閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第八章 焦りは時に判断を狂わせます

仲間たちのために傷の癒えぬままの状態で月閃女学館に攻め込んだ佐介は

 

 

第一の刺客、四季と戦い。辛くもこれを撃破

 

 

しかし、校内へと侵入した佐介に第二の刺客、叢が襲いかかってきた

 

 

応戦するも四季との戦いの消耗、さらに戦闘時に傷口が開いてしまい出血

 

 

薄れゆく意識の中、戦う佐介だが

 

 

当然そんなんで勝てる訳もなく

 

 

叢の攻撃、さらに叢の呼び出した小太郎の攻撃を受け続け

 

 

とどめに飛び上がり、突き出した叢の蛇矛が佐介の右肩を貫き

 

 

佐介は苦痛とともに断末魔をあげた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

佐介は激痛に苦しむ声をあげながら右肩に突き刺さった蛇矛を左手で抑える

 

 

「(あれほどの出血…もうとっくに意識がなくなってもおかしくないはずなのに、小太郎の攻撃に乗じて攻撃してきたあの状況から、我の攻撃に気づき、急所を外させるとは…こいつ、なんという男だ)」

 

 

一瞬による状況判断で自分の攻撃から急所をそらさせた佐介に叢は驚きを隠せない

 

 

 

ジャキィン!

 

 

 

「ぐぅぅ……うあぁ…」

 

 

蛇矛を肩から引き抜き、数歩下がる叢は痛みに苦しむ声をあげる佐介を見つめた

 

 

「これまでだ。今、楽にしてやろう」

 

 

佐介に止めを刺そうと叢が鉈を振り上げる

 

 

「(ここ……までか……みなさん。ごめんなさい……どうやら、お別れのようです……)」

 

 

自分の死を悟った佐介はそっと目を閉じ、覚悟を決めた

 

 

「さらばだ……ぬん!!」

 

 

叢が佐介に向けて鉈を振りおろした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その刹那だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カキィィィィィン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、金属と金属がぶつかり合う音が

 

 

それとともにまったく痛みが来ないことに佐介が恐る恐る目を開けるとそこには

 

 

「大丈夫、佐介くん?」

 

 

「あ、あす、かちゃん?」

 

 

叢が振りおろしてきた鉈を二本の小太刀で受け止める飛鳥の姿があった

 

 

「あすか、ちゃん……なん、で…きちゃ、だめだって…」

 

 

「いけませんわ。佐介さん。けが人はあまり多くを語らぬものです」

 

 

「そうだよ佐介くん」

 

 

「…いか、るが…さん…ひば、りちゃん……」

 

 

重傷の佐介のもとに動けなかったはずの斑鳩と雲雀が駆け寄り

 

 

自分の手当をいているのに驚く

 

 

さらに再び飛鳥の方をみるとそこに加勢する葛城と柳生の姿が

 

 

「………っ」クラ

 

 

みんなが無事だったことに安堵するも限界が来たためついに意識を失ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん……ううん?」

 

 

次に意識を取り戻した佐介の目に写っていたのは月閃女学館の校内ではなく

 

 

自分もよく知る忍病院の天上、そして今自分はベットに横たわっていることに気づいた

 

 

「ここは…ぼくは……?」

 

 

さっぱり状況が飲み込めない佐介は小首をかしげる

 

 

その時だった

 

 

「さ、佐介くん!」

 

 

「…?」

 

 

声のする方に顔を向けるとそこには花や果物などの見舞いの品を持ってきた飛鳥と斑鳩たちの姿だった

 

 

「みなさん…これはどういう?」

 

 

なぜこんな状況になっているのかを訪ねようとしていた佐介だったが

 

 

飛鳥たちは目を覚ました自分の姿を見て目に涙を溜めると

 

 

「「「「「佐介(くん)(さん)!」」」」」ナキ

 

 

「にゃふ!?」

 

 

一目散に佐介にかけより抱きしめたりよりそったりする

 

 

「みっ、みなさん?」アタフタ

 

 

飛鳥たちの突然の行動に佐介は驚く

 

 

「よかった。よかったよ~。佐介くんが目を覚まして」ナキ

 

 

「あなたにもしものことがわたくし…」ナキ

 

 

「おまえが死ぬなんて考えられないもんな」ナキ

 

 

「心配させおって、まったくお前ってやつは」ナキ

 

 

「佐介く~ん」ナキ

 

 

自分のことをここまで心配してくれていたことに嬉しさを感じ

 

 

それと同時にそれほど彼女たちを不安にさせていたことに申し訳なさを感じていた

 

 

「目を覚ましたか佐介」

 

 

「霧夜先生」

 

 

病室に今度は霧夜が入ってきた

 

 

「霧夜先生、あれからどうなったんですか?僕、気を失ってから記憶がなくて」

 

 

「お前はあの戦いの後、一週間も寝たきりになっていた」

 

 

「一週間もですか!?」

 

 

あの戦いから一週間も眠り続けていたということに佐介は驚いていた

 

