傍若無人のごとく荒れ狂う亜騎羅によって劣勢に追い込まれる中
その反動から抑えが効かなくなり始めていたのを危惧して豹姫が力を抑え込んだことで亜騎羅は戦闘不能を余儀なくされる
だが、それもつかの間、即座に飛鳥たちの前に零姫と愛姫が立ちはだかり
愛姫との戦闘の中、不意を突かれた雅緋がやられてしまった
残る三人で何とかしようとするも愛姫もまた強く
さらに零姫に至っては怪しげな技を巧みに使い、あろうことか焔がその毒牙にかかってしまった
彼女の術によって肉体の支配権を奪われ、意のままに操られる人形と化してしまい、仲間である飛鳥に刃を振るう
敵に操られている焔を斬ることをためらう飛鳥を見て零姫が戦姫術によって彼女の動きを抑え込んでしまう
動きを封じた零姫が再び焔に命を出し、抵抗をするも逆らうことができず焔が炎月花を振り上げ、飛鳥に斬りかかるのだった
ガキィィィィィィン!!
刹那、会場に金属と金属のぶつかり合う音が鳴り響く
会場に沈黙が訪れている中、不思議と痛みが来ないことをおかしいと感じた飛鳥が恐る恐る目を見開くと
「ぐっ…ぬぅぅぅ!」
「こ、光牙くん!?」
飛鳥は突然の事態に困惑する
いつの間にか亜騎羅との戦闘で負傷していたはずの光牙が自分の前に立って焔の炎月花を弓で防いでいたのだから
「光牙!?」
「っ…ぐぅぅ!?」グヌヌ
「無茶をするな光牙!お前、奴との戦いで相当なダメージを受けたというのにそんな体で紅蓮になった焔の攻撃を防ぐなんて!」
雅緋のいうことはもっともなことだ。確かに今の光牙は亜騎羅との戦闘で早大に負傷し、手負いの状態である
そんな状態で紅蓮の姿に転身している焔を相手にできる余力など今の光牙にはありはしなかった
「光牙…ぐぅ!?」
不本意とはいえ仲間であり、負傷している光牙に刃を向けなければならない今の自分の立場が何とも腹立たしかった
「あらあら、うふふっ…これはまた随分と面白いショーになってるわね?」
「てめぇ!」
このようなことをけしかけて自分たちの戦いを見物しながら零姫は焔たちに神経を逆なでさせるかのように語りかけ
焔はその彼女の発言に堪忍袋の緒が切れそうな思いだった
「さぁ、もっと見せて頂戴、そして私たちをもっと楽しませて!」
零姫は焔の言葉を意味返さずに煽る
「…残念だが、そううまくはいかんぞ?」
「なんですって?」
だが、そのすぐ直後に呟いた光牙の言葉を聞いて零姫はキョトンとする
何を言っているのかと思っていた時だった
「~~っ、ふぅん!!」
「っ!?」
光牙が今出せる渾身の力で焔の刀を払いのける
「春花!あれを使え!」
「っ、なるほど了解よ!」
即座に春花に指示を煽ると光牙の思惑を察した春香が傀儡にアイコンタクトをとり
彼女からのアイコンタクトを受けた傀儡が両腕分を砲塔に変形させる
ボォン!
そしてそこから2つの弾を光牙たちのいる方向目掛けて放つ
「みんな!目を閉じて!」
『「っ!?」』
即座に春花が皆に目をつぶるように促す
「っ!!」バッ
「なっ!?」
同時に光牙が皆が放たれた弾に注意が逸れてるうちに鍔迫り合いを解くとともに焔を押し倒し、瞬時に顔を俯かせる
そして次の瞬間
ボン!キュピィィィィン!!
