
素早い連続の攻撃を繰り広げ、光牙を追い込む
「チェストォォォォオオオオ!!」
攻撃の最中、〆として黒炎を纏った左手で刀身をひっかき、力を増したそれを思いっきり振りかぶった
「ぐぅぅぅぅぅ――っ!?」
直前に攻撃に備え、弓を盾に防御姿勢を取る光牙だったが、雅緋の技の威力は凄まじく
防御の姿勢のままに地面を削りながら後方に吹き飛ばされていった
「ちぃっ!…――っ?」
なんとか持ち堪え、踏ん張りぬいた光牙は追撃を警戒して視線を雅緋のいる方へ向ける
しかしその先には先ほどまでいた雅緋の姿がない
何処にいるのかと光牙はあたりを見渡す
「私はここだ――っ!」
「――っ!?」
その声は頭上の方から聞こえた
急ぎ上空を見上げるとそこには漆黒に染まった6枚の羽根を広げて空を舞う雅緋の姿があった
「これで留めだ!絶・秘伝忍法!【深淵のParadiso】――っ!!」
技の名を叫ぶとともに雅緋が黒刀を連続で振るう
黒炎纏いし刀身から斬撃波が飛ぶ、雅緋が刀を振るう度にそれは放たれ光牙に向かっていった
「――~~っ!?!?」
光牙目がけて飛んでいく斬撃波が地面に着弾するとともに何度も何度も凄まじい爆発を起こす
「これ、大丈夫なのか?」アセアセ
その様子を窺っていた忌夢がこの惨状に度肝を抜く
数秒後、攻撃を止めたこと爆発も収まり、あたりが煙に包まれる
「…私の勝ちだ。これからはママしゃまと光牙とずっと一緒だ…」
自分のありったけを注ぎ込んだ全力の一撃をお見舞いしたのだ
さしもの光牙とてひとたまりもないだろう、雅緋が勝利を確認する
少しして、煙が晴れていき、下の様子が露わになる
「――っ!?」
だがその瞬間に雅緋は目を疑った
なぜならいるはずの場所に光牙の姿がないのだから
「光牙がいないっ!?ど、どこだ――っ!?」
先の光牙のように雅緋があたりを探す
「俺ならここだ」
「――っ!?」
自身の背後から声が聞こえ、振り替えるとそこには自分二対して背を向けている光牙の姿があった
「光牙っ!?」
突如として光牙が現れたことに驚く、よく見ると目の前にいる光牙は装甲を纏っている
そう、そこにいる彼の強化姿である時竜の光牙であった
「…っそうか!光牙のやつ雅緋が攻撃を繰り出す直前に転身したんだ。それで能力を使ってこの状況を生み出したんだ!?」
忌夢がこの状況を読み取り、状況を理解した
一方、驚きのあまり固まっている雅緋はというと
数秒硬直していたがハッとなったように我に返り、身構える
「くっ――!」
「無駄だ。この姿になった以上、姉さんに勝ち目はない」
「…な、なめるよ光牙、はああああああ――っ!」
これ以上は力の差が歴然、それを熟知しているからこそ光牙は雅緋に負けを認めさせようとする
だがそれで納得できるほど雅緋は物分かりがよくなく、果敢にも光牙に挑んでいった
「はぁぁぁああ――っ!」
間合いを詰め、背中を向けて佇む光牙に斬りかかる
「やぁああっ…――っ!?」
しかし振り下ろされた刀が光牙の後頭部を捉えた直前に雅緋の動きが止まる
どうしたことかと驚きの顔を浮かべた次の瞬間
ジャキンという斬撃音が響くとともに雅緋の体に一線が刻まれる
「な―な、な、にぃ…っ!?」
「…もうすでに、”勝負はついている”」
光牙は背中越しに語る
この状況の真意、それは光牙が自身の能力である【タイムストリーム】によって時間の坂巻を発動させた際に止めの一撃を与えていたのだ
防御不能の攻撃によって止めのダメージが雅緋は光牙に斬りかかった祭に発生し、今に至るのだ
「この勝負…俺の勝ちだ」
「――がはっ――っ」ドサッ
その言葉を聞いた矢先、雅緋はダメージの影響によって意識を失い、展開させていた黒翼が消え、落下する
「雅緋っ!?」
雅緋が落ちていく光景におもわず忌夢が声を荒げる
「――っ!」バッ
しかし、落ちていく雅緋をすかさず光牙が抱きかかえ、落下の心配はなくなった
「…姉さん」
光牙はゆっくり降下しながら自身の腕に抱かれる姉の顔をまじまじと複雑そうな顔をしながら見つめるのだった