しかし、大導寺と共闘しながらにも関わらず、状況は依然として劣勢のままだった
その最中、この戦いに終止符を撃つべく佐介父が全力の獣波拳を繰り出してきた
これに対し佐介と大導寺が同じく獣波拳で迎え撃つ形をとる
力と力がぶつかり合う、けれどその攻めぎ合いでも父の優勢は揺るがず、2人は追い込まれていった
絶望的な状況を前に敗北を悟りだす大導寺だったが、その絶望感を前に最後の最後まで諦めようとしない佐介の姿を目にする
弟子の頑張る姿に感化され、諦めることをやめた大導寺は佐介と共に最後の一瞬まで諦めるものかと気持ちを奮い立たせ
佐介とともに残る力の全てを獣波拳に込めるのだった
互いの獣波拳の押し合いが火花を散らす中
佐介と大導寺の繰り出す獣波拳が黒獅の獣波拳を押し返し出していく
「はぁぁぁぁ!!」
「たぁぁぁぁぁ!!」
ビュォオオオオオオオ!!
気合いの掛け声を上げながら佐介と大導寺はずんずんと獣波拳に力を込める
「ぐっ!?……ぬうぅぅぅん!」
これに対し、黒獅の方もまた負けじとさらに実力を上げる
先ほどまで追い込まれていた佐介たちの獣波拳は今や中心まで巻き返しだしていた
黒獅の高出力の獣波拳に負けず劣らずと言えるほど今の2人の獣波拳は凄まじいものとなっていた
「(俺の全力をここまで押し返すとは!?いくら2人がかりとはいえこれほどとは!?)」グヌヌ!
あと一歩まで追い込んでいたはずの自身の最大出力の獣波拳を押し返して来た佐介と大導寺の力に苦悶の表情を浮かべだす
「佐介、もうひと踏ん張りだ!持てる力の全てを出し切れ!」
「はい、師匠!」
「「はあああぁぁぁぁぁぁ!!」」
互いに合図をし、持てる力を最後の一滴まで振り絞る
やがて、今まで押し込みを抑えるしかできなかった佐介と大導寺の獣波拳が今度はこちらが追い込みをかける側になっていた
「ぐっ、ぐぐぐぐぐ!?」
押される側になってしまった黒獅は必死にこれ以上の進行を阻止しようとする
だが、勢いを増した佐介と大導寺の獣波拳を止めることができず、必死に食い下がっていた
「今だ佐介!今こそ好機だ!残り全力を注ぎ込め、全てをこの一撃に乗せ、爆発させよ!」
「はい師匠!」
ここぞとばかりに佐介と大導寺は最後の大勝負に出る
「明鏡止水!」ギュィイイン!
「極限魂!」ギュィイイン!
次の瞬間、2人は最後の残った力で互いの最強の力を発動させる
「「はぁぁああああああああああああ!!」」
体に過剰な負荷をかけようとも、この身がどれほどの目に遭おうとも今の2人には関係ない
残り僅かになった力を振り絞りながら、ただ目前に迫る勝利を掴むべく力を振るった
それにより2人の放つ獣波拳は一気に畳み掛けるように勢いを増していく
佐介父の放つ獣波拳を瞬く間に飲み込みながら
「ぬぅぅぅぅぅうううううううん!!?」グググググ
どうにか食い止め丁と試みる黒獅だったが、もはやそんなものは焼け石に水でしかない
2人の放つ獣波拳は佐介父の抵抗を顧みることなく押し寄せる
ゴゴゴォオオオオオ!!
やがてそれは黒獅の前方まで迫ってきた
「くぅっ、ぐぅぅぅぅ!?」
「決めるぞ佐介!」
「はい!」
「「はあああぁぁぁぁぁぁ!!!」」
ガオオオォォォォォオオオオオオオ!!!!
「なにっ!?」
ラストスパートをかけるかのように最後の一押しを畳み掛ける佐介と大導寺の獣波拳は
気高き獅子の咆哮を上げながら黒獅の獣波拳をかき消した
それにより、黒獅迫りくる佐介と大導寺の獣波拳を防ぐ術はもう何もなくなった
「――っ!!??」
ガォオオオオオオオ!!
