応戦するも圧倒的な力量の差に手も足も出せなかった
さらには決死の覚悟で挑んだ佐介も持てる力を出したにも関わらず何も変えることはできなかった
もはや万事休すかと思われた時、そこに光牙たちが現れ、状況は急展開を迎えた
光牙たちは部外者である仮面の忍たちの乱暴狼藉を見過ごすことはできないと
佐介たちに変わって仮面の忍たちに戦いを挑むのだった…
紅蓮竜隊の登場から始まり、そこから戦闘に発展し、事態は誰もが思いもよらぬ展開に発展する
「ふっ、たぁっ、せいっ!!」
獅子の面の忍を相手に光牙が華麗な剣裁きを駆使して次々と攻撃を繰り出す
対する相手もそれを軽快な動きで躱していく
「(やるな。ならこれでどうだ!)」
相手も相当の手練れであることを確認した光牙は次なる手に出る
弓矢の捌き方が先程よりも速く、それでいて荒々しくなる
この急な変化に獅子の面の忍も避けるという動きがほぼなくなり、攻撃の殆どを徒手空拳で防いでいった
「(ここだ!)」
獅子の面の忍の動きが自分の想定内になった事を確認した光牙は一気に攻めに出た
「ふっ、はあっ!」
「〜〜っ!?」
刹那、獅子の面の忍が光牙の弓矢を受け止める
だがそれこそが光牙の策略であり
その瞬間、光牙がトリガーを引き縛り、それを離したことで先端からエネルギーの矢が放たれた
至近距離からの攻撃と勢いによって獅子の面の忍は大きく後方へと後退させられた
「…少しは効いたか?」
「…っ」
ダメージを受けて尚、リアクションが薄いが面越しからでもムッとしているだろうことは伺えた
一方、その様子を見た虎の面の忍が其方の方に意識が逸れていた
「おいおい、戦闘中だってのによそ見とは随分と余裕だな!」
「っ!」
よそ見をしている虎の面の忍にむかって焔が攻撃をしてきた
すかさず目線を焔のほうに向けると両手で懐から苦無を取り出し、構える
「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」
「~~~っ!!」
焔の繰り出す六爪の奥州が虎の面の忍を追い込んでいく
「どりゃっ!!」
続けざまに六爪を振り下ろした瞬間、虎の面の忍の持っていた苦無が粉々に砕け散った
「まだまだ!」
これに勢いをつけた焔が更なる追撃を行おうとする
「たあっ!」
「っ!」シュン!
「なにっ!?」
しかしその直後、振り下ろされた片方の爪の攻撃を虎の面の忍が素早い足捌きでそれを弾き飛ばす
攻撃を返された事で焔の体制が崩れる
「〜〜っ!」
「うわぁぁぁ!?」
体制を崩した焔にすかさず回転回し蹴りを繰り出し、彼女を大きく後方へと吹き飛ばした
「焔ちゃん、大丈夫!」
「あっ、あぁ…油断したぜ」アセアセ
「ほんなら今度は…わしの番や!」
焔の次に日影がナイフを構え、虎の面の忍に向かっていく
「いねや!!」
「っ!!」
間合いに入ると同時に日影がナイフを振りおろし、虎の面の忍が蹴りを繰り出し、双方の一撃がぶつかり合った
一方、獅子の面の忍にダメージを負わせた光牙もまた戦闘を継続させていた
「はあっ!!」
「っ!!」
光牙が引き絞ったトリガーを離し、数発の矢を放つ
これに対して真っ向から次々と押し寄せてくる矢を素手で粉砕しながら迫っていく
そうはさせまいと尚も矢を放つ光牙だったが、その甲斐もなく獅子の面の忍は矢の中を掻い潜り、間合いに入る
「っ!!」
「ぐぅっ!?」
咄嗟に弓矢を盾に防御するも、勢い余って後ろに後退させられた
「ぬぅぅ…っ!?」
獅子の面の忍の拳による一撃は防ぎ切った光牙の手を痺れさせる程だった
「(…こいつといい、あの女といい、なんて強さなんだ?こんな奴らがいたとはな?)」
これまでのを経て獅子と虎の面の忍の実力はかなりのものだ
下手をしたら上忍クラスかそれ以上…そう、例えるならカグラ級といっても差し支えないであろう程に
そんなことを考えながら光牙は次に備えて身構えていた
「…っ」スッ
「っ?」
だがここでどうしたことか獅子の面の忍が唐突に構えを解いた
直後に虎の面の忍とアイコンタクトを送る
「…っ!!」シュタッ!
