月閃女学館では紫苑が発現させた闇の力と光の力を合わせて
新たなる力にへと昇華させる修行を行っていた
しかし、相反する二つのエネルギーは整合性が取れず、一向に力を発現できないことに紫苑は悩み苦悩していた
そんな中、眠りに落ちた紫苑は夢か幻かそこで死して消えていった雪泉に酷似する少女、夜泉と再会する
夜泉は思い悩んでいる紫苑に対し
彼がまだ心のどこかで闇を恐れていること、その恐れが力を発現させられない原因であることを指摘する
彼女の言葉に確信を得た紫苑はお礼をいい、真の意味で闇を受け入れることを誓う
やがて眼を覚ました紫苑は気持ちを新たにこの力を一つにし、さらなる高みに上ることを決めるのだった
佐介、光牙、紫苑の3人がそれぞれの高みを目指している頃
当然、もう一つの勢力である蛇女の相馬はとうと
「春花さん頼む!この通りだ!」ベコン!
「ちょ、相馬くん、やめてよそんな!?」アセアセ
何故かいきなり春花に全力土下座していた
どうしてこうなったかと言うとことは少し前に遡る
それは春花が紅蓮竜隊の仲間たちと戯れに興じていた時のことだった
「頼もう!」
「「「「――っ?」」」」
丁度相馬がやってきたのだ
「おっ、お前は相馬!」
「何で相馬さんがここにいるん?」
「さてはあたしたちのヤグラを破壊しに来たわね!」
「そんなことさせませんわ!」
相馬が来たのを見るや焔たちは彼が単身で自分たちのヤグラを破壊しに来たのだろうと思い全員が警戒態勢を取った
「ちょ、ちょーっとまった!俺は別に戦いに来た訳じゃねぇよ!?俺は春花さんに用事があってきたんだって!?」
「えっ私?」
しかし慌てた様子で相馬はそんなつもりがないことと自分が春花に用があってきたのだと告げる
「そうそう、だからヤグラだとかそう言うのはまた今度な、というわけで…すまん、春花さん借りてくぞ!さよならバイバイアリーデヴェルチ!」
「ちょ、相馬くん!?きゃぁああ!?」
「はっ、春花さまぁ!?」
呆気に取られる一同を他所に相馬がそそくさと春花を連れて行ってしまった
そうして現在、連れてこられた春花は相馬から盛大に土下座からの何やら頼まれごとをされていた
「と、ともかくやめて相馬くん。わかったから…まずは話だけでも聞かせてくれないかしら?」
「そ、そうっすよね~…実は春花さんに頼みたいことって言うのはこれなんだ」
相馬は恐る恐る懐から何かを取り出した
見るとそれは彼が転身時に使用しているアイテムのシノヴァイザーだった
「ちょッと相馬くん、これってあなたの大事なものじゃない?どうして私に?」
「詳しくは言えないが今、俺の中には膨大なエネルギーが溜め込まれているんだ」
「膨大なエネルギー?」
シノヴァイザーを手にし、ちらりとちらりと見てみるも春花にはそんなに変わらないように思えた
「…それで、これを見せて私にどうしろと?」
「春花さんはいろんな薬作ってるのもそうだが傀儡とかのメンテナンスとかもしてるよな?つまりそういう分野に精通している」
「えっ?えぇそうだけど?」
「頼む、俺の中にあるこのエネルギーを抽出して、”それを扱うことができる物”を作ってほしいんだ!」
相馬から告げられたのはまさかの依頼だった
「…相馬くん、あなた自分が何を言ってるのかわかってるの?」ギロリ
懇願する相馬に春花の目つきが変わる
「今の私たちは互いにヤグラをかけて戦う敵同士でもあるのよ?それなのにどうして私が敵側の人間であるあなたの強化に協力しないといけないのかしら?」
敵対しているはずの春花に自分のパワーアップの手助けを頼んでくるなど敵に塩を送る厚意でしかないとやや強めに言い放った
