そんな中、妖魔を倒すために自分たちの目論を見抜いた光牙から挑戦を挑まれ、便乗する形で紫苑と相馬も彼女と戦うことになった
光牙たちはジャスミンと戦闘を繰り広げる中、彼女に勝つべく修行の成果を確かめるべく術を発動させる
修行によって性能が上がった光牙たちはジャスミンに攻撃を仕掛け
この攻撃によってジャスミンはかなりのダメージを受けた
しかしここで引き下がるジャスミンではなく、畳み掛ける光牙たちの攻撃を妨害し
動きを止めた隙を突いて大技を披露し、光牙たちはそれによってまさかの敗北を記し
彼らを倒したことでジャスミンは改めて皆にその強さを知らしめるのだった
勝負が幕を下ろし、緊迫していた空気が落ち着きを取り戻す
「お疲れ様でしたわ光牙さん」
「惜しかったね。もうちょっとで勝てそうだったのに」
「あぁ、しかし、おかげでまだまだ上を目指せそうだ。戻ったら修行のやり直しをするさ」
「おぁ、その意気だぞ光牙、強くなることに終わりなんてないしな。」
負けてしまったからにはこの敗北をバネにさらなる高みを目指すだけと光牙は前向きに受け止めていた
「紫苑、大丈夫ですか?」
「うん、なんとかね」
「いいところまで行けてたのにね、残念だったよね?」
「なに、負けてしまった以上はくよくよしてても意味はないよ。僕にできることはこの反省を次に活かすだけさ」
勝負に負けはしたが学ぶことはあったと前向きに紫苑は考えていた
「かぁ~!ちっくしょー!やられちまったー!行けると思ったのにー!うぇーん!両奈〜!」
「はわん♪相馬くんそんなに抱きつかれちゃったら両奈ちゃんたまんな〜い♪」
「って、何どさくさに紛れてセクハラしてんのよあんたは!」
「痛って!?」
一方の相馬はまるで子供のような態度で両奈に抱きつき、彼女の豊満な胸に顔を埋める
それに対し両備が説教混じりの拳骨を相馬に叩き込んだ
「駄々をこねるなまったく、過ぎたことをぐだぐだ言っても仕方ないだろう?」
「雅緋のいう通りだぞ相馬、いつまでも泣き言を言ってても意味ないぞ」
相馬に至っては2人と違いよほど悔しかったのか負けてしまったことにぐちぐちと文句を垂れており雅緋と忌夢に説教をされていた
「……っ」
「ばっちゃん」
「ジャスミン様」
「っ?」
光牙たちの様子を見ていたジャスミンに飛鳥と佐介が声をかけてきた
「お疲れ様ばっちゃん」
「これくらいたいしたことはないさね」
労いの言葉を送る2人にジャスミンは大したことはないと語る
「どうだったの?みんなと戦って見て」
「当然余裕…と言いたいところだったが、正直ギリギリだったね。戦って見て分かった。あの力はカグラであるあたしや半蔵に匹敵する程だったと」
「「えぇっ!?」」
力を解放した時の光牙たちは自分たちと肩を並べる程であるというジャスミンからの驚きの言葉に佐介と飛鳥は度肝を抜かれた
今の光牙たちの力は伝説級並と言って差し支えないということであった
「(しかもさらに質の悪いのは、あ奴らのあの力はまだ”完成至ってない“ことだろうね?)」
ジャスミンは心の中で自分が感じていたことをつぶやく
「(…光牙くん、紫苑さん、相馬くん。僕の知らぬ間にそんなに強くなっていたなんて…)」
佐介はジャスミンから光牙たちが自分よりも遥かに強くなっていることを知り
嬉しいような悔しいようななんとも言えない複雑な心境に立たされていた
「うっ…ぐっ、くばっ!?」
「ばっちゃん!?」
「ジャスミン様!?」
「「「「「――っ!?」」」」」
直後のことだった
ジャスミンが再び吐血したのだ
「がはっ!?がはっ、がはっ!?」
「ばっちゃん、しっかりして!?」
「ジャスミン様、お気を確かに!?」
慌てて佐介と飛鳥がジャスミンに寄り添う
