散り散りになっていた他の面子が襲われる仲間たちの元に駆けつける
増援がきたことで一部形成が逆転しかかるも戦姫衆もただでやられるタマではなく
彼女たちはそれぞれの奥の手を使い、忍たちとの交戦に臨む
その中で紫苑たちの方は戦姫衆屈指の狂人とも呼べる愛姫との硬直戦が続いている
愛姫が繰り出した人形の得体の知れなさと本家本元にも劣らぬ戦闘力が相手をする飛鳥たちを苦しめる
さらに一方でオリジナルと戦っている紫苑もまた苦戦を強いられていく
攻めに攻め込む彼女に追い込まれそうになるも、紫苑はこの状況を打開するべく無謀ともとれる策を取る
繰り出された愛姫の包丁を彼女ごと掴み、渾身の一撃を繰り出すのだった
ドスゥゥゥン!!
「―――うぅっ!?」
紫苑との交戦を繰り広げる愛姫を突如として爆弾でも爆発したかのような衝撃が襲った
数メートル地面を削りながらも愛姫はどうにか踏ん張りを見せ、体をふらつかせながらも名にhが起こったのかと紫苑のほうに視線を向ける
愛姫がその視線の先で見たのは拳の先端から煙を立たせながら佇む紫苑の姿があった
先ほど紫苑が繰り出したのはジークンドーの技の一つとされる「ワンインチパンチ」というものだった
至近距離から繰り出す強力な打撃技であり、その威力は下手をすれば爆発をもろに食らうほどとされている
ましてや紫苑は相当の実力者、そんな彼が繰り出す技の威力は生半可なものではなかったのだ
それを証明するかのように技を食らった愛姫はフラフラな状態だった
「(よし、好機到来だ!!)」
待ちわびていたかのように紫苑が動きを見せる
怯んで動けないところを見計らい、いともたやすく間合いに侵入に成功する
「ふっ、ほっ、はぁっ!!」
「~~~っ!!??」
素早く八極拳による殴打を与え、〆に貼山靠というペースの奥州を繰り出し
大きく後方へ吹き飛び、その先にある岩に身を打ち付けた愛姫は今までにない程のダメージを負った
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「~~…っ!?」グヌヌ
それを物語るようにこれまで一度も膝を付くことのなかった彼女がうんも言わさず地面に跪いていた
さらにこの影響は彼女だけにとどまることではなかった
「あっ、みんな見て!」
飛鳥が気づいたように指さす先を見ると
<グニュニュニュ~>
戦闘中の人形に異変が生じ始めていた
いかにも苦しんでいる様子であり、肉体を構築している液状のそれがところどころ崩れ始めているからだ
「これはいったい?」
「おそらくこれは紫苑のおかげです。紫苑が術者である彼女に何かをしたんですよ!」
状況が飲み込めずにいる中、雪泉がいち早くこの現象が紫苑が起こしたものであると感づいた様子を見せそれを皆に説明した
そんなやり取りをしている最中でも以前として人形の身体の異変は留まるところを見せない
「皆さん、これは絶好の機会です。一気に畳み掛けますよ!」
「「「「っ!」」」」
斑鳩の言葉に皆が反応を示すとともに行動に移す
飛燕を身構える斑鳩と続くように雪泉、詠、両備、両奈の4人が左右に立ち同じく構える
「食らいなさい【ニヴルヘイム】!!」
「いっくよ~!【美しく青きガンスリンガー】!!」
「焼きくします【鳳火炎閃】!!」
「凍てつきなさい【黒氷】!!」
次の瞬間、先方として詠、両奈が銃器による掃射を繰り出す、それに続いて斑鳩と雪泉が炎の鳥と黒き氷塊を放つ
<グニュ…グニュニュ…>
繰り出される技を受けていき、崩れかけていた人形の身体がさらに崩壊していく
「人形たちの再生速度が落ちてます。今ならいけるはずです!」
「ならここは両備が決めてやるわ!」
「はう~ん、いっけ両備ちゃ~ん♪」
「きめるわよ。【リコチェットプレリュード】!!」
ここで止め役を買って出た両備が人形の周囲に機雷を召喚
すかさず両備が弾丸を装填する
トリガーを引いて弾丸を放つ
飛ばされた弾丸はまっすぐに飛んでいき、前方の機雷群の一個に先端が触れた次の瞬間だった
ボババババババババババ!!
一個gs爆発するとそれに連鎖するように周りの機雷も誘爆する
凄まじい爆発が発生し、人形を飲み込んだ
やがて爆発が収まりを見せる
開けた視界の先には先の爆発によってで辺り一面焼け野原となり、中心にはクレーターができており
あたりにはおそらく人形の物だったと思われる破片が散らばっていた
「…やったの?」
「えぇ、そのようですわね」
「はぁ~~…手ごわい奴だったな~」
人形の破壊を確認した面々は安どのため息をつく
「さてと、残るは…あっ!」
ここで四季が視線を向けると共に驚いた様子を浮かべる
他の者たちも四季と同じ方へ視線を向ける
「はあぁっ!」
「っ!?」
皆の視線に映ったのは愛姫に果敢に挑む紫苑の姿
「やぁぁぁぁっ!」
「〜〜〜っ!!??」
ワンインチパンチから始まる怒涛の快進撃が呆然一方だった状況を一気に覆す
今や攻守の立場は完全に真逆になっていた
攻め込む紫苑の攻撃をかわすか受け流すくらいの行動しか今の愛姫に取れる行動はなかった
「くぅ…~っ!!」
何とか反撃をしようと愛姫が行動する
「ふっ、はあっ!!」
「おふっ!?」
しかしそれに対して紫苑がカウンターによる一撃を繰り出し、その一撃を受けた愛姫は衝撃と共に大きく後方へと吹き飛ばされた
完全に場の流れは紫苑が支配していた
「…~~っ!」バッ!
「っ?」
愛姫が相当のダメージを受けた体で尚立ち上がり、怒りに満ちた目を紫苑に向けていた
「はぁ…はぁ…はぁ…っ、戦姫術!」ゴォォォォォォ!!
立ち上がった愛姫が乱れた息を整えるとともに術を発動させると彼女の周囲にとてつもないほどの邪悪な気があふれ出す
それを見て紫苑は彼女が次の一撃にすべてをぶつけようとしていることを悟る
「秘伝忍法!」
すかさず紫苑は秘伝忍法を発動させ、力を高まらせる
両者共に次の一撃に全力を尽くすつもりだった
「っ…~~~っ!!」
刹那、力をため切った愛姫がそのエネルギーを手に持つ包丁に注ぎ込む
包丁が愛姫の注ぎ込んだ力によって剣のような長さのエネルギー刃を纏った
エネルギー刃を浴びた包丁を手に愛姫が特攻する
「負けられない…ふぅん!」
対する紫苑も力を高めると背後に3つの紋章が浮かび上がる
紫苑が両手で三角の形を取る
それに好悪するかのように背後に発生した3つの紋章が紫苑にエネルギーを注ぎ込む
「秘伝忍法…」
力が高まる中、紫苑は囁くように呟く
「っ!!」
愛姫が紫苑の目の前に迫り、包丁を振り下ろさんとする
次の瞬間だった
「
ビュオォォォォ!!!
「っ!?」
包丁が振り下ろされるよりも早く三角の形に組んだ手から三元素の力を秘めた光波が放たれた
紫苑の放った光波は一瞬にして愛姫を飲み込んだ