閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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仮面の忍たち2人によって絶体絶命のピンチに陥ってしまった佐介たち半蔵学院チーム


光牙たち紅蓮竜隊の助太刀によってどうにか最悪の事態だけは免れた


なんとか危機を脱することができた半蔵学院チームではあったがその表情はどこか暗いものがあった


特にそれが色濃く出てしまっている佐介は飛鳥に気分転換に散歩すると告げ、単身森の中へ


当てもなく彷徨いながら自責の念に苛まれていると


どこからともなくただよう香ばしい匂いにつられて森を抜けると一軒家を発見する


家があることを不思議がっていた直後に佐介の前に1人の女性が現れ


名乗っていないのに自分の名を呼びフレンドリーに接してくる彼女に佐介はされるがままに家の中に入れられてしまう


さらには遅れて男性の人が帰宅し、女性同様に佐介のことを知っている様子だった


次から次に予想外の事態に佐介はただただ混乱するのだった



衝撃の告白 

 

 

匂いにつられ、森の中にある一軒家にやってきた佐介は謎の2人と出会って早々に若干強引に室内に入れられ、ともに食卓を囲むという状況になっていた

 

 

「はい、おまたせ。これはあなたの分よ」

 

 

「あっ、ど、どうも…」

 

 

状況がまるで掴めないまま、一先ず場の流れに身を任せていると女性が佐介の分として山盛りにした白飯を差し出す

 

 

「…さて、じゃあそろそろいただくとしよう」

 

 

「そうね。ほら佐介」

 

 

「は、はい」

 

 

「「「いただきます(い、いただきます)」」」

 

 

準備が整い、全員が席に着いたタイミングを見計らい、男性の呼びかけの後

 

 

3人は食膳の祈りの言葉を口にし、食事を始める

 

 

未だ少し呆然としている佐介を他所に2人は先んじて1口2口となれた様子で食事を始める

 

 

美味しそうに料理を食べる2人を見ている内に佐介はまたごくりと唾を飲み込んだ

 

 

「どうしたの佐介?ほら、冷めないうちにお食べなさい」

 

 

「あっ…はい。で、では…いただきます」ハムッ

 

 

見かねたように女性が佐介に声をかけ、今一度料理を勧めた

 

 

色とりどりの料理と香ばしい食欲によって佐介は我慢の限界を迎え、言われるがままに料理を一口食べる

 

 

「…――っ!?」

 

 

刹那、その瞬間に佐介は言葉では言い表せないような感覚に陥る

 

 

料理の美味しさは勿論の事だが、それとは別に、どこか心にしみこんでくるような優しい味

 

 

まるで真心がこれでもかと詰め込んであるかのように

 

 

「…おいしい、おいしい――っ!」

 

 

「そう?ふふっ、よかったわ」

 

 

「…ふっ」

 

 

口にした料理のあまりの美味しさに言葉を漏らす佐介を見て男性と女性は優し気な笑みを浮かべる

 

 

「はむっ、はむはむ――っ~♪」

 

 

その一口を皮切りとし、佐介は次々と他の料理にも箸を伸ばし、口にする

 

 

他の料理も同じくらい今までに食べたものを遥かに凌ぐ程の美味であり、それが佐介の箸運びを留めさせなかった

 

 

この上ない上室とも思える料理とその度に2人が見せる笑み、この場にあるのは正に幸せという空間だった

 

 

食事を始めてから数分が経過した

 

 

テーブルの上にあった色とりどりの料理は見事にきれいに無くなっていた

 

 

「はぁ~…――っお腹いっぱいです~…ごちそうさまでした」

 

 

満足感と余韻に浸りながら佐介はこの素晴らしい料理の数々に感謝の気持ちを思いながら食後の言葉を口にした

 

 

「お粗末様…綺麗に食べてくれて私も作った甲斐があったわ♪」

 

 

女性は佐介が満足いった顔をしているのを見てとても喜んでいた

 

 

「――っ」

 

 

「ん?どうした佐介?」

 

 

すると先程まで幸せな顔を浮かべていた佐介が急に何か思い詰めたよう顔を浮かべているのに気付いた男性が尋ねる

 

 

