亜騎羅の快進撃がとどまるところをを知らぬ中、佐介、相馬たちに続いて紫苑が立ち上がる
得意の4元素の術を駆使し、戦いに挑む
そしてその最中、一瞬の隙を突き、紫苑の放った渾身の一撃が亜騎羅を吹き飛ばした
ここまでで大が付くほどの一撃を浴びせたことに紫苑はもちろん、ほかの皆もこれには期待を感じさせていた
だが、そんな考えは攻撃をもろに受けたにもかかわらずピンとして立ち上がる亜騎羅の姿によってもろく崩れ落ちる
反撃を仕掛ける亜騎羅、しかし紫苑も怖気ずく分けにはいかず、自身の持てる技術と力で応戦していった
しかし、懸命に奮闘する紫苑の努力もむなしく仕掛けた一撃をかわされると同時に強烈な打撃を受け、壁のほうに吹き飛ばされてしまったのだった
佐介、相馬、紫苑の3人を蹴散らした亜騎羅だったが、その刹那に狙撃されかけ、間一髪で回避した
そして向かい合う先にはこちらに向けて弓を構える光牙の姿があった
この数分で佐介、相馬、紫苑らが蹴散らされていき、皆が緊迫感に包まれる中、次に挑むのは光牙だった
「……っ!!」パシュシュシュン!
「っ…!!」バッ!
光牙が矢を放ち亜騎羅を狙撃する
それを見た亜騎羅がそれをかわしていく
「…っ!」サッ!
「っ!?」
かわし続けながらに気を見計らった亜騎羅がここぞとばかりに光牙に接近を試みる
「させるか!」
カチャカチャ…
これを受け、光牙が弓を操作し、再び矢を構える
亜騎羅に狙いを定め、弦を引き絞らせていた手を勢いよく離すと矢が彼目がけて向かっていった
警戒しつつも亜騎羅はそのまま突き進んだ
そして放たれた矢が亜騎羅の寸前まで到達した次の瞬間
矢の先端がパージしたと同時にそこから多数の光弾が発生した
「っ!?」
自分めがけて光弾が飛んできていることを知り、慌ててブレーキをかけるも
既に光弾は亜騎羅の目の前にまで来ており逃げ場はすでになかった
ボババババババババ!!
「ぐっ!?」
すかさず得物を盾にして攻撃を受けた
「ぬあっ!?」
しかし、攻撃の手数が多すぎたため、耐えきれずに後方へと吹き飛んだ
「…ちぃっ!」
「っ…」
攻撃を受けた亜騎羅が自分をこんな目にした光牙へ睨みを利かす
対して光牙も次なる動きに備えて構えを取り続けていた
「(こいつもさっきのやつ同じタイプのやつか…次から次へと面倒だな)」グヌヌ
亜騎羅は内心、心の中でつぶやく
本来近距離タイプである亜騎羅にとって遠距離タイプは相性が悪いのである
「(奴は油断ならない相手だ。ここは一気に畳みかけるのが得策だ!)」
このまま自分が戦局を握るうちに亜騎羅を倒すべく行動を開始した
「はっ!」
「ちぃっ!」
再び拡散式の矢を放ち、亜騎羅を狙撃する
対して亜騎羅は矢による攻撃を避けるべく駆け出す
「逃がさん!」
光牙もまた亜騎羅を逃がしはせんというようかのように矢を放つ手を緩めなかった
「ちっ…っ!?」
攻撃をかわしながら移動する亜騎羅の目にあるものが見える
それはここまでの戦闘で周囲に散らばっていた大きな瓦礫が密集している場所だった
「っ!」キュピン
咄嗟に何かをひらめいた亜騎羅が瓦礫の山が散乱するその場所に飛び込む
「(っ、何をする気だ?)」
何をするのかと警戒をしていると
「ふぅん!」
ドゴォォォン!