「春花さんの言ってることは正しい、俺もそこは十分にわかってる。でも、この前の小百合さんとの戦いで無様晒しちまっただろ?そんなんじゃ俺たちあいつらに顔向けできないんだ。だから頼む春花さん、俺たちのパワーアップに協力してくれ!」
馬鹿げたことを言っていると理解しつつも相馬は再び頭を下げ、深々と懇願する
「…ふっ、まったく。いつもはだらしなくてチャラい癖にこういう時はまっすぐねあなたって」
「春花さん?」
「…いいわ、協力してあげる」
「ほ、本当か!ありがとう春花さん!」
頼みを聞いてくれると思った相馬は浮足立つ
「ただし、このことはみんなにも説明するわ、勝手なことをしてみんなから責められるのは嫌だもの」
「あぁ、わかった。それでいい!」
条件付きとはいえ相馬はそれでも構わないと春花にお願いをするのだった
2人の話し合いがひと段落した後、春花はすぐに有言実行ということで紅蓮竜隊の皆に事のあらましを説明する
もちろん春花の言う通り反対の意見もあったが、以外にも光牙や焔のほうからは逆に相手が強くなれば燃えるという意見もあったので
紆余曲折を経て許可が下りたのだった
そうして了承を得た2人は早速ことを始める
「相馬くん、改めて確認するわ、引き受けたからには私も精一杯協力はするけど今回の件は何が起こるかわからない未知数なこと、それを肝に銘じて老いてね?」
「おう、わかってるよ春花さん。何が起ころうとも俺は春花さんを信じるぜ」
許可を得たことで相馬と春花は作業に取り掛かる
「よし、準備完了っと」
「あの〜春花さん?」
「何かしら?」
「なんで俺拘束されてんの?」
準備を終えたところで相馬がベットの上でガッチガッチに拘束されてることを問うた
「だって何が起こるかわからないんだもの、下手にやって私に被害が及んだら困るでしょ?」
「ちょっと、なんだよそれ!」
「はいはい、ともかく始めるわよ」
ギャーギャーと喚く相馬を無視して春花がシノヴァイザーを手に近づく
「さぁ、相馬くん。気合い入れて、行くわよ!」
「ちょ、まだ心の準備が!?」
相馬が必死に待ってと講義する
だが、その思いも空しく相馬の身体にシノヴァイザーを押し当てた
次の瞬間、シノヴァイザーが相馬の身体にあるエネルギーを吸い取りだす
「ぐぅ~!?」
『ぬうっ、ぐぅぅぅ!?』
エネルギーを抽出される中、相馬と蒼馬の顔に苦悶の表情が浮かび上がる
「相馬くん、踏ん張って、もう少しよ」
吸い取られるエネルギーはシノヴァイザーを経由し、そのスロットに差し込まれている春花が作った巻物に注ぎ込まれていった
そうしてエネルギーを吸い取りだして数分が経過した頃に変化が見えだす
スロットに差し込まれていた無色の巻物に色が宿りだす
やがてシノヴァイザーによってエネルギーが完全に吸い取られると同時にシノヴァイザーにセットしていた巻物が眩い光を放つ
「「――っ!?」」
あまりにも眩い光が2人の視界を奪う
しばらくしてようやく2人の視力が回復してきた
「あ〜くそ、まだ目が痛い……っ!?」
不意に視線を向けた先に相馬は驚く
なぜならシノヴァイザーにセットされていた無色だった巻物が色を成し
新たなる巻物として誕生していたからだ
「見なさい相馬くん……最高よ」
「じゃあ?」
「えぇ、これがあなたたちを強くする新たな巻物よ」
春花はそういうと相馬にシノヴァイザーを手渡す
相馬は手渡されたシノヴァイザーを一見するとスロットに差し込まれている巻物を手にする
「……これが、俺たちの新しい力か」
手にした巻物を眺めながら相馬はその未知なる力に期待に胸を高まらせるのだった