仕組まれた舞踏会にて動き出した戦姫衆が繰り出した亜騎羅と佐介たちの壮絶な戦いが繰り広げられた
しかし亜騎羅の力の前に4人は圧倒され、佐介、光牙、紫苑はこの場に叩き伏せられ、相馬は城近くの湖に沈んでいった
それを見ていた飛鳥たちが今度は自分たちがと飛び出し、全員が自身の力を引き出した状態で彼に挑む
だが、先の戦いで消耗していたとは思えないほどの圧倒的なパワーで亜騎羅は飛鳥たちすら圧倒してしまい
もはや打つ手はないかと思われたがここで亜騎羅の暴走が臨界点に達しようとしていたため
豹姫が彼を抑制させるのだった
≪南の島・闘技場内≫
緊迫する状況が今も尚続く
「「「「っ…」」」」アセアセ
「はぁ…はぁ…」
飛鳥たちの前には跪いている亜騎羅がいる
先の豹姫による抑制が入ったことでさっきのような荒れ狂うような動きを仕掛けてこようという感じは今のところない
だがそれでも油断はできない、なにせ目の前にいるのは佐介たちはおろか自分たちをも圧倒し、さらに言えばここまでの戦闘すべて彼一人のためにこれほどの被害が出たのだ
そんな奴がこんなことで収まるのかと疑惑が生まれる
どうしたらいいのかと考えてずにはいられなかった
「ご苦労様ね亜騎羅くん?」
「…っ?」
だが、その最中、彼の後ろのほうから歩み寄ってくる者が
「…零姫?愛姫?」
歩み寄ってきたのは先ほどまで傍観していた零姫と愛姫の2人だった
「貴方は十分にやったわ。そろそろ交代と行きましょう」
「でも?」
「これ以上やればあなたまた箍が外れて暴れ回るでしょ?…そうなれば姫が持たないわ?」
「っ…?」
その指摘と視線を見て先ほどのことで豹姫が体力を消耗している様子がうかがえる
「化け物並みの貴方と違って姫の体力は無尽蔵じゃないんだから、これ以上無理はさせちゃだめよ?」
零姫がまるでしつけをするかのように亜騎羅に言い聞かせる
「…わかった。姫が困ってるならやめるよ」
「うふっ、本当あなたって純粋ね」
亜騎羅の素直すぎさに知ってはいるがおかしく思えてきた零姫がくすくすと笑みを浮かべる
「とりあえずあなたは姫の元に戻ってなさい。ここは私たちで十分よ」
「うん。わかった」
指示を聞いた亜騎羅は零姫に言われた通り豹姫の元に舞い戻っていった
「…さて、ではそろそろ始めるとしようかしら?」
「「「「っ!?」」」」
豹姫の元に亜騎羅が戻ったことを確認した零姫が飛鳥たちのほうに視線を向ける
それを見た飛鳥たちが一気に警戒心を強めてどう来るのかの様子を伺う
「うふふ、すごい警戒心ね?無理もないか。亜騎羅くんと戦ったあとじゃね~」
自分たちに対してものすごい警戒心を強めている飛鳥たちの姿を滑稽だと思いつつも理由が理由だけに気持ちもわからなくはないと複雑そうに笑みを浮かべていた
「…っ零姫」
「あら愛姫?どうしたのかしら?」
先ほどまで隣で無言でいた愛姫が急に零姫に語りかけてきた
「…行っていい?」
零姫に言っていいか尋ねる愛姫、よく見ると闇の深淵かのごときその瞳がまっすぐ飛鳥たちを捉え
さらには彼女から負のオーラが出ていた
「そんなに暴れたいの?…まぁいいわ。好きになさい」
「んっ……行く!」
許可を得たことで愛姫が駆け出す
「来たぞ!」
「私が行く!」
「雅非さん!」
それを見た雅非が迎え撃つべくこちらも突っ込んでくる愛姫に向かっていった
「はあぁぁぁ!!」
宙に浮けるという利点を生かして雅非が空から愛姫に斬りかかった
「……っ!!」
ガキィィィン!!