虎の面の忍がそれに気付くや日影との戦闘を中断し、獅子の面の忍の元に戻った
暫しの沈黙が訪れる
一瞬、虎の仮面の忍が佐介の方に視線を向ける
その様子を見ていた獅子の面の忍が動きを見せ
剛腕で大地を殴り、それにより砂煙が発生する
数秒後に砂煙事態は消えたが仮面の忍たちの姿が無くなっていた
「あっ、あいつら逃げやがった!畜生逃げるなんて卑怯な奴らめ!」
「こらこら、焔ちゃん。どうどう」
2人が居なくなったことに焔は勝ち逃げされたような気がして悔しがっていた
春花がそんな焔を宥めていた
「(いや、奴らは逃げたというより潮時と感じて撤退したんだろうな…奴らがその気になれば俺を含めここにいる全員がただでは起きんだろうからな)」
しかしそんな焔とは逆に光牙は少し緊張の糸が切れて肩の荷が下りた思いだった
あの時、獅子の面の忍は明らかに本気ではなかった。
虎の面の忍にしてもそう、恐らくは力も半分くらいしか出してはいない筈だ
もしあのまま戦闘が長丁場となり、相手が本気で来たとしたら状況は今ほど穏やかではないことが容易に想像できた
そう思わせるほどに彼らの実力は計り知れなかった
「焔ちゃん。それにみなさん、ありがとうございました。おかげで助かりました」
「ふん、勘違いするなよ。私はただあんな奴らにお前たちを潰されるのが気にいらなかっただけだ」
光牙が考え事をしている他所で焔たちは駆け寄ってきた飛鳥たちと会話を弾ませていた
「…光牙くん」
「っ?」
「本当に感謝してもしきれません、あのままだったら僕らは今頃」
「…気にするな、俺たちはただ得体の知れない輩に獲物を横取りされたくなかったから戦った。ただそれだけのことだ。礼を言われるようなことではない」
すると光牙の元に佐介がやってきて同じようにお礼を述べてきた
それに対して光牙は気にするなと告げる
佐介の様子からしてとても沈んでいるようであることが目に見えてわかるほど落ち込んでいた
「(…しかし奴らの目的は一体何なんだ?気のせいか奴らは必要に佐介のことを狙っていたようにも見えたが?)」
ここで光牙は再び頭を悩ませる
あの二人に佐介たちが襲われていた様子を見ていると何故か佐介に狙いが集中していたようにも思われた
「奴ら、何者なんだ?」
仮面の忍たちが何を企んでいるのか、疑問が尽きない事件だった
「…ここまでくれば問題ないだろう」
「えぇ、そうね」
半蔵学院の拠点から距離の離れた人気のない場所で仮面の忍たちは動きを止めた
「…もう、いくら目的の為とはいえあの子のこと、ちょっと痛め過ぎじゃないかしら?あんまり度が過ぎると怒るわよ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、俺だって好きでこうしてる訳じゃないことくらいお前だってわかってるだろう?」
「それはそれこれはこれよ」
「無茶苦茶だ~」
二人っきりになるや虎の面の忍が獅子の面の忍に文句を言ってきた
彼女の剣幕に押され、獅子の面の忍はタジタジだった
「まぁともかく、お膳立てはこれくらいでいいだろう」
「そうね。そろそろ、次の段階に移りましょう…ようやくこの時が来たのね、夢にまで見たこの時が」
「あぁ、そうだ。17年、長い道程だったが、これで漸く報われるんだ」
意味深な言葉を告げながら2人は被っていた面を外し、露わになった素顔を見せ合いながら笑みを浮かべるのだった