「あなたぁああ!?」
刹那、黒獅の全身が獣を象ったエネルギーに飲み込まれた
夫のその姿を見た虎白はたまらず黒獅の名を呼びながら声を上げる
キュィイイイイイイイン!
「「「「――っ!?」」」」
同時に彼を飲み込んだエネルギーがさらなる光を放ち、辺全てを光に包み込んだ
やがてこの場を包み込んでいた光が勢いを引き出し、視界が元の景色を取り戻していった
「うっ…ぅううん?あれ?」
十分に視界が回復した景色の中で最初に声を出したのは飛鳥だった
先ほどまで佐介たちと黒獅の戦闘によって騒々しかった現場がしーんと静まり返っていた
「戦いはどうなったの?佐介くんは、大導寺先輩は?」
勝敗の行方はどうなったのか、佐介たちは無事なのか
飛鳥は不安を抱きながらも2人の安否を気にしていた
「…――っ?」
するとその直後、物音が聞こえた飛鳥が振り返ると立ち込める煙の向こうからこちらに向かってくる人影が見えた
「あっ…佐介くん!大導寺先輩!」
煙を突き破り、現れた影の正体は言わずもがな、佐介と大導寺の2人だった
「…うぅっ」クラッ
「あっ、佐介くん!?」バッ!ギュッ!
飛鳥が近づくと緊張の糸が切れたように佐介がゆらりと地面に向かって崩れ落ちそうになった
咄嗟に飛鳥が抱きかかえ、佐介の身体は彼女の身にもたれかかる
「大丈夫佐介くん!?」アセアセ
「…う、うん」
「……よかった」
呼びかけに反応した佐介は少し弱弱しくも返事を返した
「うっ…!?」
「だ、大導寺先輩!?」
すぐ後に大導寺もぐらつくも飛鳥は佐介を抱えているせいで手がいっぱいいっぱいだった
「ぬうっ!?」ドテッ!
大導寺のほうはというと倒れかかりそうになるのをなんとか踏ん張り、その場に跪く程度に収めた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
だが、それでも尚限界まで力を使ってしまったが故に体力ももう空であり、これ以上の戦闘継続は不可能だった
様子からして飛鳥も2人が相当体にガタが来ているのだということが見て取れた
「…2人とも、お疲れ様だよ」
「……ありがとう」
「…ふっ」
飛鳥からの労いの言葉に佐介と大導寺は力なく笑みをこぼす
「…っ?」
不意に佐介は視線を逸らす
「…っ」アセアせ
その先には虎白が未だ煙がたちこめる方を見ていた
黒獅が立っていた場所だった
「…あなた」
「お母さん……お父さん」
不安そうに視線を向けている
虎白のそんな顔を見て佐介もまた煙が立ちこむほうを見る
やがて吹き荒れる風が煙を吹き消すように仰いだ
すると煙の中から人影が見える
「――っ!」ピクッ
「「「――っ!?」」」ビクッ!
次の瞬間、一同は言葉を失う
煙の中から顔を見せたのは黒獅の姿、しかも彼は倒れてなどいなかった
両腕を組んでただただその場に仁王立ちしていた
獣波拳を受けたにも関わらず、彼は地に倒れることはなかったのだ
「…恐ろしいお人だ」アセアセ
「うそっ…」アセアせ
「…お、お父さん…」アセアセ
思わず息を吞んでしまうくらい凛々しいと感じさせる立ち姿に言葉が思い浮かばない
「……っ」ギロッ
「「「――っ!?」」」
次の瞬間、閉じていた黒獅の目がギロリと佐介たちを捉える
突然のことに佐介たちは度肝を抜かされる
そうこうしているうちに父が動きを見せる
先の攻撃によって相当のダメージを追っているにも関わらず、彼の足が一歩、また一歩と佐介太刀の元に向かって歩み寄る
佐介たちはただただその様子に驚愕するのだった
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