その死闘を制したのはジャスミンだった
悔しくも勝負に負けてしまった光牙たちだったが、この経験を糧にさらに強くなるという目標を抱くのだった
一方、光牙たちを倒し、勝利を収めたジャスミンだったが、その代償として体が限界を迎え
術も解けて元の小百合の姿へと戻った
この戦いを通して佐介たちが情を捨てることなく強くなるという思いを感じた小百合は
自分がなぜ情を捨てるように佐介たちに言ったのか、その理由を語った
彼女がカグラの称号を失った理由やその時の気持ちなどを一同は考えさせられる
その中で飛鳥と佐介がかつて半蔵から教わった刀と盾の話しを持ち出し
彼らなりの答えを進んでいることを告げる
皆の思いを知った小百合はそれを認め、満足したように皆の元から去るのだった
光牙、紫苑、相馬の3チームの代表ががジャスミン…小百合と戦いを繰り広げている頃と同時刻の時だった
巫神楽三姉妹は千年祭執行部の拠点にて待機していた
最中、半蔵学院の拠点がある方角からものすごい音がする
「ひえ〜、派手にやってるっすね戦闘の音がここまで響いてくるっす?」
「小百合様が戦ってるんだもん、当然の展開じゃないかしら?」
向こうのほうで繰り広げられている戦いの様子を考えるだけでハラハラさせられる気持ちになった
「お前ら、あっちが気になるのは分かるが話しの途中だぞ?」
「あっ、ごめん」
「すいませんっす」
そんな中、蓮華が声をかけたことでハッとなった2人が話しに戻る
「華毘、華風流。お前たちも分かっているとは思うが」
「うん。探せる場所はすべて回ったし、当てにしてたところにもいなかったわね」
「結局見つからなかったっすね」
彼女たちが話題にしていることはもちろん例の探している子のことについてだった
蓮華、華毘、華風流が小百合に協力していたのも幼き日に出会い、忽然といなくなってしまった知人を見つけるため
ここまでで三姉妹は探せるところはしらみつぶしに探し回り、行方を追っていた
しかし結果はすべて空振りに終わり、会うこともできなかった
「忍の死者の魂が集まっているのがこの場所だ。私たちはそれを踏まえて隅から隅まで捜索して回った。でもこれだけ探したにも関わらずあの子はどこにもいなかった。ということはつまり」
「もしかしたらあの子は生きているかもしれないってことだよね?」
「だとしたらこの上なく嬉しいことっすよ!」
「あぁ、会いたいな。あってあの時のことを…私たちの村を救ってくれたこと、お礼が言いたい」
幼き日に仲良くなり、自分たちの村を救いそのままいなくなってしまったその子のことを考える蓮華たちは物思いに更けていた
≪わたしに会いたかったら……≫
「「「――っ!?」」」
その時、三姉妹の脳裏に声が響いた
「こ、この声って…?」
「間違いないっす!」
「あの子の声だ!」
脳裏に響いた声は聴き間違えするはずもない
紛れもなく自分たちが探している子の声だった
どこからか探し人の声が聞こえるのだ
「どこだ?どこにいるんだ?」キョロキョロ
「…どうして?声は聞こえるのに」キョロキョロ
「陰も形もないっすよ?」キョロキョロ
三姉妹はあちらこちらに目をむけ、辺りを見回す
しかし意中の相手の姿はどこを探しても見つからなかった
困惑している巫神楽三姉妹を他所に声は続ける
≪わたしに会いたかったら、カグラになって、妖魔を倒すカグラに…そうすればまた会えるから≫
「…カグラになれば」
「もう一度」
「会える?」
声の言葉を聞いた三姉妹は驚いた様子を見せていた
≪…待ってるよ≫
告げることを告げると感じていた気配が薄れていく
「待って、あなた名前はなんていうの!?」
「うちらあなたのことなんにも知らないっすよ!?」
「せめて名前だけでも教えてくれ!?」
気配が消える前にせめてもと三姉妹は声の主に尋ねる
≪…名前ならもういったわ≫
「それってどういう意味?」
≪私の名前は■■■……≫
その言葉を最後に声は風に流されるように消えてしまった
三姉妹は何も聞こえなくなった空を見上げていた
「そうか、そうだったのか。カグラになればあの子に会えるんだ……よっしゃ、そうと決まれば次にやることは決まったな!」
「はいっす。あの子に会うためにもうちも頑張るっすよ!」
次なる目標が決まったことで気合いを入れる
「でもことはそう単純じゃないわよ。最近仕入れた情報だと紅蓮竜隊の光牙、月閃女学館の紫苑、蛇女の相馬。こいつらがここ数日間に強さを増してるって話しらしいよ?」
「なにっ?そうなのか?」
「うん、今の私たちじゃ下手をすれば返り討ちにあう可能性が極めて高そうだよ?」
「マジっすか!だとしたらどうするっすか!?」
カグラになるためにもこのカグラ千年祭を勝ち抜くのは必須とも言える
しかしその目標にはこの千年祭に参加している各チームを倒さなければいけない
特に佐介たちという巨大な壁が立ちふさがることになるということを考えると苦戦は免れないことを痛感させられる
「べらんめえ、他の奴らならどうにかなるがそいつらを相手にするとなると一筋縄ではいかないってことかよくそっ!?」
「仕方ないよ。そもそも規格外すぎるのよあいつらは」
三姉妹の実力は決して低くはない、飛鳥たちを相手にするのであれば十二分にやれる自信はあった
だが、そんな彼女たちも佐介、光牙、紫苑、相馬の頭一つ抜けている強さの前にはなかなか勝算は薄かった
そう考えると蓮華たちはどうしたものかと頭を抱えてしまう
「うわ~ん、こんな時に”はーちゃん”がいてくれたらどんなに心強いことか~!?」
ここで華毘が困ったように泣き言を言ってきた
「華毘お姉ちゃん落ち着いて、気持ちはわかるけど今ここにあいつはいないんだからぐだぐだ言っても仕方ないよ?」アセアセ
「だって~」泣
華風風が宥めるも華毘は尚も目に涙をためながら困った顔を浮かべる
「ふふっ♪」
「んっ?」
「何笑ってるんすか蓮華お姉ちゃん?」
するとその最中、蓮華が不意に笑い出したので2人は何事かと彼女のほうに視線を向ける
「いやなに、こんな風に私たちが落ち込んだりした時にはいつも慰めてくれたなって思ってさ」
「うん、確かにそうね、ふざけてばっかりだけどなんだかんだあいつには世話になりっぱなしだったよね」
「…そうっすね」
三姉妹はとある人物のことを思い返していた
「あいつがここにいたらきっとこういうだろうな「こんなところで諦めちまったらこの先の人生つまらなくなっちまうぜ?どうせなら当たって砕けて悔いのないような生き方をしようや」…てな」
「あははは!似てる、似てるっすよ蓮華お姉ちゃんw」
「ぷふふふw…た、確かに、あいつなら絶対に言いそうなセリフだわw」
蓮華のモノマネがあまりにもウケたのか2人は笑いを堪えるのに必死だった
「おっし、気持ちも入れ替えたことだし、いっちょなってみるか!カグラ!」
「はいっす!どんな奴が相手でももう怯まないっす!」
「あの子にもう一度会うためにも勝ち進んでやるわ!」
「「「目指すはカグラ!」」」
三姉妹は気持ちも新たにカグラを目指すことを決めたのだった