そんな中、流れで光牙、紫苑、相馬の3人が小百合(ジャスミン)と戦闘を始めることとなり
元カグラの称号を持つ小百合(ジャスミン)と修行を積んだ3人が対峙した
結果として負けてはしまったが、3人はこれが限界ではなかったのだとむしろ次の修行に生を出すことにしたという
彼らが強くなっていくことに佐介は劣等感を抱き、このままでは行けないと考えた
思い立った佐介は再び彼の両親がいる森の奥の家に向かう
その後、こっそり跡をつけていた飛鳥とともに現れた母に案内され家の中に招かれる
お茶を振る舞われながら佐介は父に強くなりたいこと、そのための稽古をつけてほしいと強く懇願し、必死に頼むのだった
佐介が黒獅と虎白に対し、修行を付けてくれるように懇願しながら机に頭をこすりつけてきた
「お父さん、どうか、どうか僕に稽古をつけてください!」
「…っ」
開口一番に自身に必死に懇願する佐介の姿を黒獅はじっと見ていた
飛鳥もまた佐介のその様子にオロオロとし、虎白は無言でお茶を飲んでいた
「どうか、僕に助力を…お父さん、お母さん」
「顔を上げなさい、佐介」
「…っ?」
必死に頼み込む佐介に黒獅が口を開いた
「お前のその思い、しかと受け取った。いいだろう。俺がお前に稽古をつけてやろう」
「ほ、本当ですか!…ありがとうございますお父さん!」
佐介の必死の頼みが心に響いたのか黒獅は快く引き受けると言ってくれた
その言葉を聞いた佐介は黒獅に深々と感謝した
「…佐介くん。良かったね」
「うん、ありがとう飛鳥ちゃん」
許可をもらえたことを喜ぶ佐介に飛鳥も喜びの顔を浮かべる
「さて、では早速始めるとしよう。だが念押ししておくが俺は引き受けた以上はビシバシと行くからな。覚悟するんだぞ?」
「構いません。むしろどんとこいです!」
善は急げというかのように黒獅は佐介に早速稽古をつけることを告げ
佐介も気合い十分だった
「せっかくだから飛鳥ちゃんも見ていく?」
「えっ?」
「気になるんでしょ?あの子がこの修行でどうなるのか?」
虎白が少々小悪魔的な物言いで飛鳥に尋ねる
「……はい、ではお言葉に甘えさせてもらいます」
その質問に対し、飛鳥は頷き、共に佐介の修行を見ることになった
こうして修行を行うこととなった佐介と飛鳥は両親に連れられ、家から少し離れたところにある広い場所にへとやってきた
「さぁ、ここならば修行の場所としても申し分ないだろう、思う存分やれるから遠慮はいらないよ」
「…こんなところがあったんですね?」
あたりを見まわしながら佐介はなるほどと納得した
「佐介くん、頑張って!でも無茶はダメだからね!」
「飛鳥ちゃん…うん。わかった!」
少し離れた場所で見学している飛鳥が佐介にエールを送る
「あなた、佐介。号令係りは私がするわ」
「すまない。頼むよ」
「お願いします、お母さん」
最中、虎白が佐介と黒獅に自分が試合開始の号令係りを務めることを告げる
「さて…っ!」スッ
「っ…!」バッ
佐介と黒獅が互いに構え、戦闘体制を整える
数秒の間、構えを取ったまま虎白の号令を待っていた
「いざ尋常に……」
虎白が手を空に向けて上げながら口を開く
「……始め!!」
刹那、上げていた手を振り下ろすと同時に試合開始の合図を高らかに宣言する
「はああぁぁぁぁぁっ!!」
「っ!」
次の瞬間、佐介が大きな声を張り上げながら黒獅に向かって特攻する
一気に間合いを詰め、突き二連発に回し蹴りという形に先制攻撃を繰り出す
対する黒獅はそれらを瞬時にかわした
「はあっ!」
「くぅっ!?」
すかさず反撃の一撃たる正拳突きを繰り出し、佐介は咄嗟に手をクロスさせそれを受ける
しかし、そこはさすが黒獅の金剛石の如き拳から繰り出された一撃
防御しても尚衝撃を殺しきることは叶わず、数メートル後方へと吹き飛ばされてしまう
「(お、重い…お父さんの一撃、いつ食らっても凄まじい)」
手から全身に伝わる痺れから佐介は黒獅の凄さを現在進行形で感じ取っていた
「相手を前にぼさっとしている暇があるのか!」
「っ!?」
佐介がハッと我に帰った時には事態はもう次に移っていた