飛鳥は背中を摩る
他の面々も心配そうに見ていた
するとその時だった
吐血による影響なのか、それとも単に限界が来たのかは定かではないがジャスミンの様子が変わったと思いきや
絶・忍転身が解除され、ジャスミンとしての肉体が消え、元の小百合としての姿になった
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。すまんな飛鳥、佐介よ…もう大丈夫だ。落ち着いてきた」
2人の介護もあってか楽になってきたようで小百合はゆっくりと息を整えだした
「だ、大丈夫なのか?」アセアセ
「吐血など尋常ではないぞ?」アセアセ
「小百合様、すぐに手当てを!」アセアセ
先の様子を目の当たりにしたことで焔、雅緋、雪泉が語り掛けてきた
「これくらいどうということはない、この程度でくたばるあたしじゃないよ」
心配そうに一同が見守る中、呼吸を整えた小百合が自分はまだ大丈夫だと主張する
「…お主らとこの戦いを通じてお前さんたちが情を大切にしているかはよくわかった…じゃがそれでもあたしは情を否定する」
「ど、どうしてなのばっちゃん!?」
これまでの戦いの中で皆が情を捨てることをせず強くなる道を進むこと
彼らにはそれを成し遂げるという強い意志とそれに似合う力があることを小百合は見てきた
にも関わらず小百合は情に対して否定の意思を示す
「小百合様なぜですか?…どうしてそこまで?」
「どうしてあたしが元カグラだと思う?答えは簡単、カグラの称号を捨てたからじゃ。妖魔との戦いであたしは仲間の生死の危機と妖魔へのトドメを天秤にかけてしまった。ほんの一瞬、一瞬の躊躇じゃった。しかしそれが原因であたしは妖魔を取り逃がし、仲間も命を落としてしまった」
小百合は皆に自分がどうして元カグラであるかを尋ねる
同時にその経緯についてを語り、皆に驚きを与えた
「あたしは自身にカグラ失格の烙印を押した。情を抱いたものは確かに強くなれるかもしれん、しかしそれは同時に危うさを兼ね備えておる。それは妖魔と対峙する時の弱点となり得るだろう」
これまで幾度も情を捨てるようにと促したのはこう言った小百合の経緯が関係しているのだと一同は考えていた
「でもばっちゃん、じっちゃんは言ってたよ心に刀と盾を持つこと、それが本当の強さに繋がるって」
「刀と盾か…半蔵の言葉じゃの」
飛鳥からその言葉を聞いた小百合はかつて半蔵が同じように口にしていたことを思い返す
「僕もその言葉を半蔵さまから教えられました。攻める刀だけでなく守りぬく盾、相反する二つを内に秘めたものが強さなら…危うさ、弱点をもつ強さこそ本当の強さではないのでしょうか?」
「っ…」
「危うさも脆さもない強さは一見強いようにも見えます。でもその心の中には刀だけしかない、ただただ振りかざすだけの力でしかないのではないですか?僕はそれは違うと思うんです。強くとも弱い、弱いけど強い。それでいいと僕は思うんです……僕のこの考えはまだ甘いですか?」
思いのままに佐介は小百合に物申す
「確かに甘い、甘いんじゃが…これは一本取られたわい」
「小百合様?」
「とはいえ、年寄りというものは頑固でな、この年で考えを改めるなどできん。だから…お前たちは自分の道を突き進めばいい。若いものには特権がある。己の道を自身で切り開くという特権がな」
「……小百合様」
その時。一同は感じた
小百合が自分達を心の底から認めてくれたのだと
「さて…いい加減疲れてきた…あたしはここらで休ませてもらうよ」
「ばっちゃん…」
「小百合……ありがとうございました!」
最後の言葉を残してこの場を去っていこうとする小百合に
佐介が深々とお辞儀し、それに続くように皆それぞれ礼をするのだった