閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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姉のために、自分のために 

両備からの願いを聞き入れた佐介は一旦彼女と別れ、単身両親の元にやってきた

 

 

「っという事がありまして、僕、両備ちゃんの力になってあげたいんです」

 

 

佐介は両親にこれまでの両備とのやりとりについてを説明する

 

 

「なるほど、そういうことだったのね?」

 

 

「気にするな佐介、その子の支えになってあげるといい。最近修行詰めだったこともあるしな」

 

 

「お父さん…お母さん…ありがとうございます」

 

 

事情を知った黒獅と虎白は佐介に両備の力になるようにと背中をおした

 

 

「では僕は両備ちゃんのところに戻りますね、それじゃ!」

 

 

2人に手を振り、両備のところに向かうべく佐介は山道を降りて行くのだった

 

 

「あの子ったら本当、他人のために一生懸命ね?」

 

 

「それだけあの子がいい子に育ったという証拠なんだよ」

 

 

「うふふっ、そうね」

 

 

仲間を思う優しい子に育ったことに黒獅と虎白はとても誇らしい気持ちになりながら息子である佐介のことを思い、物思いに耽るのだった

 

 

 

 

 

 

黒獅と虎白と別れた佐介は合流するべく両備の元に向かった

 

 

「あっ、いたいた。おーい、両備ちゃーん!」

 

 

「…っ?」

 

 

「お待たせしましたー!」

 

 

そうして移動することしばらくして佐介はビーチで自分を待っていた両備の姿を発見し、声をかけた

 

 

「遅いわよ?何してたの?」

 

 

やってきた佐介に対して両備は遅すぎると文句を言ってきた

 

 

「すっすみません、少しお父さんたちと会話に興じていたものでしたので」アセアセ

 

 

両備の問い詰めに動揺しつつも佐介は遅れてしまったことを謝罪する

 

 

「まぁいいわ。こっちのほうの支度はできてるわ」

 

 

「ということは…」

 

 

「えぇ…この先の方で”両姫お姉ちゃんが待っているのよ”」

 

 

浜辺の向こうの方で両備の呼びかけに誘われた両姫が待っていると聞き

 

 

佐介は自分のことではないにも関わらず息を吞んだ

 

 

「さぁ、ここで立ち止まってても仕方ないからそろそろお姉ちゃんのところに行きましょう」

 

 

「あっはい、わかりました」

 

 

2人は両姫が待っていてくれているであろう向こう側に向かって進んでいった

 

 

そうして佐介と両備が浜辺を歩いて数分が経過した時だった

 

 

海岸沿いで佇んでいる人影が見えてきた

 

 

人影の正体、それは言わずもがな、両備が呼び出した人物、彼女の姉である両姫だった

 

 

「いました。両姫さんです」

 

 

「えぇ…わかってるわ」

 

 

両姫の姿がはっきりと視認できるところまできた佐介と両備

 

 

「佐介、ここでいいわ」

 

 

「あっ…はい」

 

 

するとその直後、歩みを止めた両備が佐介に待ったをかける

 

 

「…ここからは両備だけで行くわ。あんたはここで見ていて、”両備の戦いを”」

 

 

「わかりました。両備ちゃん、ご武運を」

 

 

いよいよ戦いに赴くという覚悟を胸に秘める両備に佐介は検討を祈るとエールを送る

 

 

「ありがとう…じゃあ、行ってくるわ!」

 

 

佐介からのエールを貰った両備は単身、両姫の元に向かっていった

 

 

「…両備ちゃん」

 

 

一歩一歩、両姫に向かっていく両備の後ろ姿を目にしながら佐介は心配と不安から彼女の名を呟くのだった

 

 

 

 

そして佐介に見送られた両備がとうとう自分を待っている両姫の元にたどり着いた

 

 

「両姫お姉ちゃん!」

 

 

「――っ?」チラッ

 

 

