相馬たちか自分たちか、どちらかが全てを失い、滅びることを宣言し、最終決戦が幕を開ける
だが、大手を振って挑んだ響たちだったが、勢いは最初だけであり
この千年祭を通して心も体も強くなった相馬たちに劣勢に追い込まれていった
次々と仲間たちがやられていく様を見た響は兼ねてより計画していたことを実行する
プロトシノヴァイザーに他の4人の生成エネルギーを取り込み、自身に差し込んだ
そうして響は自分を含めた5人全員の力を手にし、更なる異形の姿に成り果てた
手にした力は凄まじいものであり、それぞれの力が一つとなったことで想像を絶するものとなった
響を止めるため絶・忍転身した相馬が挑むも、その相馬を相手に優勢に立っていた
驚く相馬を隙を突いて地面に叩きつけ、強烈な一撃を響が繰り出し、相馬を苦しめるのだった
響の技が相馬に炸裂する
ギュイイイイイィィィィィイン!!
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
「相馬くーん!?」
ボバァァァァァァァン!
「「「「「――っ!?」」」」」
両奈が声を上げるのと同時に相馬を苦しめていたエネルギーフィールドが大爆発を起こした
周囲にその爆発による衝撃波が広がる
軈て、爆発と衝撃波の勢いが収まりを見せた
「……どう、なったの?」
「相馬くんは?」アセアセ
両備が今の状況がどうなっているのかと辺りを見渡し、両奈は相馬の安否を気遣う
最中、前方に見える煙が晴れていった
「「「「「――っ!?」」」」」
次の瞬間、彼女達の目に映ったのは絶望にも等しい現実
「…相馬」アセアセ
「嘘だろ…」アセアセ
地面に横たわるのは響が放った一撃によってボロボロになった相馬の姿だった
「そ、相馬くーん!?」
「あっ、両奈!待ちなさい!?」
居ても立っても居られないと両奈が駆け出し、その跡を両備が追う
「相馬くん、相馬くんしっかり!」
「ちょっと相馬、返事くらい…しな、さいよ?」
駆け付けた両奈がすかさず抱き上げ、揺すってみるも反応がない相馬に両備も声を掛けようとするが次の瞬間、声が詰まった
何故なら覗いてみた相馬は目が虚ろでまるで屍に語り変えているのかと思うくらい何の反応もないのだ
「ねぇ、相馬くん?どうしたの?なんとか言ってよ相馬くーん!?」
信じたくない思いを強引に拭い去ろうと両奈が相馬を激しく揺する
しかしそれでも相馬からの反応は返ってこない
「どうなっているんだ?相馬に何が?」
「…多分、心を砕かれたんじゃ?」
「なんだって?」
紫が相馬の起こっている事態に心当たりがあるように皆に説明する
【「そいつの言うとおりよ。相馬の心は私の技で完全に砕いてやったわ」】
「…そんな」
【「生きているのに何も考えることも感じる事もできない、ただあるのは虚無のみ。これぞ正に生き地獄よね?ふふふ、あははは!やった、やったわ!とうとう復讐を果たしたわ!ザマァみろ!あははははははは!」】
心を砕かれた相馬を前に皆が絶望に打ち拉がれ、それを見ていた響が嘲笑うように笑い声をあげていた
「…貴様、許さん!!」
【「――っ?」】
「よくも相馬を!」
最中、雅緋が響に突っかかる
仲間である相馬をこんな目に合わせた響を許せないと怒りを示していた
【「あら、随分な物言いね?復讐を果たしたと言った事は取り消すわ、本当は見逃して上げようかとも思ったけど、あんた達を消し去ってあいつから大切なものを根こそぎ奪い取る。死よりも恐ろしい究極の絶望を与えてこそ私達の復讐は真に完遂されるもの」】
「なにをごちゃごちゃいっている!お前だけは断じて許さんぞ!はぁぁぁぁぁ!!」
そういうと同時に雅緋は全身に力を込める
「絶・秘伝忍法【Divine Judgement】!!」
絶・秘伝忍法を発動させると黒炎が彼女を包み込む
次の瞬間、黒炎が払われたとともに現れたのは白かった髪がメッシュの部分を除き、黒髪に染まり、背中には白と黒の計6つの翼を纏った雅緋の姿だった
「雅緋、それって?」
「あぁ、これはきっと母さんが私に力をくれたんだと思う」
母の顔を思い浮かべながら拳をぎゅっと握りしめる
「…そっか」
「うん…よし、いくぞみんな!」
「「「「おー!」」」」
【「無駄なことを、全員まとめて消し去ってやるわ!」】
相馬の敵を取るために、その思いを胸に雅緋たちは響に向かっていった
一方その頃…
『「う…ううん、ここは?」』