「…この料理たちを食べる中、僕は美味しさを感じながらもどこか違和感を覚えてました。でも今気付いたんですが、ここに並んでいた料理、これらは全て”僕が好きなもの”ばかりでした」

 

 

美味しさのあまり気づくのが遅れてしまっていたがよくよく思い返してみれば並んでいた料理の全てが佐介が好物としているものばかりであった

 

 

「…ご馳走になっておきながらこんなことを聞くのは失礼だということは分かっていますが、それでもあえて尋ねます。貴方達は一体何者なんですか?」

 

 

佐介は真剣な面持ちで2人に理由を尋ねた

 

 

この料理もそうだが、何より気になるのはこの2人自身だ

 

 

どことなく自分に似てるようにも見えるし、名乗ってもいない筈なのに自分の名を知っていた

 

 

大体の検討こそついている。しかしながらもしそれが事実ならば自分にとってこの上ない驚きが待ち受けている

 

 

佐介は逸る気持ちをぐっとこらえながら2人が口を開く瞬間を待った

 

 

「…そろそろ焦らすのはやめにしてやろうか。この子がこんなにも真剣な顔をしていることだし」

 

 

「そうね。そうしましょうか」

 

 

2人の方も佐介の真剣な顔を見てこれ以上理由を話さないでいるのは失礼と感じたようだった

 

 

「…最初に会った時言ってたわね?「どうして自分の名を知っているのか」って」

 

 

「は、はい?」

 

 

「そんなの簡単よ。だって……貴方にその名前を付けたのは”私達”なんだから」

 

 

「…っ!?」

 

 

女性からのその言葉を聞いた瞬間、佐介の全身に電流が走るかのような衝撃が走る

 

 

「…い、今、なんて?」アセアセ

 

 

「貴方の名前を付けたのは私たちって言ったのよ」

 

 

聞き間違いかもしれないと確認を取る佐介だったが、女性から帰ってきたのは同じ答えだった

 

 

「僕に…名前を付けた…じゃあ、貴方方は…もしや?」

 

 

彼女のその言葉から佐介は頭の中で必死に考え

 

 

そしてそれが導き出す答えに辿り着いた佐介は恐る恐る尋ねる

 

 

「あぁ、そうだよ佐介、俺達は……”お前の父さんと母さんだ”」

 

 

「――っ!?」

 

 

刹那、佐介は嘗て無い程の衝撃が全身を駆け巡る

 

 

開いた口が閉じれないくらいに

 

 

「あ…あなたたちが、あなたたちが僕の…お父さんと、お母さん!?」アセアセ

 

 

「そうよ。私の名は虎白(こはく)

 

 

「俺は黒獅《こくし》だ」

 

 

 

驚愕の事実によりたどたどしく言葉を発する佐介に2人はこくんと頷き、自らの名を名乗る

 

 

「で、でも待って下さい!?そんな…どうして、えっ?これってどういうこと?えっ?…えぇ!?」アセアセ

 

 

突然の告白に佐介はこの上ないほど気が動転していた

 

 

薄々そうではないかと心のどこかで思いつつも、いざ言われると実感が湧かな過ぎたからだ

 

 

「…佐介、落ち着いて」ギュッ

 

 

「――っ!?」

 

 

理解が追い付けず、混乱している佐介をが優しく抱きしめる

 

 

抱き寄せられると共に頭を撫でられた佐介はどこか安堵の感情を浮かべる

 

 

知らないはずなのにどこか懐かしい、ずっと昔にこうされていたような気がしてならなかった

 

 

「ごめんね、急に親だって言われて驚いたよね?…でも本当よ。私たちはあなたに会う日を心待ちにしていたの。そして今、やっとあなたに会えた…会いたかったわ」

 

 

「…っおかあ…さん?」

 

 

「成長したお前の姿をこの目で見ることができて俺たちは今、とても幸せなんだ」

 

 

「おとう…さん?」

 

 

虎白《こはく》に続くように黒獅《こくし》もまた佐介を抱きしめる

 

 

「(優しい感じがする…本当に、この2人が僕の、父さん…母さん…?)」

 

 

未だに状況を整理出来てはいない、しかし今の佐介にはそれを考える必要性を感じさせないくらい高揚感に包まれた

 

 

そうして佐介もまた自分の事を愛おしそうに接してくれている2人をぎゅっと抱きしめるのだった

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