閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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訪れる両備とドナドナされる佐介 

それは佐介たちが最後の決戦に挑む日より3日ほど前に遡る

 

 

「よし…それじゃ行ってきますね」

 

 

準備を整えた佐介が皆に出かける挨拶をする

 

 

「また今日も黒獅さんたちのところにいかれるのですか?」

 

 

「張り切ってんな〜?」

 

 

「はい。光牙くんたちのと決戦は近い、お父さんたちに鍛えてもらって今以上に強くならなければいけませんから」

 

 

 

約束の決戦の日は残り僅か、佐介は今もその日に備えて修行を行っているであろう光牙たちに渡り合うためにももっと強くなりたいと張り切っていた

 

 

そうしていよいよ出発をしようとした時のことだった

 

 

「ねぇ、誰かいる〜?」

 

 

「「「「…っ?」」」」

 

 

「この声は…っ?」

 

 

聞き覚えのある声がすることに気づいた佐介たちが発生源に向かっていく

 

 

「ねぇってば?誰もいないのー?」

 

 

「あぁ、やっぱり両備ちゃんでしたか?」

 

 

「…っ?」

 

 

声のする方に行くと案の定、その主は両備だった

 

 

自分を呼ぶ声に気づいた両備もまた佐介たちの方に視線を向ける

 

 

「なんだいるじゃない。もう、両備が呼んでるんだからすぐに出てきなさいっての」

 

 

「すっ、すみません。ちょっとみんなと話しをしていたものでして」

 

 

むすっとする両備を見て佐介が慌てて謝罪する

 

 

「しかし両備さん、なぜここに?」

 

 

「まさかヤグラを破壊しに来たのか!?」

 

 

両備が来たことに疑問を抱く一同、そんな中、葛城がヤグラを破壊しに来たのではないかと疑いの目を向ける

 

 

「違うわよ。今更そんなことしたって両備には何の意味もないわよ」

 

 

葛城の指摘に両備は真っ向から否定する

 

 

「ではいったいどうして?」

 

 

ヤグラを破壊しに来たわけではないのならここに来たのはどういう要件なのだろうかと佐介が両備に問う

 

 

「あんたを探してたのよ。いるかなと思って立ち寄ったけどわざわざ出てきてくれて手間が省けたわ」

 

 

「僕に?」

 

 

「…っ」ギュッ

 

 

「えっ?」

 

 

自分に用があるのだと告げられ、佐介がきょとんとしていると徐に両備が手を掴んできた

 

 

「じゃ、ちょっとの間借りてくわね?」

 

 

「「「「は、はい?」」」」

 

 

唐突に思わぬ一言を発する両備に皆鳩が豆鉄砲を食ったような顔になる

 

 

「えっ、ちょっ?ってうわっ!?」

 

 

「――っ!!」

 

 

「うわぁああああ!?」

 

 

「「「「「さっ、佐介(くん)(さん)!?」」」」」

 

 

次の瞬間、言うが早いがごとく両備が全速力で掛けだし

 

 

両備に手を握られていた佐介はそのまま彼女に連れ攫われてしまうのだった

 

 

 

 

 

 

拠点から拉致られてしまった佐介は両備に連れられるままどこかの場所にやってきていた

 

 

「よし、ここまでくればひとまずはいいわね?」

 

 

「りょ、両備ちゃんひどいじゃないですか?いきなり連れて行くだなんて?僕これからお父さんたちのところに行って修行を付けてもらいに行こうとしてたんですよ?」

 

 

息を整えた佐介は何の説明もなく自分を連れだした両備に対して若干不服そうな顔を浮かべる

 

 

「悪かったわね。でも、その…どうしてもあんたに来てほしかったのよ」

 

 

「両備ちゃん?」

 

 

その時、佐介は両備がどこかすごく切なそうにしていることに気づいた

 

 

「…なにかあったんですか?」

 

 

自分を連れだしたのにはそれほど何か事情があるのだと悟りつつ、佐介は理由についてを訊ねる

 

 

「実は……両備は両姫おねえちゃんを成仏させてあげたいの」

 

 

「両姫さんを?」

 

 

「うん…」

 

 

すると両備は自分が両姫を成仏させたいのだと告げる

 

 

「お姉ちゃんとこの世界で再会できたこともまた話すことができたことも正直に嬉しかった。でも、だからこそこのままじゃダメなんだってことを…”あんた”たちを見て思ったの」

 

 

「…っ」

 

 

死んでしまった両姫にもう一度会えて嬉しかったことを両備は伝えるも、同時に今のままではダメなんだとも述べる

 

 

「相馬のやつは昔の仲間たちの傷も痛みも背負ってそいつらを解放した。紫苑たちは育ての親の黒影との別れを、雅緋と光牙は母親との別れを乗り越えた」

 

 

両備は相馬や紫苑、光牙たちが身内と二度目の別れを果たし、それを乗り越えて前に進んでいるんだと知り、皆の覚悟を目の当たりにしていった

 

 

「…あんたもそうなんでしょ?」

 

 

「えっ?」

 

 

「修行を終えて5日後の決戦の日でもし半蔵が勝てば元の世界にいち早く戻れる。つまりそれは両親との分けれを意味している。でももうあんたはその覚悟を決めてるんでしょ?」

 

 

「……えぇ、その通りです。正直、未練がないと言えば嘘になります…でも、”もう立ち止まらないって決めましたから”」

 

 

続けて様に両備は佐介に対しても同じようなことを告げ、問いかける

 

 

それに対して佐介は少し暗い顔を浮かべるも覚悟を決めた真っ直ぐな眼差しを向け、両備に自分の思いを告げる

 

 

「…やっぱりね、あんたならそう言うと思ったわ。だからこそ両備もあんたたちのようにすると決めたのよ」

 

 

予想通りでありながら両備はその答えに満足そうな顔を浮かべ、なればこそ自分もそうしなければならないと佐介に語った

 

 

「改めて言うわ佐介、そしてお願いするわ。これから両姫お姉ちゃんを安心して逝かせるために両備は両備はお姉ちゃんと”戦う”、あんたには両備たちの戦いを見届けてほしいの」

 

 

切実な願いであるということを示しているかのような面持ちで両備が佐介に願い出る

 

 

佐介もそんな両備の顔をじっと見つめていた

 

 

「両備ちゃん、あなたの気持ちはわかりました。僕でお役に立てるのであれば喜んで協力しますよ」

 

 

すると佐介は両備に対して笑みを浮かべ、彼女の頼みを聞き入れた

 

 

両備のこの頼みを断ることなど佐介にはできなかった

 

 

できる限り彼女の力になってあげたい、今の佐介の心にはその思いだけが浮かんでいた

 

 

「……ありがとう。恩にきるわ」

 

 

自分の頼みを聞いてくれたことに対し、両備は感謝の言葉を贈る

 

 

「ですがその前に少しだけ時間を頂かせてもらえませんか?さっきも言ったように僕は元々お父さんたちのところに行って修行するという予定がありましたからそれをお父さんたちに断ってこないとなので」

 

 

「わかったわ。こっちもお姉ちゃんに指定場所に来るように手を売っておくから」

 

 

頼みを聞き入れる以上、修行は行えないため、佐介がその旨を両親である黒獅たちに説明してくることを伝えるため

 

 

両備のほうも両備で両姫に指定する場所にくるようにすることを告げ、互いに行動を開始するために一時別れることにしたのだった

 

 

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