気を失っていた相馬の意識が目を覚ますとそこは何も無い様な、周囲は薄黒く地面にはミストの様な物が充満していた
『「ソウ、起きたか?」』
『「アオ!」』
目覚めた相馬の元に蒼馬が語り掛けてきた
『「無事だったんだな」』
『「それはどうかな?どう見てもこの状況は大丈夫とは言えぬと思うが?」』
『「えっと、確か俺達は響と戦ってて、そうだ、んで響の技を食らっちまったんだ!」』
『「故に俺達はここにいるって訳だな」』
この場合に自分達がいる事については理解したが、打開策が思い付いたわけでもないので2人は途方に暮れていた
『「つうか、この周囲に浮いてるこの泡みたいなもんはいったい?」』
『「おい、迂闊に触れては」』
『「えっ?」』ピトッ
『「おい!?」』
周りに浮かぶふわふわした泡の様な物に興味を示し、蒼馬の忠告も空しくそれに触れてしまった
指が触れた瞬間に泡が割れる
《「相馬、私怖いよ…どうしたらいい?」》
《「心配ないさ、きっといつか救いはあるさ」》
《「…うん」》
『「――っ!?」』
泡割れた瞬間、相馬達の周囲にモニターの様な物が展開され、そこに映し出されたのはまだ研究所に居た頃の響と自分の姿だった
『「今のは…あの日の?」』
『「…っ」』ピトッ
何が起こったのかわからない相馬を他所に蒼馬が別の泡に触れる
すると同じようにモニターのようなものが展開される
《「元気出せって、ほらほら変な顔~!」》
《「ぷふ!何ふざけてんのよw」》
《「俺達でいつかここを出て、で再び自由に生きるんだ!」》
《「「「「「おーー!!」」」」」》
泡を割るたびにいろんな場面が映し出される
『「アオ、これって?」』
『「この様子から察するに…これは響の思い出や心が形となった物だと思う」』
『「響の…ん?これは?」』
蒼馬が泡がどういうものなのかを考察していると相馬の前に他の泡と違い、少し濁りのある泡が現れた
その泡が弾けた瞬間にモニターが表示される
《「そ、そんな…」》
次に移ったのは響達が研究員と対面しているシーン
会話からして実験の結果、相馬が一番の適任だと聞かされ、響達は落第したと宣言された瞬間
泣き崩れる他の4人の様子や絶望を感じている響自身の様子が移っていた
『「アオ、もしかしてこれ?」』
『「恐らく俺が生まれてすぐの事だろうな」』
嘗て相馬は響達より素質があると見込まれ、日に日に過酷になっていく研究の恐怖などから無意識に蒼馬を生んだ
この映像は恐らくその後の出来事であり、相馬達もあずかり知らぬところだろうことが伺えた
更に映像は進んでいき、次々と遷るのは残された5人が研究という名の拷問を受ける様子
挙句の果てに化け物にされ、負荷に耐え切れず、1人、また1人と命を落とした
《「どうして…どうしてよ…一緒だって、言ってくれたのに……許さない、…そうま、ゆ…る…さない」》
恨み辛みの言葉を残し、響の命もそこで尽きた
『「…っ」』アセアセ
『「ソウ、大丈夫か?」』
『「…俺さ、あいつらとこの世界で再会した時自分が勝手な解釈している卑怯者だなって思ってたんだ。意識を取り戻した時さ、楓の事も考えてたけど、同時にあいつらの事も考えてた。でもあいつらならきっと大丈夫だろうって勝手に決め付けてさ、こんな辛い思いをしてたんだってことも知ろうとしてなかった。俺ってとんだ大馬鹿野郎だよな」』
映像を見て響達の思いを知って彼女達が自分を恨むのも当然だと改めて思い知った
『「だからこそ俺が、俺が今度こそあいつらを救ってやらなきゃいけないんだ。それが今の俺に出来る事だから」』
『「…なら、こんな所で立ち止まっちゃいられないな」』
『「おうとも!その為にもこっから出るぞ!」』
『「出るって、どうやって出るつもりだ?」』
言うのは簡単だが術が無いと蒼馬が指摘する
『「んなもん決まってんだろ…”気合い”だ!」』
『「…はぁ~」』
危機的状況にも関わらず脳金なことを言うなと蒼馬が呆れ果てていた
『「行くぞ!ん~~!!ほらアオ、何してんだお前もやれよ~~~!!!」』
『「まったく、お前と居ると退屈しないな…んん!!」』
釣られるように声を荒げ、意識を集中させる
『「はぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」』
『「うおおおおおおお!根性おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」』
静止する精神世界に相馬と蒼馬の力み声が激しく鳴り響くのだった