『「っ!?」』
玉が弾けた瞬間、眩い光が城内を包み込む
「ぬあぁぁぁぁぁ!!目、目がぁぁぁぁ!?」
「いや~ん!?」
「うっ、ぐぅぅ〜!?」
「っ〜っ!?」
閃光の光に目をやられた戦姫衆たちがその苦しさに悶えていた
そしてそこから少しして閃光弾の勢いが収まったようで視界が戻っていく
「っ~~…っ?」
「大丈夫?姫?」
「あ、アキ…」
恐る恐る豹姫が目を見開くとそこには自分を閃光弾の光から身を挺して守った亜騎羅がこっちを見つめている様子を視界にとらえた
「すごかったね、今の?みんな目痛そうだ?姫は平気?目つぶれてない?」
「えっ、えぇ…私は平気よ。アキのおかげで助かったみたいだから」
「そっか、よかった」
自分を助けてくれた亜騎羅に豹姫がお礼をのべ
守るべき豹姫から感謝の言葉をもらえた亜騎羅も嬉しそうにしていた
「お、お嬢様!」
「セバスチャン、あなたは大丈夫?」
「は、はい、おかげさまで…あっ、いえそれどころではございませんよお嬢様!あれをご覧ください!」
「あれ?…っ!?」
セバスチャンが慌てた様子で指さしている様子を見て何事かと思いながらその先を見た豹姫は驚きの顔を浮かべた
いつの間にか佐介たちの姿がそこにはなくなっているばかりか、塞いでいたはずのコロシアムの入り口である門が壊されていたのだ
「な、なによこれー!!??」
門が破壊されたことに豹姫は驚きのあまり声をあげる
「あ、あれ?あいつらどこよ!」
「どうやら私たちがひるんでいる隙に逃げたみたいね?」
「な、なんですって~~!?」
確かにいわれてみれば自分たち以外この場にいるのは戦闘不能となって動けなくなってしまっている者たちばかりで後の他の者たちの姿はどこにもなかった
「…なぁぁぁぁぁぁぁ!!!!何てことしてくれてんのよあいつらぁぁぁ!誰の許可を得て壁壊してんのよ!弁償ものよ弁償もの!」
「落ち着きなさい姫、そんなことしても何も解決なんてしないでしょ?」
「それはそうかもだけどさ?」
「まだ計画がお釈迦になったわけではなわ。まだまだこれからよ」
せっかくあと一歩で妖魔の繭を羽化させられたという期待感を奪われたこと、門を破壊されたことに対して大層ご立腹な様子で怒りと悔しさから地団太を踏んでいた
そんな彼女を零姫が宥める
「失礼いたしますお嬢様方」
「あら何かしら?」
不意にメイドの一人が声をかけてきた
「はい、今しがたこの者たちを捉えました」
メイドがそういうと他のメイドたちが3人の人物を連れてきた
「おいこら離せよ!」
「チェルシー、落ち着いて」アセアセ
「うぅ、ししょー」
掴まったのはチェルシー、レイナ、愛花の3人だった
「この者たちの処遇はどういたしましょう?」
「…ふぅ、とりあえずそこいらに転がってる奴らと一緒に牢にぶち込んどきなさい」
「かしこまりました」
「っておい!牢屋だと!ふざけんな!ボクたちをそんなところに閉じ込めるなんてただじゃ置かないぞ!って聞いてるのか!おーi」
文句を垂れるチェルシーだったが抵抗もむなしく2人と他の者たちと一緒に連れてかれてしまうのだった
「…はぁ、まったく予定が大幅に狂わされたわ」
逃げられてしまってはエネルギー回収はできない
「だったらやるべきは決まっているわよね?」
「わかってるわよ。爺や!」
「はい、こちらに」
「直ちに事に当たりなさい。戦闘メイド部隊を追跡に向かわせるのよ」
「…かしこまりました。お嬢様」
豹姫からの命を受け、セバスチャンは直ちに動く
「逃げようとしてもそうはいかないんだからね。さぁみんな行くわよ…忍狩りの始まりよ」
不敵な笑みを浮かべながら豹姫は仲間達とともに狩猟へと赴くのだった