相馬side…
長きこの戦いもいよいよ大詰めに差し掛かり、全員が本気の勝負に打って出る
「行きますよ皆さん!はぁぁぁぁ!!」
「僕も負けられませんね!ふんんんんん!!!」
「――っ!!」
佐介が口火を切ると共に他の3人も自身の身に力を高めていく
修行の成果というのか3人の気はどんどんと膨れ上がっていった
「超・
「霊子転身!」
「
3人が一斉に変身の掛け声を唱えた瞬間に溜まっていた力が彼らを包み込んだ
やがて発生した煙の奥から3人の影が見えてきた
「
「…ふぅ〜」
「……はぁ〜」
晴れた煙の向こうから現れたのは自分達の持つ力を具現化させた最強の姿だった
「お、おうおう。気合い入ってんじゃねぇかあいつらw?」汗
『この戦いはあいつらとて譲れないものだからな』
凄まじい剣幕を見せている3人の圧に相馬は思わずぶるってしまっていた
そんな相馬に蒼馬が彼らもこの戦いに全力で挑んでいるのだと諭す
「っ……」汗
『怖いか?』
「んなの怖いに決まってんじゃねぇか、これから本気のあいつらとガチでやり合わないといけないんだからよ」
『正直だな……だが、わからなかもないな』
強がりを見せることなく素直に自身の気持ちを言う相馬にその気持ちはわからなくはないと蒼馬も同感する
『だが忘れたわけじゃないだろう?あいつらに負けられない理由があるように俺たちにも負けられない理由があることを』
「…っ」ピクッ
最中、蒼馬が相馬に自分達が何のためにこの戦いに挑んでいるのかを諭す
蒼馬の言葉を聞いて相馬はふと視線を向ける
視線の先には不安そうにこちらを見ている雅緋たちの姿が見えた
『あいつらもあいつらでこの世界でいろんなことを経験し、未練を乗り越えてここにいるんだ』
「みんな…」
雅緋たちを見て相馬は俯きながら蒼馬の言った言葉を思い出す
小百合にこの世界に飛ばされてヤグラを賭けた戦いを繰り広げる中で
この世界にて現世ではもう会うことのできない人と出会い
それにより心揺さぶられる時もあったが、紆余曲折を経てその未練を断ち、現実を生きることを誓った
だがもし自分がここで負けてしまえばこれまでのこの世界での皆の苦労が水の泡と消えることになる
『それだけじゃないぞソウ、俺たちにはもう一つ果たさなければならない約束があるだろう』
「(…響、それにみんな)」
『そうだ。あの戦いでお前はあいつらに誓っただろう』
「…っ」
蒼馬の言葉を聞いた瞬間、相馬の脳裏にあの戦いの様子が浮かび上がる
未練を残したまま死んでいった彼女たちと相馬はこの世界で再会した
しかしそれは決して喜ばしいものではなく、彼女たちは怒りを露わにし、それから幾度となく交戦を繰り広げた
そしてあの最後の戦いの中、タイムリミットが迫り来ているにも拘わらず最後の最後まで戦った
戦いの末に相馬は自分の思いを継げ、業を全て背負うことを誓い、彼女たちからは激励の言葉と約束を交わし
最後は和解し、自分たちに後を託し逝った
彼女たちとの別れを経て相馬たちにも譲れないものができたのだ
「そうだったな。俺たちはあいつらの分も長生きして人生を謳歌するんだ。それが俺たちのできるあいつらへの償いだもんな。こんなところで惨めな姿晒してちゃ格好つかねぇよな!」
「うん、その意気だ。さぁソウ、俺たちもやるぞ」
「おうよ。あいつらに見せてやろうぜ。俺たちの新しい力をよ!」
意気込むと相馬は懐からあるものを取り出した
「――っ!」ピクッ
相馬が取り出したのはシノヴァイザー用の巻物、それを見た瞬間、光牙がハッとなる
そうして光牙がおもむろに視線を向けると同じようにハッとした顔を浮かべている春花の様子もうかがえた
これを見て確信した光牙が警戒心を全開にしながら相馬の出方を伺う
「行くぜアオ!」
「あぁ!」
拳と拳を合わせると蒼馬は身体を粒子状にさせ、相馬の身体に吸収された
「――っ!」
カチャ!シュルルルルルル!