「なっ!?」
刹那、亜騎羅が得物を使って瓦礫を光牙目がけて吹き飛ばしてきたのだ
「そう来たか!?」
亜騎羅が飛ばしてきた瓦礫が光牙はおろかその周囲にいるほかの皆にも迫りくる
「(まずい、このままでは!?)」
飛んでくる瓦礫によって皆にも被害が及びかねなかった
「お前たち、今すぐここから離れろ!急げ!」
「『っ!?』」
光牙の支持をうけ、皆が飛んでくる瓦礫から身を守るべく退避する
「っ!」
その間にも光牙は飛んでくる瓦礫に向けて弓矢を構えてトリガーを引きしぼる
「はぁっ!!」
ターゲットを見定め矢を放つ
散弾式の矢によって飛んでくる瓦礫が次々と撃ち落とされていく
「ふっ!」
なおも雨のごとく押し寄せる瓦礫の数々に対し、連続で矢を放っていった
その甲斐あってあれだけ飛んで来ていた瓦礫の山がほぼ消し炭となった
「『うおぉぉぉぉ!!』」
「すげぇ!あの瓦礫の山を一瞬で!?」
「まさか、信じられない!?」
「やるじゃねぇかあいつ!」
迫りくる瓦礫の山を粉砕した光牙に外野から賞賛の声が響いた
「っ…っ!」
だがそのすぐ直後に今までの者の中で一番の大きさを誇る大きな瓦礫が飛んできた
「性懲りもないな…っ!」
迫りくる最後の瓦礫に向けて光牙が弓を構える
「(さっきので散弾式の矢のエネルギーは使い切ってしまった。しかし標的が一個だけなら!)」
そう意気込むと光牙がトリガーを引き絞る
矢じりに凄まじいエネルギーが集約していく
「秘伝忍法【輝迅】!!」
パシュゥゥゥン!…ボバァァァァン!!
光牙が放った輝迅が巨大な瓦礫と衝突した瞬間に爆発し
巨大だった塊も他のと同様に粉々に砕け散った
「さすがだぜ光牙!」
「頼りになる~!」
「かっこいいです師匠!」
瓦礫の山を吹き飛ばした光牙を仲間たちが称える
「ふっ」
それに対し光牙は笑みをこぼしながら皆のほうを振り返る
……ファサッ!
「…っ?」アセアセ
だが、次の瞬間、光牙の顔が凍り付く
背後に感じる気配を強く感じるたびに背筋がゾッとする感覚に襲われる
そして光牙が振り返った先には
「……っ!!」
「っ!?」
いつの間にか間合いに入っていた亜騎羅が今まさに光牙に対し、地面をかくように手にする得物を振り上げようとしている瞬間だった
「ふぅん!」
「くっ!?」ヴゥゥゥン!
攻撃の直前に光牙が羽織っているマントからシールドを展開する
「はあっ!!」
「ぐっ!?ぬあぁぁぁ!!」
「光牙!?」
だが亜騎羅の繰り出した振り上げの一撃のパワーによって光牙が吹き飛んだ
「ちぃっ!!」ザザァァァ!
間一髪受け身を取り、地面への落下を回避した
しかし、攻撃を防いだマントは見るも無残になっていた
状況はまた一気に覆されてしまった
「な、なんて奴なんだ」
「あの四人がこうも一方的に」
「くそっ、なんて奴だ」
「あのような者がいるだなんて」
四人が戦いを挑み、いずれも劣勢に追い込まれている
亜騎羅という男の力がどれほどのものかをいやというほどに思い知らされた気分だ
「光牙くん、大丈夫ですか?」
「っ?」
ふと後ろから声が聞こえ振り返るとそこには復帰した佐介たちがいた
「お前たち」
「ひどいやられようだな…まぁ俺たちもだけどよ?」
「まさかここまで強いだなんて思いにもよりませんでしたね」
佐介たちが改めて亜騎羅の実力を認識する
「皆さん、こうなれば全員フルパワーで行きましょう。彼は強い、下手に手をこまねいていたらこちらがやられてしまいます」
「…確かにな」
「同感ですね」
「そうでもしなきゃ勝てねぇってあれ」
佐介の意見に皆も同意した
想いを一つにした佐介たちが亜騎羅に視線を向ける
一方で亜騎羅はこちらの様子を伺っていた
「では行きましょう皆さん!」
「「おう!」」
「はい!」
佐介の合図と同時に一斉に巻物を取り出す
「っ?」
「覚悟してください、ここからが本番です!」
そう宣言しながら佐介たちと亜騎羅は対峙しあうのだった