しかし思うような答えを見いだすことができず、未だ己の中にある闇の残留思念のせいで力の制御を取り戻せない自分への不甲斐なさを感じていた
様々なことが重みとなり、悩み苦しむ紫苑に雪泉が語り掛け、励まそうとする
その中で雪泉が紫苑に己の内の闇を否定するのではなく受け入れることを提案した
思いもよらぬ雪泉からの言葉に驚きを隠せない紫苑だったが、同時に彼女の言葉も一理あるとも思っていた
自分がこの先に進むためにも、叢たちの目を覚まさせるためにも、紫苑は今まで拒絶していた闇の力を受け入れることを決意したのだった
ここはとある人気のない場所、どこか不気味な雰囲気を醸し出しているその場所に5つの影が
「響、体の調子はどうなの?」
「――っえぇ、どうにか回復出来たわ。もう平気よ」
蛇女の拠点に再び奇襲を掛け、相馬達を追い詰めようとした響達だったが
相馬の思わぬ反撃を受けてしまった響を連れて一同は隠れ家としているこの場所に逃げ込み、回復に専念していた
受けたダメージは響の想像以上だったのか今に至るまで回復がままならなかった状態だっだが漸くそれも完治したようだった
「ありがとう、みんなのお陰で十分に鋭気を養うことは出来た事だし、今度こそ相馬の奴に目にものを見せてやるわ。積年積もった私達の恨みをねっ!」
漸く動けるようになった事で今度こそ相馬への復讐を完遂して見せると響が意気込みを入れる
「ちょっと待って響、逸る気持ちはわかるけど、今の相馬くんは私達の想像を超える強さだよ、正直今の私達に勝算があるとは思えないよ?」
「…っ」
するとそこに智美が割って入り、今の相馬の実力は自分達が知っていたあの頃とは比較にならなかった
いくらプロトシノヴァイザーによって力を強くした自分達が戦いを挑んでも返り討ちにされてしまうのではないかと危惧しての意見だった
「……智美の意見も尤もだわ、今のあいつは一筋縄でいく相手じゃない。だけど、忘れたかしら?私達には”奥の手”があるのを」
「「「「――っ!?」」」」ピクッ
奥の手、そう響が口にした瞬間、他の4人が絶句した様子を見せる
「ほ、本気なの響ちゃん?」アセアセ
「えぇっ、本気よ」
「マジで”あれを”使おうっての?」アセアセ
「いざとなれば…ね」
真剣な顔を向けているところから彼女が本気なのだと全員が理解した
「…もしそれを使えば私達はもう後戻りは出来ないんだよ?」
「わかってる。でも、このままで終わらせてたまるもんですか、あいつに…相馬に私達を裏切った罪をその身に刻み付け、絶望の淵に叩き込むまではね!」
「「「「――っ」」」」
例えどんなリスクを払おうとも目的の為なら惜しむ必要はないと意を決したように響はその意思を伝える
「…わかったよ。貴女がそこまでの覚悟なら私達ももう何も言わない、どこまでもついてくよ響」
「ありがとう…さぁ、そろそろ行くわよ。これが私たちとあいつらとの最後の戦いよ!」
「「「「おー!!」」」」
「(…待ってなさい相馬、あんたに刻み込んでやるわ私達の悲しみと怒りを何倍にもしてね!)」
皆の意思も決まり、響達は最後の戦いに臨むべく決戦の地に向かっていった
目的はただ一つ……相馬を倒す為に
一方、響達が動きを見せ始めた時より少し経った頃のこと、場所は変わり蛇女の拠点へ
「行くぞ忌夢――っ!」
「受けて立つよ雅緋――っ!」
雅緋と忌夢が次の戦いに備えて修行の為の模擬試合を行っている最中であり、他のメンバーもそれを見物していた
「張り切ってるわねあの二人~♪」
「しょうがないわよ。この間はあんなに張り切ってたのに誰かさんがアホやらかしたせいで結局活躍出来なかったんだから~」
「ぐぅ〜―っ…うっ、うるせーようるせー!」
呆れたような様子でチラッと視線を向ける両備に対して子供みたいな反応をする相馬だった
そうして一時の安らぎを満喫している時だった
「……――っ?」ピクッ
「ん?どうした紫?」
「なによ急に?」
突然挙動不審な動きをする紫に皆の視線が行く
「……知ってる。この臭い…これは、あの人達のだ――っ!?」
臭いを嗅ぎながら険しい表情を浮かべている様子からして只事ではないと一同は察した
正にその直後だった
シュンシュンシュンシュンシュン!!
「「「「「「――っ!?」」」」」」
相馬達の前に降り立つ5つの影が現れた
「あらあら、何か楽しそうにしているじゃない?…随分と待たせちゃったわね、調子はどうかしら、相馬?」
「…お前らっ」アセアセ
満を持したと言わんばかりに響達が相馬達と対面する
「やはりお前達か、性懲りもない奴らだな?」
「随分と言ってくれるわね蛇女の筆頭さん?でもね、あんた達の都合なんて此方には関係ない話よ。私達の目的はただ一つ、相馬、あんたに絶望を思い知らせてやる事、それを果たさずして私達は成仏する事もできない、あんたを八つ裂きにして初めて私達の渇きは満たされるのよ!」
「響っ」
この手で自分達を裏切った相馬を亡き者にする
でなければこの世に縛り付けられたままだと響は告げる
「…さてと、くだらない問答はやめにしましょう。私たちの間に言葉なんかいらない、必要なのはどちらかが生き残り、どちらかが消える。それだけよ――っ!」
「「「「――っ!!」」」」
響のその言葉をトリガーに全員がプロトシノヴァイザーを装備した
「「「「「転身――っ!」」」」」
巻物をスロットに差し込んだ瞬間、響たちの身体が禍々しいオーラに包まれる
徐々に身体のあちらこちらが変貌を遂げていった
【「ぐぅ――っうぉおおお!!」】
【「「「「――っ!!」」」」】
変身が完了し、人外の姿となった響達が鋭い眼光を向け此方を睨み付けていた
「雅緋、みんな!」
「あぁ、行くぞ!」
「「「「「「忍、転身!!」」」」」」
彼女達の変身に合わせて相馬達も巻物を手にし
雅緋達は巻物を掲げ、相馬はシノヴァイザーのスロットに巻物をセットすると共にボタンを押す
展開された巻物と炎がそれぞれの身を包み、直後、装束を纏いて6人が颯爽と姿を見せた
「こっちは準備出来たぜ、どっからでもかかってきなよ」
【「そう、なら遠慮なく行かせてもらうわよ。覚悟しなさい、これが私たちとあんたたちの最後の戦いよ!」】
「望むところだ。決着つけてやんよ!!」
相馬と響が言葉を交わすと共に駆け出していった
「私達も続くぞ!」
「「「「っ!!」」」」
【「それはこっちだって同じだよ!」】
【「「「っ!!」」」】
2人後を追うように雅緋たちと智美達も一斉に駆け出した
そして相馬と響が互いの間合いに入る
「うおおおおおおおっ!」
【「でいぃぃやぁぁぁぁぁぁ!」】
先頭の2人のぶつかり合いによって相馬達と響達との最終決戦が幕を開けた