「…なっ!?」
激突する金属音の後に雅非が目にしたのは渾身の力を入れて放った斬撃を手にしている包丁で防いだ愛姫の姿だった
「そんな、バカな!?雅非の…しかも深淵の姿になった雅緋の渾身の攻撃を包丁なんかで!?」
雅緋の攻撃を包丁で受け止める光景を見て忌夢をはじめ、皆が驚く
「ぐっ!くぅぅぅ!!」
受け止められたことに驚きつつも、気持ちを切り替えすかさず刀を持つ手に力を込める
しかしそれでも愛姫を押し任すことができない
「…」グググググ
「な、なぜだ!?」ググググ!!
この現実に一番驚きを隠せないのは雅緋本人だった
自分は渾身の力を出しているというのに愛姫は一向に表情を変えず拮抗状態を維持するのみなのだから
「(どうしてなんだ!?攻めているのは間違いなく私のはずなのに!?)」
果敢に攻め立てる雅緋だが状態は好転すらしない
攻め立てているはずなのにまるで自分が劣勢に追い込まれているのかと思うほど雅緋に焦りが見える
その最中だった
「…」スゥ~
「っ?」
おもむろに愛姫が開いているもう片方の手の人差し指を口元に運ぶ
「っ…」カリッ
口元に人差し指を運んだ愛姫がその人差し指を自分の口で噛んだ
嚙まれたことで人差し指からは赤い血が流れていた
どうしてこんな自らを傷つける行為を行ったのか雅緋が疑問を抱く
「…っ?」
「…っ」ブツブツブツブツ
さらにその直後に鍔迫り合いをする中で雅緋は愛姫が口を動かし何かを呟いていることに気が付く
「(なんだ?)」
何を言っているのだろうかと耳を澄ましてみる
「…血肉を呑み…噛みしめるはひとの業…」
よく聞いてみるとそれは何かの呪文であるように聞こえる
「… 罪課せられしもののその痛み、かのもの身に刻み、知らしめよ……」スッ
「っ?」
愛姫が唱えていることに雅緋が気が付いた瞬間、血に染まる彼女の指が雅緋の右肩をとらえる
「…鬼術の49……【
そう愛姫が名を呟いた次の瞬間
ビュゥウウウウン!
「……っ、ごふぁ!?」ブフッ
「「「っ!?」」」
「み、雅緋!?」
一瞬の出来事だった
愛姫が呪文を唱え、名を呟いたと同時に血に染まる彼女の人差し指の指先から血の色をした真紅の一条の光線が雅緋の右肩を貫いた
この攻撃を受けた雅緋が口から血を噴き出した
「ぐあっ…ぐぅぅ!?」
想像を超えるダメージによって深淵の力が解けてしまい、雅緋が右肩を抑えながら後ずさる
「き、貴様!?」グヌヌ
「…っ」
肩を貫かれた痛みに悶えながら雅緋が愛姫を睨みつける
そんな雅緋の姿を愛姫はじっと眺めていた
「雅緋さん!大丈夫ですか?」
一部始終を見ていた雪泉が急いで駆け付ける
「雪泉、ここは私と飛鳥がやる。お前は雅緋を頼む!」
「はい。…雅緋さんじっとしていてくださいね」
雅緋を託された雪泉が氷王となっている自身の力で愛姫に貫かれた肩を氷で止血する
「はぁ…はぁ…す、すまない」
「いえ、お気になさらず」
傷を止血してくれたことに雅緋が感謝をする
「雅緋!」
「い…忌夢」
さらにそこに忌夢が駆け付ける
「大丈夫!?」
「あっ、あぁ…」
「忌夢さん、ひとまず雅緋さんを連れて離れてください」
「あぁ、わかった!さぁ雅緋、掴まって!」
雪泉から雅緋を預かった忌夢が彼女を連れて行こうとする
「気をつけろお前ら、こいつら全員只ものじゃないぞ!」
「「「っ」」」
「気を抜くな」
そう忠告を残して雅緋は忌夢に連れられて後退していったのだった
今回より少しの間投稿ペースをあげますので皆さんヨロシヘグリ