そんな彼に内に封じられし光の竜の語りかけによって光牙は精神世界で彼女と対面する
過去様々な出来事を語る中、光牙は光の竜に今まで会えなかった感謝の言葉を送る
彼の言葉を聞いた光の竜はかつての出来事を思い出し
自分たちを生み出し、道を指し示した者の姿と彼が重なったような感覚を覚えた
最中、光牙は彼女の真名を呼ぶと共に自らの意思で封印を解き、彼女を解放した
後悔や迷いなど一切なく、今の光牙から感じられるのはただ信頼の感情
幾度となく衝突を繰り返したりした両者はついに真の意味で互いを認め、本当の相棒へと至ったのだった
紫苑の活躍によって辛くも紅蓮竜隊を退けることに成功した月閃女学館はというと……
「紫苑、大丈夫ですか?」ソワソワ
「う、うん……なんとかね……痛っ」
あの戦いで闇の力を開放し、見事勝利を収める事が出来た紫苑ではあったが
まだ完全に扱い切れていなかった力を使った反動によるものなのか
その数分後には激しい体の不調と倦怠感を訴え、現在、雪泉に看病されながらチェアーの上に横たわっていた
「本当に平気ですか?」
「大丈夫、そんなに心配することはないよ。僕がまだ慣れていない癖に力を使ったせいでこうなっただけなんだから、雪泉が気にする必要はないよ」
「で、ですが…」
不安そうな顔をする雪泉に心配をかけまいと紫苑は笑みを見せて宥める
「紫苑、雪泉!」
「「っ?」」
最中、2人は自分たちの名を呼ぶ声に気付き振り返る
するとそこには叢がこちらを真っ直ぐに見ていた
「どうしたの叢?」
「……すまなかった!」バッ
「「えっ!?」」
いきなり叢が勢いよく土下座してきたことに紫苑と雪泉が驚きの表情を浮かべる
「む、叢さん、どうなさったのですか!ほ、ほら、顔を上げてください」アセアセ
突然のことに動揺しつつ慌てて雪泉がやめさせようとする
「いや、そんなことはできん、今回の失態は全て我の責任だ。我が我が儘を言ったばかりにこのような事態を招き、剰え紫苑に無理をさせてしまった。到底謝って済む話しでもないことは承知している。だが、それでも一言謝らなければ我の気が収まらんのだ!」
雪泉の説得を断固として断り、ひたすらに謝罪の誠意を示していた
「「「紫苑、雪泉(ちん)(ちゃん)!!」」」
「っ?」
「み、みなさん?」
「「「ごめんなさい――っ!」」」バッ
すると今度は叢に続くかのように夜桜、四季、美野里の3人も土下座してきた
「わしらからも謝罪させてください、わしらも叢の意見に賛同した身、わしらも同罪じゃ!」
「そうだよ。あたしたちだってむらっちの考えに賛同したわけだし、だから紫苑ちん、雪泉ちん。むらっちのこと責めるんならあたしたちも一緒に責めて!」
「みのり、どんなお説教も聞くから、だから叢ちゃんだけを悪く言わないで!」
「…み、みんな」
叢と同じく夜桜たちも精魂込めた土下座で謝罪をする
3人のその姿は叢1人だけに責任を背負わせまいとする思いがひしひしと感じられた
「よ、夜桜さんたちまで…」アセアセ
自分たちを除く4人全員が土下座してくるこの事態に雪泉はどうしたらいいのかと右往左往してしまっていた
「…ん、んん――っ!?」グヌヌ
この事態を見て何か思い立ったように紫苑がまだ倦怠感に襲われている身を起き上がらせる
「――うわっ!?」ガタッ
「し、紫苑――っ!!」ダキッ
起き上がろうとしてバランスを崩しかけた紫苑を見た雪泉が慌てて彼に駆け寄るとともに素早く身を支えた
「だ、大丈夫ですか!?」
「はぁ…はぁ…う、うん。ありがとう雪泉、助かったよ」
危ないところを助けてくれた雪泉に紫苑が感謝の気持ちを伝える
「もう、ダメですよ無理をしては!?」アセアセ
「あはは…うん、雪泉の言う通りだね。でもごめん、どうしてもみんなに伝えたいことがあるんだ。少しの間肩を貸してくれないかな?」
「…わかりました」
叢たちと話したいという紫苑の願いを聞き入れた雪泉はゆっくりと彼女たちの元に向かう
「雪泉、ここまででいいよ。座るくらいは自分でできるから」
「はい、わかりました」
やがて寸前までくると雪泉にもう大丈夫と雪泉に声をかけ
願いを聞いた雪泉が離れると紫苑はゆっくりと膝を曲げて目線を同じにする
「…っ」ニコッ
「し、紫苑……」ソワソワ
優しい顔を向けてこちらを見る紫苑を見て叢はソワソワしているせいか彼の顔を真っ直ぐに見れなかった
「「「……っ」」」ソワソワ
無論それは他の3人も同じだった
気まずい空気が場を包み込む
するとそんな時だった
「……っ?」ピクッ
叢は頭に気持ちの良い感覚を覚える
気づくとそれは紫苑が自身の頭を撫でてくれているからだった
「叢、それにみんな。そんなに自分を責めてはいけないよ。僕らは別に気にして何かいないよ」
撫でるのをやめると紫苑は4人全員に語り掛ける
自責の念に駆られる必要はないと慰めの言葉を送る
「だ、だが紫苑、さっきも言ったはずだ。この惨状を招くきっかけを作ったのは我が黒影様と離れたくない言い出してしまったからなんだぞ、我がみんなの気持ちも顧みず自分の気持ちを優先させてしまったからこんなことになってしまったんだ…我が、我のせいで…」
だが叢は今回のことがよほど根強いのか未だ自責の念に駆られ、自身の行いを悔やみだす
「叢さん…」
の姿に皆、どう声をかけていいのか悩ましく思ってしまった
「…みんな覚えてるかい?学炎祭の時のことを?」
「「「「えっ?」」」」
不意に唐突な紫苑の質問に全員が反応する
「…学炎祭」
かつて自分たちが発端となり開催したあの対抗戦の出来事
皆の脳裏に浮かぶは今や友と呼べる3組との壮絶な戦いに身を投じる自分たちの姿
黒影様の理想を成就すべく活動していた時のことを
今にして思えばあの戦いは自分たちを成長させるよききっかけを与えたものであったと思える出来事ではある
「(紫苑はいったいなにを考えているのでしょう?)」
雪泉はどうして紫苑がここで学炎祭の話しをするのか、その真意についてを考えていた
「…あの時、僕は黒影様の正義の正しさを証明するために躍起になり周りが見えてなかった。雪泉たちの心境の変化を知りつつも自分の我を通してばかりだった。今にして思えば本当におろかとしか言いようがなかったと思うよ」
「っ…」
学炎祭の時の自分の胸の内を語る紫苑、その表情を見ていると今の自分たちと同じだと叢たちはこの時気づいた
「独りよがりに否定して、突っ走てしまったが故に僕はいつしか負の感情に蝕まれていき、霊石の力を御したつもりが本当は飲み込まれていることにも気づかないで、挙句の果てにあの惨劇を引き起こしてしまった」
「「「「「…っ!」」」」」
その紫苑の言葉を聞いた時、皆の脳裏に浮かび上がった
忘れたくても忘れられないあの光景が
紫苑が霊石の力を使い、さらなる力を手に入れ
…そして、暴走した時のことを