佐介の秘伝忍法技をくらい、下に叩きつけられ、佐介は煙の中にいる紫苑に語りかける
そんな時だった
「うん?」
ふと、とあるものが落ちており拾い上げる
「これは…?」ムニュムニュ
それは柔らかいものだった
なぜこんなものがと不思議がっていると
「よくもやってくれましたね…」
「っ!?」
煙の中からこちらに向かって歩み寄ってくる紫苑の影が
「
驚く佐介だが、その間にも煙の中から歩み寄ってくるとともに煙から紫苑が出てきた
衣服はボロボロとなり、埃にまみれた姿で
「っ……うん?」
ふと、佐介は気づいた
なんと紫苑の右の胸元部分がえぐれていた
「て、ていうことは…?」
先ほど佐介が手に取り触っていたのは紫苑の胸だった
「きゃあぁぁぁぁぁ!!!ごごご、ごめんなさい!ぼぼぼ僕はなんてことを!?男として僕はとんでもないことを!!」アタフタ
あわてふためく佐介、だが、そんな彼をよそに胸をえぐられた当の本人である紫苑は平然としていた
「そんなに慌てなくてもいいです。大したことではないですし」
「どどどどうすれば…えっ?」
紫苑の言う言葉にキョトンとする佐介だったが、次の瞬間、紫苑が行った行動にド肝を抜かされる
「…っ!!」ブチンッ
「えっ!?」
なんと紫苑は自らの手で残っているもう一つの胸を引きちぎった
「なっ!?なんてことを!?」
「いいんですよここまで来たら隠す必要はないから…ほら、よく見てください」
「えっ?」
えぐった胸元をよく見てみるとえぐられたのなら普通は大量に出血しててもおかしくないのに
出血どころかむしろ無キズ
さらによく見ると綺麗な胸元と乳首が
「これは…どう言う?」
「簡単なことです。…」
このあと、紫苑の口から衝撃的告白に佐介は言葉を失う
「"僕は男"だから…ね」
「………………えぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~Σ(◎□◎;)!!!!!!!??????」
※「ジャンジャジャーン!今明かされる衝撃の事実~!」
そう、紫苑はなんと男だったのである。それには佐介にとってもあまりの衝撃だった
「こればかりは感謝しますよ佐介くん。四季の呪縛から僕をこの姿に戻してくれて」
「えっ?」
正体がバレたのになぜかすがすがしい表情を浮かべる紫苑に佐介は小首をかしげる
「でも、どう言うことです?なぜあなたは女性のふりを?」
「好きでこんなことをしているんじゃないんです。それもこれもあの子たちのせいなんですから」プンスカ
「えっ?」
「まぁ、そんなことよりも…。さぁそろそろ茶番は終わりとして続きと行きましょう。もう、遠慮はしません。僕も本気で君を倒します!!」
「っ!?」
ボロボロになった衣服を脱ぎ去り、動きやすい格好になると紫苑は力を入れ始めると全身から力をたぎらせる
「っ、はぁぁぁぁ!!!」
先んずれば人を制すと言わんばかりに佐介が攻める
しかし
「はぁぁ!!」
「ふんっはぁぁぁぁ!!!」
「なっ!?うわあぁぁぁぁぁ!!!」
紫苑は広範囲に及ぶ衝撃波を発生させ佐介を吹き飛ばした
「…先ほどは油断しましたが、もうその手は喰らいません。君のその姿、攻撃から推理するにスピードや連続攻撃には優れてますが…攻撃力のなさが弱点」キリッ
「っ!?」
「…どうやら図星のようですね」
弱点を見つけた紫苑は軽く笑みを漏らすと両手を胸の位置でかざす力を込める
「炎が奏でるあやかしの歌に抱かれて……眠りなさい!」
すると手と手の間の隙間からあかき紋章が浮かび上がる
「秘伝忍法・聖火の
ボォォォォォォォォォォ!
両手を突き出した瞬間、紋章を通して高熱の炎が迫り来る
「っ!!」
佐介はそれをかわす
「いけぇ!獣王拳!!」
ガォォォォォォォ!!!!
