人気のない洞穴の中で小百合は己の身に起きているものに苦しめられていた
咳き込み、血反吐を口から吐くなど、その身は衰弱していた
理由は秘伝忍法によってこの世界を作り上げたことによる反動がそうさせるのだ
しかし彼女は自分の身が危ういことを知りつつも己の成すことのために耐え抜くことを決めていた
そんな中、彼女の元に佐介両親が現れる
2人は小百合に礼を伝えにきたのだ
彼らと会話を交わし、成仏をする前にまだ一つやりたいことがあることを知り
小百合は2人に好きにするように告げ2人は再び礼を言いながら彼女の元から去っていった
残された小百合は物思いに更けながら意を決するように体に鞭うちながら、行動を開始するのだった
場所は半蔵学院の拠点へと移る
「大丈夫佐介くん、具合のほどは?」
「心配させてごめんね飛鳥ちゃん、でもね、3日もゆっくりと休ませてもらえたから体の方はだいぶ楽にはなってきたよ」
「そっか。それはよかった」
両親との激しい戦闘に終わりをもたらした佐介たちはその戦いで追ったダメージを癒していた
特に佐介に至っては未だ万全な状態ではないがある程度回復できたとのことで飛鳥や他の皆も安堵の表情を浮かべていた
そうして佐介たちが英気を養っている時のことだった
「おやおや随分とお似合いじゃの、これはひ孫を見る日もそう遠くないかもしれんな〜」
「ばっちゃん!?」
「小百合さま!?」
突然自分たちの前に現れた小百合に驚いた様子を見せる
「ふむ、みんないい顔になったね?最初の時とは見違えるくらいにね」
彼らを尻目に小百合は皆の顔がここに来た頃より立派な顔立ちになっているのを感じていた
「そ、そうかな?えへへ」
褒められたことに飛鳥が照れくさそうにしていた
「だがまだ足りない、今のままでは来るべき戦いで勝利を掴むことは難しいだろうね」
しかしそれと同時に辛辣な言葉も告げながら小百合は佐介たちにこれから訪れる戦いについてを語る
「来るべき戦い…」
小百合の言葉を聞いた佐介がぼそりと復唱するようにつぶやく
「かはっ!?」
「さ、小百合様!?」
「ばっちゃん大丈夫!?血が!?」
口から血反吐を吐く小百合を見て一同が動揺する
「ばっちゃん!もう無理するのはやめて!このままじゃばっちゃんが倒れちゃうよ!?」
「人の心配をしている場合か!」
「――っ!?」ビクッ
これ以上無理をする姿を見ていられないと飛鳥が小百合に物申す
しかし、それは小百合の一喝によって止められてしまった
「この短期間でお前たちは目覚ましい成長を遂げた。じゃがまだ未熟なところがある。まさにこれがそうじゃ。あたしが弱っている好奇を前になぜ一気に攻めてこんのじゃ!」
さらには吐血し、弱っている自分を気遣うのではなく攻めてくればいいとも言ってきたのだ
「そんなことできるわけないよ0?!」
「そうですよ小百合様!そのようなこと、僕らにそんなことできるわけがありません!?」
「2人のいう通りだ。いくらなんでも卑怯すぎる!?」
飛鳥と佐介は肉親であり、家族である小百合を攻撃するなどできないと強く主張する
2人に同意するように他のメンバーもこのことに抗議する
「卑怯すぎるじゃと?何を甘っちょろいことを言っておるか!勝つためには手段を選ばぬという考えはないのか!」
「ひばりは汚い手を使って勝っても意味ないと思います!」
卑劣になれと教えを諭すもそんな勝ち方は意味がないと雲雀が意見する
「違う、意味のないというのは誰も守れずに死ぬこと…無駄死にすることだ」
「そんなと言われても、私、ばっちゃんが心配だよ……」ウルウル
「飛鳥ちゃん…」
この会話の中で一番心を痛めている飛鳥は涙ながらに祖母である小百合に手をかけるなどできないと語る
「やれやれ…これだけの力をつけたと言うのにまだそんなことを漏らすか。お前たちの甘さを断ち切るにはもはやこうするしかないようだね。はぁぁぁぁ!!」ゴゴゴゴゴゴゴ!
小百合が精神を集中させる
「なんだこのバカでかい気は!?」アセアセ
次の瞬間、佐介たちは小百合から放たれる気の圧に言葉を失った
「絶・忍転身!はぁぁぁぁぁぁ!!」ギュォオオオオオオ!
さらにその直後、小百合が絶・秘伝忍法を発動させる
瞬く間に周囲が発生し、彼女を飲み込む
眩い光に目をやられていると直後にポンという音とともに白い煙がモクモクと立ち込めていた
「「「「「「――っ!?」」」」」」
刹那、一同は我が目を疑った
煙の中から現れたのはよぼよぼの老婆ではなく美しき大人の女性が立っていたのだ
「ふぅ~…どうだい?驚いたかい?」
「えっ?ば、ばっちゃん…なの?」アセアせ
口調からして目の前に現れた女性が小百合であることを認識した一同はさらなる困惑を浮かべていた
「これが私の本気さね、この姿の時はジャスミンとお呼び。さぁ、かかってきな若人ども!」
小百合改め、ジャスミンは驚いている一同を他所に身構える
「み、みなさん気をつけてください。この気の量。さっきまでとは比べ物になりません」
「あぁ、オレでもわかるぞ、佐介の両親と同等かそれ以上の気を感じる。忍転身でここまで変わるものなのか?」アセアセ
ジャスミンから感じられる凄まじい力を感じ、一同は体に震えが走る
「これは…ただの忍単身ではありませんね。自身の命を糧にして極限まで力を引き出してますわ」
「えぇ、絶・忍転身は己の気力、体力を削り、それと引き換えに力を得る技、とても危険です」
佐介も極限魂を使う度、激しい疲労と消耗に襲われるため、多様することはリスクがデカすぎる
まして弱まっている体でそんなものを使えば術者の命にも関わることでもある
「そ、そんな…ばっちゃん!こんなことは今すぐやめてよ!」
「何度も言わせないでおくれ、人のことを心肺する場合じゃない、自分たちのことだけ考えな」
「でも…でも…」
祖母のことが心配で仕方がない飛鳥は未だ彼女の言葉に納得できていなかった
「…飛鳥ちゃん、落ち着いて」
「佐介くん…?」
「おそらく小百合…いや、ジャスミン様がここまでするのは僕らに伝えたいことがあるんだよきっと」
「…っ」
リスクを承知でジャスミンが戦おうとするのは何かわけがあるのだと佐介が説得する
「佐介さんの言う通りですわ飛鳥さん」
「斑鳩さん」
「そうだ。ここまでの覚悟を見せている以上、受けて立たなければそれこそジャスミン様に申し訳が立たないぞ」
「柳生ちゃん」
佐介に続き、斑鳩と柳生も言葉を投げかけ、皆が一斉に身構える
「みんな…」
「飛鳥ちゃん…やろう」
「…分かった。私、ばっちゃんと戦うよ!ばっちゃんと戦ってばっちゃんが伝えようとしているものを感じる。それがばっちゃんの望みなら!」
皆の励ましによってようやく腹を決めた飛鳥はジャスミンと戦う覚悟を決めた
「その意気だよ。これで遠慮はいらないね。さぁかかっておいで!」
ようやくやる気を見せたことに安堵するとともにジャスミンも身構え
彼女と半蔵学院チームの戦いが幕を開ける