両備が声をかけると海の方を見ていた両姫がハッとした顔で振り返り、両備のほうに視線を向けた

 

 

「あら、両備ちゃん♪」

 

 

妹が来たのを見るや両姫はとても嬉しそうな顔を浮かべる

 

 

「やっと来てくれたのね、急に呼び出しを受けた時は何事かと思ったわ?…それで、どうしたんの、こんな場所に呼び出して?」

 

 

いつものように優しい顔を浮かべながら両姫はどうしてこの場所に自分を呼んだのかを両備に訊ねる

 

 

「その前にまず両備はお姉ちゃんに言いたいことがあるの」

 

 

「言いたいこと?」

 

 

すると両備は質問に答えるよりも先に言いたいことがあるのだと両姫に告げる

 

 

「お姉ちゃん…ごめんなさい!」

 

 

「えっ!?」

 

 

次の瞬間、両備は勢いよく頭を下げてきた

 

 

これを見ていた両姫は何事かと困惑した様子を見せていた

 

 

「ど、どうしたの両備ちゃん?いきなり頭を下げるなんて、ほら頭を上げて?」アセアセ

 

 

「ううん、そういうわけにはいかないよ。両備はずっとお姉ちゃんに謝りたかった。両備がお姉ちゃんに”あんなこと”言ってしまったことを」

 

 

頭を上げるように促そうとする両姫の言葉に反論する形で両備は意味深な言葉を口にする

 

 

「あんなこと?両備ちゃんと両姫さんの間にいったい何があったんだろう?」

 

 

傍から2人の様子を見ていた佐介は先ほどの両備の告げた内容に驚いていた

 

 

「両備ちゃん、気にしなくていいのよ。お姉ちゃんが事故であって両備ちゃんのせいじゃないわ」

 

 

「ううん、直接的にじゃなくても原因の一端は両備にだってあるよ…両備はずっとお姉ちゃんのことを羨ましく思ってた。誰にでも分け隔てなく優しくて忍としてもすごいと言えるほどの誇らしい存在だった。でも、だからこそ、そんなお姉ちゃんに両備はいつしかコンプレックスを抱えるようになっちゃった」

 

 

両備はそう言葉を綴りながら声を発する度に顔に後悔の表情が浮かび上がっていた

 

 

「嫉妬に駆られてしまったせいで両備はあの日、お姉ちゃんに”死んじゃえ”なんて言ってしまった。お姉ちゃんの心に傷を負わせちゃった」

 

 

「両備ちゃん…」

 

 

後悔に苛まながら生きてきた両備が両姫にその思いを告げる

 

 

「お姉ちゃんが死んで両備はどれほど自分を責めたか、自分のくだらない嫉妬心のせいでお姉ちゃんの命を奪ってしまったんだって…ずっとその後悔を抱えながら両備は今日まで生きてきたんだよ」

 

 

「…っ」

 

 

「だからこの千年祭でお姉ちゃんにもう一度会って話せてすごく嬉しかった。でも両備はへそ曲がりだからお姉ちゃんに謝ろうにもきっかけを見いだせずずるずるとここまで来ちゃったんだ」

 

 

本当はすぐにでもあの時のことを謝りたかったことを両姫に吐露した

 

 

「でも…あいつやみんなの姿を見てそれはもうやめようって決心したんだ」

 

 

「…っ?」

 

 

会話を続ける最中、両備が視線を向けた先には佐介がいた

 

 

「大切な人たちに再会して心迷う時があれど、最後はそれを振り切って前に進むことを選んだ…両備も立ち止まってちゃダメなんだってみんなから教えられた…だから」

 

 

とうとうに両備が会話を途切るとともにライフルを手に持つ

 

 

「両備と勝負だよお姉ちゃん!今の両備の力をお姉ちゃんににみせるためにも!」

 

 

「…両備ちゃん」

 

 

宣戦布告をする両備に両姫は驚きの表情を浮かべるのだった

 

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