右手を突き出したとともに獅子の顔を象った気弾を放つ
「クリア・ウォール!!」
先ほどの光の壁を発生させ、獣王拳を防ぐ
そして突破すること叶わずにかき消される
「なっ!?」
「残念ですが、最初に使ったクリア・ウォールは本来の威力の半分しか使ってませんでしたので破ることが出来ましたが、今のが本来のクリア・ウォール。何人も通さない絶対防御壁なのです」
「そんな…」
そう思う佐介の心は絶望に染まりつつあった
「さぁ、そろそろこの戦いを終わらせましょう。過ちを犯しているとはいえ、同じ善忍を志す者として…敬意を込め、僕からのせめてもの慈悲。苦しまぬように一撃で仕留めてあげましょう。」
力を込めるとともにひとりでに紫苑の体が宙に浮かぶ
「水火風の三元素の調べを聴いて、震え上がりなさい! 超、秘伝忍法!」
そう叫んだ瞬間、紫苑の背後に美しい身なりに頭部に生えた立派な角を持った馬の姿をした動物が浮かび上がる。
それは紫苑の秘伝忍法動物「ユニコーン」であった
さらにその直後、紫苑の周りに3色の紋章が浮かび上がる
上に炎の力を示す赤色の紋章、右に水の力を示す青色の紋章、左に風の力を示す緑色の紋章がそれぞれ現れる
そしてそれぞれの紋章に自然エネルギーが溜まっていく
「っ、それでも、だとしても!!超・秘伝忍法!!」
負けられない思いを胸に獣波拳の構えをとり、気をため紫苑の攻撃を迎え撃とうとする
そしてその時は来た
「これで最後です!
ビィィィィィィィィィィィィ!!!!
「滅・獅子王獣波!!」
ガォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
二人の技がぶつかり合う
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ぬぅぅぅん…!!!!」
互いに一歩も譲らぬ攻防を繰り広げる
だが、それでも徐々に、そして確実に佐介の技を押していく
「…ぐっぅぅぅぅ!」
「…佐介くん。君はよく頑張りました。それは賞賛に値します。…しかし、僕らも負けられない理由がある!!黒影さまの掲げし理想の世界を実現するためにも僕たちは君たちを倒し、その理想を実現する義務があるのだから!!」
そう叫んだ瞬間、さらに力は強まっていった
そしてついに……
「ぐあぁぁぁぁ!!!」
押し負けた佐介に紫苑の技が炸裂する
その瞬間
ドバァァァァァァァン!!!!!!
大爆発がおこり、あたりを煙が充満する
そして煙が晴れた瞬間、そこに写るものは身体も衣服もボロボロながらも倒れず立ちつくす佐介と
それを見下ろす紫苑の姿が
「僕の
「はぁ…はぁ…はぁ…、いっ…いった…はず、です…ぼく…たちは……まけるわけには…いかないん、です…」
体は傷だらけなうえに血も吹き出しており、既に体力も限界で立っているのもやっと
なのにそんな彼を立たせ続けるもの
それは仲間たちとともに過ごした思い出の場所であるこの半蔵学院を守りたいという想いだけだった
「……」
それを見た紫苑は力を弱めてゆっくりと降下する
「…な、にを?」
「いえ、少し気がかわりまして、あなたのその頑張りに免じで今日のところは引いてあげましょう。続きはまたの機会に取っておくことにします」
「えっ?」
「単純なこと、君の力と精神力はなかなかのもの、もし君がその思い貫きたいのなら、もっと強くなることです…それでも僕に勝つのは無理でしょうがね」
そう言うと紫苑は佐介に背を向ける
「…次の戦いまでに体調を整えておくことです。……では」
紫苑はそう言い残し、去るとともに他の月閃メンバーをつれて自分たちの母校へと帰ったいった
「はぁ…はぁ…。はや、く…みんなの、もと…に」ドサッ
飛鳥たちのもとに行こうとするも力を使い果たしその場に倒れ込む佐介だった