両姫の魂をあるべき場所へ返すため、両備が意を決して両姫に宣戦布告をした
「さぁ両姫お姉ちゃん、両備と勝負よ!」
ライフルを肩に乗せ、空いているもう片方の手で指を刺し、両姫に勝負を申し込む
「両備ちゃん…そう、それほど本気なのね。分かったわ、その勝負受けて立つわ」
気合十分な様子の両備を見た両姫も両備の思いに応えるために武器を手にする
「そう来なくっちゃ、本気で行くからね!」
やる気を出してくれた両姫を見て両備もさらに闘志を燃え上がらせる
「でもその前に一つだけこの勝敗について提示しておくわね」
「…何よ?」
いざ始まるという手前で両姫が両備に勝負の勝敗における提示事項があると言ってきた
「まずこの勝敗、両備ちゃんが勝った時はお姉ちゃんは本来のあるべき場所に戻るわ」
「うっ、うん」
両姫はまず両備に彼女が勝った場合の説明をする
話を聞いていた両備のほうは何を今更といった顔を浮かべつつも素直に話を聞いていた
「けれどもし両備ちゃんがお姉ちゃんに負けた場合、その時は…」
すると両姫は自分の勝利条件を告げる途中で言葉を止めて不意に視線を別の穂へ向ける
「(お姉ちゃんの視線の先…って、もしかして!)」チラッ
それを見て何かを察したように両備も視線を両姫の見ているほうに向ける
案の定、両姫が見据えているのは佐介がいる場所だった
佐介の方も2人が自分のほうを見ていることに気づいたのか何事かとそわそわしている様子だった
「佐介の方を見て何だって言うのよ?」
嫌な予感が過りつつ、両備が恐る恐る両姫に訊ねる
「両備ちゃんが負けた場合、佐介さんはお姉ちゃんがもらい受けちゃいま~す」
「…えっ?」
「はいぃいいいいいい!?」
両姫からの思いもよらぬ一言に佐介はぽかんとし、両備はこの上ないほどに焦っていた
「ちょ、ちょっともらい受けるって何よ!?」
「言葉通りよ。両備ちゃんが負けたら佐介さんは私とこの世界でず~っと過ごしてもらうことになるわ」
「えっ?…えぇっ!?」ドキン!
話を聞いていた佐介は一度目はふむふむといった感じだったが、内容を思い返した途端に慌てふためいていた
「あ、あいつは関係ないじゃない!?」
動揺する佐介を見て両備はすかさず両姫に勝利条件について抗議しようとする
「あら、お姉ちゃんは負けてしまえば可愛い妹たちと二度と会うことはできないということを賭けてこの戦いに望むのよ?両備ちゃんだけ何もないというのはフェアじゃないんじゃないから?」
「うぐっ…」
しかし最もな意見を言われてしまい、言い返す言葉が見つからなかった
「どうする両備ちゃん。この条件を飲んでお姉ちゃんと戦うか、潔く諦めるか?」
畳み掛けるように両姫が両備に決断を強いる
「……っ」アセアセ
その問いかけに両備は困惑する
「(まさか思いもよらなかった。お姉ちゃんがこんなことを言いだすなんて…佐介を連れてきたことが仇になってしまったわ!?)」
予想もしなかった展開に両備はどうしたらいいかと思い悩んでいた
自分の戦いを見守ってほしいために佐介についてきてもらったというのに
よもやその佐介を堕しに使われると想像していなかったからだ
「ぐっ…」
もし自分がこのまま勝負を挑んで負けてしまえば佐介に迷惑をかけてしまうという責任感が重くのしかかり、両備は判断に迷っていた
「戦ってください両備ちゃん!」
「――っ!?」
刹那、両備が自分に語り掛ける声を聞き、振り向くとそれは佐介だった
「両備ちゃん、戦ってください。君はそのためにここに来たんでしょ!」
「で…でも」アセアセ
「僕は信じています。両備ちゃんは負けないって、だから戦ってください!」
「…佐介」
負ければ自分がどうなるかもわからないというのにそれでも自分に運命を託してくれる佐介の思いに両備は胸を打たれた
「……いいわ。その条件呑むわ。改めて勝負よお姉ちゃん!」
佐介からの後押しによって覚悟を決めた両備が再度両姫に戦いを挑んだ
「いいでしょう、ならば…勝負よ両備ちゃん!」
決心がついた両備を目にするや両姫も武器を手に構える
「(ついに始まるんだ。両備ちゃんと両姫さんの戦いが)」
傍から見ていた佐介も両備と両姫が戦おうとしているのを目にし、ごくりと息を呑み、ただその様子を見守る
「いくよお姉ちゃん!」
「来なさい両備ちゃん!」
両備が声をかけ、両姫もそれに応じて返事を返した
「――っ!」パキュゥン!
次の瞬間、ライフルを構えるとともに両備が弾丸を発射する
「行くわよ――っ!!」
それを見た両姫が前面に盾を構え、特攻してきた
強固な守りによって両備の放った弾丸は盾によって弾かれてしまい、まったくダメージを与えらられず、両備の顔に悔しみが浮かぶ
「今度はこっちの番よ!」
攻撃の手が止んだ瞬間、両姫がショットガンを放ち、両備を狙撃する
「うわっ!?」
放たれたショットガンの弾丸が両備の手前の砂原に着弾し、巻き上げられた砂が両備を覆いつくした
「しっ、しまった!?」
周囲に広がった砂が目に入ってしまい、両備は怯んでしまう
「ぐぅっ!?くっそぉおおお!!」
だが、こんなことでやられてたまるものかという勢いの元、両備は辺り構わずライフルを乱射する
「両備ちゃん、残念だけどそんな闇雲な攻撃じゃ…お姉ちゃんを倒すなんてできないわよ!」
ガチャン!パシュゥ~~ン!!
少し残念なものを見るかのように両姫がそう呟くと盾を展開し、そこから大量のミサイルを発射する
ミサイルたちは一斉に両備に向かって突っ込んでいく
ヒュウウウウ!ドドォオオオン!!
「きゃあああっ!?」
次の瞬間、ミサイルの着弾と発生した爆発によって吹き飛ばされる両備の叫び声がビーチに響き渡る
「きゃっ!?」バシャン!
吹き飛ばされた両備は海面の方に勢いよくドボンした
「ぶはっ!?…まだ、まだよ。こんなところで!?」
海面に落ちた両備だったが、すぐに上がって息継ぎをし、まだまだやれると自分を奮い立たせる
水浸しになりながら両備はなんとか立ちあがろうとする
「両備ちゃん!早く水から上がってください!?」
「佐介…っ!?」
するとその時、不意に佐介の声が聞こえて来たのに気づいた両備が空を見上げた瞬間に絶句する
なぜなら先ほどのミサイルは全弾ではなく、残りのミサイルが今まさに両備に向かって飛んできていたのだ
もうミサイルは目前にまで迫っており、両備が逃げれる間などどこにもなかった
「両備ちゃん!?」
迫りくるミサイルに絶望の表情を浮かべる両備と佐介の叫ぶ声が鳴り響くのだった