再び一人となった相馬が次に行ったのは装着していたシノヴァイザーを腰に巻き付けることだった
続けざまに相馬はもう片方に手にしている巻物をシノヴァイザーにセットする
するとシノヴァイザーの液晶モニターに「業」の一文字が浮かび上がる
続けざまに相馬がポーズをとる
「あっ…!」
「どうしたの両奈?」
「見て両備ちゃん、相馬くんの横に蒼馬くんが見えるよ!」
両奈が指し示すものに皆の目が行く
皆が視線を向けた先に映った光景
それは両奈のいう通り相馬の横に並び経ち、同じポーズをとる蒼馬の姿が
さらに2人の周囲に5つの紫色に燃え上がる炎が灯っていく
しかも灯る紫色の炎から何か異様なものを感じさせていた
『「
2人の声が重なり、それを合図に相馬が腰に装着したシノヴァイザーのボタンを押す
相馬と蒼馬の幻影が1つに重なり
周囲に灯っている紫色の炎が相馬の体に吸収される
「――っ、うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
ボバァァァァァァァン!!
次の瞬間、相馬が声を張り上げたと思いきや同時に大爆発を引き起こした
やがて周囲に舞っていた爆煙が晴れていき、その先に現れた相馬の姿に全員が度肝を抜かされていた
身を纏う外骨格の形状が変化しており、見るからに只者ではないオーラを放っていた
「待たせたな。さぁ、始めようぜ?」
「「「――っ!?」」」
その言葉を聞いた瞬間、佐介たちは一斉に臨戦態勢をとる
しかし相馬の身体から迸るプレッシャーが佐介たちの攻めいる隙を与えさせずにいた
「なんだよ来ないのか?…だったらこっちから行かせてもらうもんね!!」
業を煮やした相馬が自ら飛び出してきた
「来るぞ!」
「「――っ!」」
仕掛けてきた相馬を目にした光牙たちが身構える
「お~~らよっと!!」
突っ込んだ相馬が跳躍するとともに拳を突き出した
3人は急ぎその場から離れ、相馬の第一発は惜しくも不発に終わる
「ふっ!!」パシュン!
「おわっと!」
隙を突いて光牙が矢で攻撃するも相馬はそれをバク転しながらかわす
「はあっ!!」
「おっと!?」
攻撃をかわすのもつかの間、今度は紫苑がその隙を突いて光弾を放ってきた
これに対し相馬はさっきより少しギリギリではあるもののなんとかこれも紙一重でかわす
「やあっ!」
「――っ!?」
「ふっ!ふんっ!やあっ!!」
「うわわっ!?」
しかし今度は佐介が接近戦の奥州で相馬に襲い掛かる
『ソウ、何をしているんだ。このままではせっかく強くなったのが無意味になるじゃないか!?』
「うるさいわ、わかってるっての!見てろよ。ここからが本領発揮なんだから、よっと!!」
「――っ!?」
蒼馬からダメ出しを受けつつもここからが本場だと言って佐介から距離をとった
地面に着地する鳴り佐介たち3人が次なる攻めのために周囲を囲んだ
「さっきは良くもやりたい放題してくれたなお前ら、だがそれもこれまでだ。ここからは……俺たちの
そう宣言するとともに相馬が腰に巻いているシノヴァイザーのスロットにセットされている巻物についている歯車上のレバーをスライドさせる
すると液晶モニターに「怠」の文字が浮かび上がる
「ふぅぅ~~ん、はっ!!」
刹那、相馬が右足を上げ、その右足で地面を踏む
次の瞬間、地面を踏みしめた右足から四方八方を囲うように大きなフィールドが形成される
フィールド内に入った佐介たちは何事かとソワソワする
「【
相馬が技を発動させた時だった
「「「なっ!?」」」ズゥウウン!