瞬く間に間合いに入られていることに気づかず、佐介は絶句する
そこから黒獅の容赦のない怒涛の奥州が佐介を襲う
素早く、それでいて威力は先ほどのそれと大差のないほどの攻撃が佐介を追い込んでいく
「くっ、ぬぅぅぅ~~!?!?」
「この程度で追い込まれてどうする!…はあっ!!」
「がっ、ぐああっ~!?」
防戦一方になった展開の中、黒獅はそんな醜態をさらす佐介を一喝しながら怯んでいる彼の懐に蹴りを撃ち込んだ
黒獅の怒涛の追い込みに防御もままならず、まともに受けてしまった佐介は再び後方に追いやられ
さらには腹部に受けた蹴りのダメージに思わず地面に跪いて悶絶してしまった
「佐介くん!?」
悶絶し、跪いてしまった佐介の様子をみた飛鳥が思わず叫びながら彼の身を案じていた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「どうした?もうへばったのか?そんなことでは強くなるだなど到底不可能だぞ?」
まだ序章だというのに息を切らしている佐介に黒獅は容赦なく物申す
「い、いえ。この程度でへばってるようではここに来た意味がありません。まだ僕はやれます!」
「ならばそれを口ではなく行動で示せ、強くなるというのであればそれくらいはやってのけろ!」
「言われなくてもそうさせてもらいます!」
強くなるためには口ではなく態度だという黒獅の言葉に胸を打たれながら佐介は再び突っ込んでいった
しかしそれだけでこの差が埋まるわけでもなく、仕掛ける佐介を父が悉く返り討ちにしていく
佐介は諦めず、何度も何度も挑み続けた
そしてそこからしばらくして
けたたましく鳴っていた戦闘の音が静まりを見せた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」ゼェ‐ハァー
静けさを取り戻すその場にはボロボロになり、息も絶え絶えな佐介とその彼を見つめる黒獅の姿があった
あれから何度も挑んでは返り討ちにあってしまい、佐介の体力も限界を迎えてしまっていた
「佐介くん…」
辛そうな佐介の様子を身て飛鳥は心配そうに彼を見ていた
しばらくして佐介が落ち着いてきたタイミングを見計らった父が歩み寄る
傍までくると手を差し伸べ、対する佐介はその手に掴まり、立ち上がった
「大丈夫か?」
「は、はい…はぁ…はぁ…ふぅ~」
息を整えるように佐介はゆっくりと深呼吸をする
「佐介、やはり今のお前には少し焦りが見える。一刻も早く強くなることばかりに固執している」
「っ……」ピクッ
父の指摘に佐介は反論する言葉がなかった
「今からお前に一つルールを課す」
「ルール?」
「俺との修行の間、他のことを考えるな。俺との修行にのみ集中しろ」
突如として黒獅が自身にルールを課したことに佐介は驚く
「お前は彼らに追いつくことばかりが先走っている。故に攻撃も防御も疎かになってしまっている。余計なことを考えているようではお前はいつまで経っても強くなることはできんだろうな」
「…っ!?」
光牙たちに追いつきたいという思いが逆に今の自分を縛る枷になっているという黒獅の指摘に佐介は
これまでの自分の考え方を思い返し、的を射ていると納得していた
「余計な考えは捨てるんだ。お前が強くなりたいのは彼らに勝つことだけか?」
なぜ強くなりたいのか、佐介は思い出す
自分がどうして強くなりたいのか…
それに好悪するように佐介の視界に映ったのは飛鳥だった
彼女を通して佐介の脳裏にさらに浮かび上がるのはこれまでに自分が歩んだ中で出会ったかけがえのない者たち
「…そうでした。僕としたことが焦ってばかりで忘れかけてました。僕が強くなりたい理由は最初から決まっていたんです。僕は僕の大切な人たちを守りたい。みんなの笑顔を守りたい。そのためにも僕は強くなりたいんです!」
「…佐介くん」
本来の自分の強くなるという意味を思い出した佐介にもう迷いの顔はなかった
「よし、ならば来い、俺が…父さんがお前の望みを叶えてやる!」
「はい!行きますよお父さん!」
目的を思い出し、迷いを吹っ切った佐介は再び黒獅に突っ込んで行くのだった