 

「まったく、お前というやつは本当に無茶ばかりしおって」オコ

 

 

「っ…」ビクッ

 

 

「こいつらが手当等をしつつ月閃からお前をつれて逃げ帰り、この病院に運んだわけだが…正直、あと少し遅かったら死んでいたぞ?」

 

 

「…はい、ごめんなさい」ショボーン

 

 

霧夜からの叱りを受け、佐介は申し訳なさそうに頭を下げた

 

 

「とりあえず、医師からはしばらくは療養しろとのことだ。…それまでちゃんと安静にしてるんだぞ?」

 

 

「はい」

 

 

「…それと」

 

 

「っ?」

 

 

佐介にゆっくりと近づくと耳元でささやく

 

 

「(あまりあいつらを不安がらせるなよ?)」

 

 

「(えっ?)」

 

 

「(この一週間、あいつらがどんな気持ちだったか考えてみるんだな)」

 

 

「(…っ)」

 

 

そう言い終えると霧夜は部屋から出ていった

 

 

「(みんながどんな気持ちだったか…)」

 

 

霧夜が呟いた言葉を思い返しながら飛鳥達を見た

 

 

叢との戦いで傷ついた自分のもとに飛鳥たちは駆けつけてきた

 

 

彼女たちは自分のために危険を顧みず助けに来てくれた

 

 

自分と同じくらい怪我をしていたのに

 

 

しかし自分は、みんなを危険なめにあわせたくないという思いから一人で突っ走り

 

 

結果、このような重傷をおい、一週間も眠ったきり

 

 

きっと彼女達は不安だったに違いない

 

 

その証拠にみんなの顔は自分が目を覚ました瞬間、嬉し涙でぐしゃぐしゃになっていた

 

 

仮に自分が飛鳥たちと同じ立場でも絶対にそうだ

 

 

嬉しさのあまり涙が止まらなかっただろう

 

 

そうして、佐介は彼女たちをそこまで不安がらせていた自分がとても情けなく

 

 

同時に申し訳なさにかられた

 

 

「…みなさん」

 

 

「「「「「?」」」」」

 

 

佐介は飛鳥たちの方を向いてベットの上で土下座しながら呟いた

 

 

「迷惑をかけてごめんなさい…」

 

 

深々と頭を下げてごめんなさいとそうつぶやいた

 

 

「僕が独りよがりの行動したせいでこんなに重傷を追って、一週間もの間眠ったきりの状態となり、その間にみなさんを不安がらせてしまいました…ぼくは…ダメダメです…」

 

 

目からたくさんの涙を流しながら佐介は謝り続けた

 

 

「佐介くん。顔をあげて…」

 

 

そんな佐介に飛鳥が声をかけ佐介が顔を上げると

 

 

 

ダキッ ギュッ

 

 

 

佐介の体を飛鳥が優しく抱きしめた

 

 

「佐介くんはダメなんかじゃないよ。私たちのために一生懸命頑張ってくれたじゃない」

 

 

「…っ」

 

 

飛鳥の言葉に佐介は言葉を失う

 

 

「飛鳥さんの言うとおりです」

 

 

それに続くかのように他のみんなも語りかける

 

 

「むしろあなたをそこまで追い詰めさせてしまったわたくしたちにも責任はあります」

 

 

「すまねぇな佐介、お前一人にいろいろさせちまって」

 

 

「俺たちだってもっとしっかりしていればこんなことには」

 

 

「だから、自分のせいだって思い込まないで…」

 

 

「私たちは最高のチームなんだから」

 

 

そう言うと全員で佐介を優しく抱きしめる

 

 

「みなさん……あり、がとう…ございます…」

 

 

佐介は嬉しさで涙が止まらず、他のみんなも涙を流した

 

 

仲間たちの思いが佐介の傷ついた身と心に安らぎを与えるのだった

 

 




おまけ話し

「あっ、あの…みなさん!」ソワソワ

「「「「「なに?(んですか?)」」」」」

「こっ、これはどういうことなんでしょう?」ソワソワ

現在、お風呂場

そして佐介は裸(下半身にバスタオル)で飛鳥たちは水着姿(斑鳩が葛城を止めたこと+裸だと佐介が鼻血をだすため)

「だってお前退院したはいいけど両手つかえないじゃねぇか」

「そっ、それはそうですが…」

今回の件で両手が使えないので食事もできず体も洗えない状態なのである

なのでこのような展開になってしまったのである

「それにこれは佐介くんへの罰でもあるんだよ」

「ばっ、罰?」

「そうだ。俺たちをあれだけ心配させたんだ。これはそんなお前へのお仕置きということだ」

「そっそんな〜」

困った顔をしながら佐介はつぶやく

「まぁまぁ、アタイたちがしっかり洗ってやるから。任せとけ♪」

そういう葛城だったが

佐介の予想どおりこのあと、佐介が大量に鼻血を出すほど大変な事態となるのだった


※このあとどうなったかはみなさんのご想像にお任せ♪


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