しかし状況は思っていたよりも劣勢二追い込まれてしまうという事態に陥っていく
功を焦った叢は詠の反撃を受け、戦意喪失状態に陥ってしまう
さらにはそれを皮切りに共に戦う仲間たちが次々とやられ、動きを封じられてしまう
絶望の中、詠は今の叢たちは黒影といたいがゆえに教示を捨ててしまってるが故に容易くやられてしまうのだと告げる
それとともに自身の中には叢たちや光牙たちへの羨ましさを感じていることを告げ
彼女の思いを知ったことにより叢は意気消沈してしまう
勝利を確信した詠のたちはそれを盤石にすべくヤグラを破壊しにかかる
だが、その直後、その危機に颯爽と現れるかのように雪泉が舞い降りた
詠達紅蓮竜隊によって制圧されかかっていた月閃の拠点の危機に颯爽と現れ、叢の前に降り立ったのは雪泉だった
「大丈夫ですか叢さん?」
「ゆ、雪泉、…戻ってきてくれたんですね?」アセアセ
「はい、さぁ、手を取って…」
へたり込む叢に雪泉が手を差し伸べ、立ち上がりを補助する
「よもやこのタイミングで増援が来るとは思いませんでした。ですがだからと言ってあなただけでわたくしたちを相手にしようというのですか?」
雪泉の乱入に多少の驚きはあったが、だからと言って状況が覆ったわけではないと詠は主張する
「何か早とちりしてはおりませんか?」
「なんですって?」
「忘れてはいませんよね?月閃の忍はもう一人いるのを」
余裕綽綽という感じに笑みを浮かべながら雪泉はそう答える
「まさか――っ!?」
「そう、そのまさかですよ」
「「「「――っ!?」」」」
詠がハッとした顔を浮かべた直後、明後日の方向から声が聞こえ、振り返るとそこにはこちらに向かって美しき銀の髪をなびかせながら歩み寄る姿が
「…あの姿は!」
「うん、間違いないよ、あれは!」
「紫苑ちゃんだ!」
夜桜、四季、美野里の声が響く中、歩みを止め、皆の前に現れたのは雪泉より少し後にやってきた紫苑だった
紫苑の到着に月閃陣営は更なる歓喜に包まれる
「し、紫苑、まで?」アセアセ
「当然です。紫苑も私同様皆さんの危機を見過ごすようなことはしません」
叢が紫苑の登場に驚きを見せ、雪泉は当然のことだと言い聞かせていた
「…みんな、無事かい?」
「は、はい、わしらは大丈夫です、大丈夫なのですが…」
「そういう紫苑ちんはどうしちゃったのさ?」
「なんかすごいボロボロだけど?」
3人の言うことはもっともだった
現れた紫苑はいつも着ている忍装束がボロボロな状態であり、顔などもどこか汚れていた
「ちょっと色々あってね。募る話しは後にしよう、まずはこの状況を打開するのが最優先だ」
そういうと紫苑は紅蓮竜隊の面々に視線を送る
「まったく次から次へとっ!」
「慌てないで未来、確かにちょっと計算が狂っちゃったけど問題はないわ」
事が上手く運ばない事にイライラを募らせる未来を春花が宥める
「漸くご登場ね紫苑くん?でも今頃来た所でこの状況をひっくり返せるとでも?」
「さてどうでしょうね?やってみなければわからないですよ?」
「うふふっ、確かに君の言う通りね」
春花は紫苑に対してこの状況がそう簡単に覆せるものではないと主張する
これに対して紫苑も負けじと絶対はないというが如く答える
「雪泉、みんなを避難させて。ここは僕がやる」
「紫苑…わかりました。任せます」
その指示に雪泉は二つ返事で了承した
「ありがとう」
「さぁ皆さん、こちらです!」
「で、でも雪泉?」
「いいからこちらへ!」
何か言いたげな叢の言葉を無視して距離を取っていった
「どういうつもりかしら?」
「…なにがです?」
「もしやあなた一人で私たちを相手にする気かしら?」
「無論そのつもりですよ」
紫苑が雪泉に対して告げた指示に対して春花はどうにも解せないといった顔を浮かべながら
自分たちを1人で相手にするかと問うとさも当たり前というが如くきっぱりという紫苑に呆気に取られてしまった
「大きく出たわね?何やってたのかは知らないけれど、随分とボロボロじゃない、にも関わらず私たちを相手にするだなんて、ちょっと舐めすぎてるんじゃないかしら?」
「そんなつもりはないし、ふざけているつもりもない……僕は戦う――っ!」
そういうと紫苑は身構えた
「言ったわね、だったらもう遠慮なく行かせてもらうわ。未来、日影ちゃん、先行して、詠ちゃんは後衛で待機っ!」
「はい春花さま――っ!」
「ほーい――っ!」
「かしこまりました――っ!」
春花の指示で未来と日影が先行し、詠は後方で出方を伺う、それを確認した後、彼女も後を追うように向かう
徐々に間合いが狭まっていく
「ど、どうしましょう雪泉さん、こ、このままでは紫苑さんが」アセアセ
「雪泉、わしらも加勢しましょう、今の紫苑には荷が重いすぎます!」
「そうだよやばいよ雪泉ちん!」
この状況に雪泉以外の面々は右往左往していた
「みなさん、心配はいりません。紫苑なら大丈夫です」
「「「えっ?」」」
そんな彼女たちとは対照的に雪泉は心配はいらないと告げる
「な、なにを言ってるんですか雪泉!」
「今の紫苑ちんは術が使えないんだよ!蓮華ちんたちには辛うじて勝てたけど今度もそう上手くいくとは限らないんだよ!」
「…みなさんは紫苑を信じられないんですか?」
「「「「っ…」」」」ピクッ
唐突に呟かれた雪泉のその一言に皆が沈黙する
「信じてください、紫苑を」
皆の心配を他所に雪泉は紫苑を見守る
ただ、彼のことを信じて
一方、その間にも紫苑は仕掛けてきた春花たちに応戦していた
「はあっ!」
「てぇい!」
「っ!?」
先行した未来と日影の攻撃を紫苑は躱していた
だが、すぐ直後に春花も加わってきた
「知ってるのよ紫苑くん、今の貴方、術がまともに使えないのよね!そんな身で私達を相手に出来ると思わないでね!」
3人の奥州が押し寄せる
「~~っ!!」
防戦一方な状況が続く中、紫苑は僅かな隙を突いて後方に後退する
「諦めなさいよ、今回ばかりはあんたたちに勝ち目なんかないわよ」
優先であることに味を占めた未来が紫苑に告げる
「確かに、今までの僕はみんなの足を引っ張ってしまっていました…でも、それもここで終わらせます」
「どういうことかしら?」
「…僕はこの力を恐れ、以降は自らの意思で禁じていた力でした。だけど、もう迷わない、みんなの未来を守るため、僕は自身の枷を外します!」
そうとともに紫苑が全身から力んだ時だった
紫苑の身体から黒いオーラが湧き上がる
突如の事態に紅蓮竜隊はおろか雪泉を除く他の4人も驚いている
「はあぁぁ~~~!ふっ、はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
刹那、更に力を込めた瞬間、紫苑の気が暴発し、衝撃波を生む
皆吹き飛ばされまいと踏ん張りを見せていた
やがて衝撃波が収まりを見せ、視界が回復する
「「「「なっ!?」」」」
視界が戻って早々に春花たちは驚愕する
なぜなら、目の前にいるのはいつもの紫苑ではなかった
白は黒へと変わっていたのだから