突如、3人に異変が起こる
「な、なんだ、これは!?」ググググッツ
「体が急に気だるくなって!?」ググググッツ
「立って、られま…せん!?」ググググッツ
急激に体に気だるさや体の重みを感じ、経つこともままならない状況になった
「な、何をした相馬!?」
「へへっ、これが俺たちだけに与えられた7つの術から構成される新術、その名も「
「
「おうよ、そしてこれは俺が司る怠惰の能力、
この急激な体調の不良は相馬の操る怠惰の効果だと聞かされる
「辛いだろ?でもな、これで終わりにするほど俺は甘くねぇぞ…っ!」
相馬は佐介たちにそう告げると再びギアをスライドさせる
次に液晶モニターに浮かび上がったのは「嫉」の文字
「(智美、お前の力を使わせてもらうぞ!)」
身構える相馬の横に智美の幻影が浮かび上がる
「【
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」
両手の手の甲から針状のものを突き立たせ、そしてその針で佐介たちを攻撃し
接触と同時に爆発を巻き起こし、後方に吹き飛ばした
ダメージを受け、苦しんでいる3人を前に相馬は次のギアをスライドさせる
今度は「色」の文字が浮かぶ
「(莉愛、お前の力を使わせてくれ!)」
念じると相馬の横に莉愛の幻影が現れ、シノヴァイザーを指さす
彼女に従うように相馬は腰に装着していたシノヴァイザーをガンモードにしつつ右手に装着する
佐介たち3人に向けて銃口を向けるとその銃口から紫に燃え上がる炎が灯る
「【
術名を叫ぶと同時に相馬の周囲に無数のシノヴァイザーの幻影が現れ、相馬がトリガーを引くとともに一斉掃射を繰り出す
一斉掃射による攻撃が佐介たちを襲う
「「「――っ!!」」」
「――っ?」
相馬の一斉掃射が止んだその数秒後
一方的にやられてばかりの3人がアクションを起こす
3人ともにエネルギーを集中させる
「絶・秘伝忍法【爆裂獣波】!」
「絶・【「
「絶・秘伝忍法【
十分に溜め込んだ3人は一斉に最大の必殺技を繰り出す
佐介たちの大技が相馬に襲い掛かる
「(でぶっちょ、こんな時はお前の力だな!)」
そんな中、相馬は冷静に考えているとその横で満腹がふんがーと力んでいるように見えた
「【
術を発動させ、相馬が左手を突き出す
グパァァァッ!ガブッ!!
「「なっ!?」」
「バカな。吸収されただと!?」
すると左手の先から現れた怪物の頭部を模したエネルギーが3人の技をひと飲みにしてしまった
「
続け様に相馬がギアをスライドさせ、モニターに「欲」の文字が刻まれる
先の3つの技同様に相馬の横に幻影が現れる
「(星奈、お前のこの力、存分に使うぜ!)」
心の声でそう告げると相馬はシノヴァイザーをアタックモードに切り替える
さらに先ほど左手に吸収されたエネルギーがシノヴァイザーを持つ右手の方に移る
「【
相馬がシノヴァイザーの刃の先端から円状のエネルギー波を生成し、それを投げつける
円状のエネルギー波は途中で1つから3つに分かれ、3人それぞれの元に飛んでいった
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ぐぅぅっ!?」
「ぬあぁぁぁぁぁぁっ!?」
3人は技を放った直後のため、身動きが取れずダメージを受けてしまった
だがここで手を緩める相馬ではなく、攻撃を当てて早々に新たにギアをスライドさせる
5つ目に液晶モニターに映ったのは「憤」の文字が浮かぶ
「
相馬が術名を呟き身構える
するとその時、相馬の背中に温かい温もりが
『「…行け、やっちゃえ相馬!!」』
「(…あぁ、わかってるよ。しっかりと見ててくれよな、響)」
