しかし、佐介の両親による温かな歓迎を受け、さらには身の上話しに花が咲いたりと家の中は和やかや雰囲気に包まれていった
そうしてすっかりお邪魔しまった飛鳥たちは佐介と共に拠点への帰路を進んでいった
だがその道中、飛鳥がスマフォを忘れたと反転して取りに戻った
家の前に到着した飛鳥がドアをノックしようとした矢先、家の中から佐介両親の会話が耳に入る
ドア越しに聞き耳を立てる飛鳥が聞いた会話の内容はお世辞にも穏やかなものではなかった
仮面の忍たちの正体が佐介両親だと知り右往左往している飛鳥だったが
直後に佐介母と対面し、なんとか誤魔化そうとするも
耳元で囁かれた言葉で手遅れだったことを察するのも束の間、佐介父による手刀によって気絶させられ、家の中に入れられてしまうのだった
佐介達半蔵学院が彼の両親と会っていた頃と同時刻の事
見解の相違により対立してしまい、月閃女学館の拠点から離れ、森の中に身を隠すことを余儀なくされた紫苑と雪泉は…
森の中にはただただ静けさが漂っていた
ドゴォォォォォォォン!!
刹那、その静けさを打ち消すが如き轟音と衝撃が森を駆け巡る
轟音が止み、再び沈黙が訪れるも森の一部は数キロメートル先まで衝撃波が通ったと思われる跡が刻まれていた
「――…っ」
その跡を刻み込んだ者の影がそこに佇んでいた…紫苑だった
紫苑はゆっくりと突き出していた手を下げた
「紫苑…」
「…雪泉か?」
するとそこに見計らったように雪泉が近付いてきた
「調子の程はいかがですか?」
「…まだ完璧とはいかない、けど、力の扱いに関してはだいぶ慣れてきた気がするよ」
雪泉の問いに対して紫苑は少しずつではあれど、力の使い方について慣れ始めてきていることを話す
「それにしても……闇の力、中々に凄いですね。私の言葉は少し軽躁だったのかもしれませんね」
一方の雪泉は紫苑によって壮絶となっている森の慣れの果ての様子を目にし
その力の凄さを前にコントロールできるようになればいいんだと安易に言ったことを少し後悔している様子だった
「ううん、そんなことないよ雪泉。あの時雪泉があぁ言ってくれなかったら僕は未だに答えを見出すこともできずただ悩んでるしかなかった。それもこれも雪泉のおかげだよ、ありがとう」
「い、いえっ、そんな…///」
心から感謝を込めた言葉に頬を赤くしながら雪泉は照れた様子だった
「(…黒影様。僕はこの力を使い熟してみせます。見ていてください)」
恩師であり、自分たちにとって掛け替えのない存在である黒影に対し、紫苑は心の中で誓いを立てていた
「さて、じゃあもうひと踏ん張り行こうかな」
「うふふ、逸る気持ちは分かりますが無茶は禁物ですよ」
「分かってるよ。心配かけるようなことはしないさ」
「だといいですけど」ニッコリ
軽く休憩も済ませたと紫苑は再び修業に励もうと気合いを入れていた
ドゴォン!!バゴォォォォン!!
「「――っ!?」」
その時、突如として轟音が鳴り、紫苑と雪泉はすかさず視線を向ける
「紫苑、もしやこれは?」アセアセ
「うん、どうやら拠点が襲われているようだね?」
音の位置から察するに月閃女学館の拠点が他のチームからの襲撃を受けているのだと想像できた
「行こう雪泉、急いで皆の元に向かわなければ――っ!」バッ!
「待ってください紫苑――っ!」ガバッ!
「y、雪泉、どうして止めるのさ!?」
拠点が襲撃を受けているということは叢たちが危ないかもしれない
そう感じた紫苑だが、その直前に雪泉が前に立ち、それを阻止する
「今あなたはこれまでの度重なる修業の影響で気力も体力も万全ではありません、何よりまだ力を完全に御したわけでもない、そんな状態であなたを戦わせるわけにはいきません。ここは私が行きます。だから紫苑は待っていてください!」
「雪泉…っ」
力の制御のために紫苑はここまで相応の時間を費やし、それによって体力などが低下している
今のままでまともに戦うことは敵わない、故に紫苑に待機してもらい自分が叢たちの救援に向かうと雪泉は告げる
必死な顔を目にし、雪泉が自分のことを思って言ってくれているという意思を紫苑はしみじみと感じていた
「…ありがとう雪泉、君の気持ちはとても嬉しい…でもそれでも僕は行くよ」
「な、何故ですか?」
「皆が大変な目にあっているかもしれないのに自分だけ安全なところでのうのうとしているなんてできないよ」
「…紫苑」
例え無茶だとわかっていても仲間のためにもじっとなんてしてられない
紫苑の曇りのない眼差しは雪泉にそれを訴えているようだった
「……もう、あなたは本当、そういうところは頑固なんですから」
「なっ…///!?」アセアセ
困ったように笑いながら言う雪泉のその言葉に紫苑は少し照れくさそうな顔を浮かべていた
「わかりました、一緒に行きましょう。ですがこれだけは約束してください、絶対に無茶だけはしないと」
「…うん。わかったよ」
根負けした雪泉が紫苑の願いを聞き入れるも無茶はしないように頑なに念押しをする
そんな雪泉に対して紫苑は約束をかわす
「さぁ行こう、雪泉!」
「はい、参りましょう紫苑!」
「「――っ!!」」
2人は意を決して拠点に…仲間たちの元へと向かっていった
一方その頃、拠点の方ではというと今正に戦闘の真っ最中だった
「てやぁぁぁぁぁ――っ!!」
「やぁぁぁぁぁぁ――っ!!」
「えぇぇぇぇぇい――っ!!」
夜桜、四季、美野里が敵チームに対して技を繰り出す
カキン!キンキン!バッ!!
「ぬぅぅぅ――っ!?」ザザァァァ!
金属と金属のぶつかり合う音が響いた直後
地面を削りながら後方に後退するのは叢だった
叢は体制を立て直すや自身の前に立つ相手を睨み据える
「やりますね叢さん、ですがいつまで持ちますかね?」ニヤリ
「ちぃ――っ!」
目の前に立ちはだかるのは詠
そう、月閃の拠点を襲ってきた襲撃者は焔紅蓮竜隊だったのだ
「前回は紫苑さんにやられて不覚をとてしまいましたが今度はそうはいきません、リベンジ、果たさせてもらいますよ」
前に一度襲撃に来た際には紫苑によって撤退を余儀なくされてしまったが、その雪辱を晴らすために詠たちはやってきたのだった
「覚悟してください、ヤグラを壊させてもらいます――っ!」
「させん!ヤグラを壊させるなど断じてさせるものか――っ!!」
ヤグラを壊そうとする詠とそれを阻止しようとする叢が同時に駆け出し、間合いを詰めていく
「お前たちの好きにはさせないぞぉぉぉぉ――っ!!」
先制して叢が一気に畳み掛けようと仕掛ける
「叢さん、甘いですわ!たあっ――っ!」ブォン!
「なっ、しま――っ!?」パキィン!
だがしかし、それを見切った詠がこれをかわし、その隙を突き、一撃を入れる
カンカランカラン!
放たれた一撃が叢の面を剥がしてしまった
「「「――っ!?」」」
「~~~――っ!?」アセアセ
「…ふっ」ニヤリ
その様子を見た3人が叢に視線を向け
お面を剥がされた叢は吹き飛ばされながらに驚愕の顔を浮かべ
詠はしてやったりと口元に笑みをこぼすのだった