振り替えることなく背中で語る相馬に響の幻影が頷きながら消えていった
期待を背負いながら相馬は閉じていた目を開く
「【
術が発動すると相馬の身体に異様な気が発生した
それにより相馬の様子にも変化が現れ、目からは眼光が光っていた
「うおおおおおおお!!」
大きく方向を上げながら相馬が3人に向かって突っ込んだ
先の攻撃のダメージによって動けない3人に相馬を止める手立てはなく、間合いに入られてしまう
「はあぁぁぁぁぁぁ!!」
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
次の瞬間、相馬が怒涛の攻撃で佐介たちを追い込む、それこそ憤怒の如く
攻撃が終了し、オーラが消えるや相馬が七度目のギアをスライドさせる
表示されたのは「傲」の文字
『「ようやく俺の番か」』
「あぁ、頼むぜアオ!」
『「あぁ!」』
意を合わせる2人
すると相馬の周囲に蒼炎を纏った蝙蝠や梟、孔雀などが出現する
「【
術を発動させると出現した3体が佐介たちに向かって飛んでいく
佐介たちはすかさず追い払おうとする
「はあっ!」
「せいっ!」
「ふん!」
それにより3体に佐介たちの攻撃がヒットする
しかしその時だった
攻撃がヒットした瞬間、3体の身体が発光する
ボバァァン!ブォォォォォォォォォォ!!
「「「――っ!?」」」
刹那、3体が爆発し、佐介たちを蒼い炎が焦がした
「…おっ?」
「ぐっ、ぐぅううう!?」
メラメラと燃え上がる蒼炎の中から這い出てくるように光牙が現れた
しかし残り二人は先の攻撃によって転身が解け、地面に横たわっていた
「あぁ…佐介くんが」汗
「し、紫苑」汗
倒れている2人を目にした飛鳥と雪泉、さらには他の半蔵学院と月閃女学館の面々にも動揺が走っていた
「…光牙」
やられた2人を見て焔は心配そうな面持ちで光牙のほうに視線を向けていた
「やるな、あの攻撃を食らってまだ立ってられるとは」
「な、舐めるな…この程度で!?」
「折れない心意気は立派だが、残念だが決めさせてもらうぜ!」
満を持して相馬がこの戦いに終止符をつけるべくギアを数回スライドさせる
最後に液晶モニターに表示されたのは「罪」の文字
すると相馬の両足に青黒い炎が燃え上がる
「超絶・秘伝忍法…っ!!」バッ!
炎の勢いが最高兆に達した瞬間、相馬が天高く跳躍する
「【
相馬は落下の勢いに任せ、突き出した両足による蹴りを繰り出す
「――っ!?」
迫りくる相馬を前に光牙にもはや逃げる力も残ってはいなかった
「はぁぁぁぁ!!」
ドスゥン!ボバァァァァァァァン!!
渾身の一撃が炸裂し、場は爆煙に包まれた
一同が行く末を見守る
やがて爆煙が次第に消えていき、その先にある光景が姿を見せる
皆の目に映ったのは転身が解け、再起不能となった光牙
さらにはその横に倒れる佐介と紫苑との中心に佇む相馬の姿だった
沈黙がよぎっていると相馬が拳を空に向かって突き出す
そしてまるで天を掴んだと言うかのようにその拳をグッと握りしめた
「勝った?相馬が勝ったの?」
「うんうん!そうだよ両備ちゃん!相馬くんが勝ったんだよ!」
「と言うことはこの勝負…」
「私たち蛇女の勝利だ…」
まだ少し状況が読み込めずにいた雅緋たちだったが、次第に笑みを浮かべる
「「「やったー!!」」」
「やったわ、両備たちが勝ったのよ!」
「うんうん!こんなのぜ〜ったい嬉しいんだから〜♪…相馬く〜ん♪」
「あっちょっと両奈!」
勝利したことに歓喜の声を上げながら浮かれるチームメイトたち
そして両奈が駆け寄るとともに皆が相馬の元に集まり、彼の勝利を讃えるのだった