屋敷から脱出し、森に逃げ込んだ佐介たちを追撃するメイド部隊
苦肉の策で4組に分かれ、四方八方に散らばっていった
それぞれの組は逃げた先で尚も追撃をしてくるメイド部隊と
彼女たちを指揮する4人のメイド長たちとの逃走劇に終止符を打つべくこれを迎え撃った
戦闘の末、辛くもメイド部隊を倒すことに成功した逃走者たち
しかしその際にメイドたちもまた自分たちと同じ腕輪を嵌めており
エネルギーが吸収され、衰弱するもそれらはすべて自分たちが自ら望んで行ったことであることを知る
主のために忠義を尽くしたメイドたちに敬意を抱く光牙たちとそれをもろともせず報復をしようとする不良チームたちとのいざこざがあったものの
新手の追手がいつ来るやもしれないと再び行動を開始したのだった
佐介たち逃走者たちが刺客であるメイド部隊を倒して間もないころ、中央の屋敷のほうでは…
「それは本当なの?…答えてよ零姫!」
「えぇ、本当よ、彼女たちもそれを覚悟して彼らを追っていったわ」
「な…くぅっ!ばか…みんなの大ばかもの!どうしてそんな勝手なことを!」
豹姫は零姫からメイドたちが佐介たちを追ったことを聞かされる
追いかける程度ならばさほど気にする必要はしなかった
しかし彼女たちが腕輪をつけていったことを聞いては話しは別だった
腕輪をつけることが何を意味するのかを熟知している豹姫は彼女たちがやられたことによる事態をすぐに把握した
彼女はこうなることを望んではいなかった。メイドたちが腕輪をつけると知っていれば阻止するつもりでいたのだから
「お言葉ですがお嬢様、彼女たちもこうなることも覚悟して事に及んだのでございます。長らくお仕えしておりますわたくしもそうですが、彼女たちは皆お嬢様に救われた身、彼女たちは常々言っておりました。「今の自分たちがあるのはすべて豹姫様のおかげ」と…‥大恩あるお嬢様のお役に立てることを至上の喜びとして今まで使えてきたのです。わたくしどもはたとこのえ命を落とすことになろうとも悔いはありません」
「だけど…だけど!」
執事の爺が自分の思いを乗せつつ、メイドたちの豹姫に対する思いは命を懸ける程であり、主のためなら何でもできるのだと主張する
しかし豹姫からしたら気持ちこそありがたいとは思うがそれとこれとは別であり、納得ができないという表情を浮かべていた
「…姫」なでなで
「…アキ?」
するとそんな悲しんでいる豹姫の元にやってきた亜騎羅が彼女の頭を優しく撫でる
何をいうでもなくただただ優しく頭を撫でるそんな亜騎羅の意を察したのか豹姫は涙をぬぐう
「落ち着いた?」
「…うん、ありがとうアキ」
豹姫が元気を取り戻したようで亜騎羅も安どの表情を浮かべる
「ごめんねみんな、もう大丈夫。くよくよなんてしてられないわ、私たちの計画を成就させるためにもこんなところで躓くなんてしたらあの子たちに申し訳立たないわよね!」
ショックでどうにかなりそうだったのを亜騎羅に救ってもらったことで豹姫は自信を取り戻したようだった
「さて、それじゃ姫、逃げたあの子たちをどうするのかしら?」
「もちろん全員ぎったんぎったんのぼっこぼっこにして私の大事なものを傷つけたことをたっぷりと後悔させてやるわ!」
立ち直り、調子を取り戻した豹姫は自分の大事なメイドたちを倒した佐介たちに報復することを宣言する
「神姫、愉姫、愛姫、頼まれてくれるかしら?」
そうして豹姫は報復に動き出すために3人に出撃を要請する
「あら~、ようやく私たちの出番のようね~?ねぇ愉姫ちゃん?」
「嬉しそうに言うんじゃねぇよ。あんたはいいけどあたし的にはとんだ貧乏くじなんだからさ…はぁ~」
「あの人たち…殺るの?」
「ちょっと違うわよ愛姫ちゃん。殺しちゃったらエネルギーを吸い取れないもの、あくまで半殺しにする程度でお願いするわ」
3人はそれぞれこの出撃に際して一言つぶやいた
愛姫に至ってはこくっと頷いた
そうして3人と零姫は準備のためにその場を後にする
「頼んだわよみんな」
忍務に向かう3人の姿を見て豹姫はぼそりとつぶやいた
「姫」
「あら?どうしたのアキ?」
唐突に慰め以降口を開かなかった亜騎羅が話しかけてきた
「…俺は行っちゃだめなの?」
「っ!」
亜騎羅は無邪気なような声でそれを尋ねる
「俺ならもう大丈夫だよ。それにあいつらやらなきゃ姫の願いをかなえられないんだよね?だったら俺も」
「ダメよ!」
「っ…姫?」
自分も行って逃走者たちを倒せばそれだけ早く豹姫の妖魔の繭を羽化させるという目的が成就する
そうすれば豹姫が喜ぶ、彼女を喜ばせてあげたい亜騎羅にとっては出撃する神姫たちとともに追跡に向かうべきなんじゃないかと思い、同行を願い出た
しかし豹姫はそれを拒否した
「(さっきのあれは今までのアキの暴走の時とは明らかに違った。さっきは何とか抑制することはできたけど、今度また暴走したらアキは…っ)」
「姫?どうしたの?」
「な、何でもないわ。アキ、あなたの出撃は却下よ、あなたには私とともに白で待機、いいわね?」
「…姫がそういうなら俺は構わないけど」
豹姫の指示に従うといいってもその顔はどこか不満そうな顔をしていた
一方そのころ、逃走者たちの追跡の命を受けた3人はというと
「みんな用意できたようね?」
「まぁな、めんどくさいけどこうなった以上はやってやるよ」
「っ…」コクッ
準備が完了していつでも出撃可能だった
そうして3人が追跡に赴こうとした時だった
「みんな、ちょっといいかしら?」
「「「っ?」」」
出向こうとした直後に唐突に零姫が声をかける
「なんだよ急に?」
「…忘れ物よ」
零姫がそういいながら見せびらかしたのは例の腕輪だった
「ちょ、お前何ふざけたこと言ってんの、バカなのか?誰がそんなもんつけてくんだよ?それ付けたら私たちもやつらやメイドたちと同じ立場になるってことじゃねぇかよ。仮に万が一にでも負ければエネルギー取られちまう、そんなの私はごめんだぞ」
腕輪をつけることを愉姫は断固拒否する
「残念だけどあなたたちに拒否権はないわ」
「なに?どういう…っ!?」
「っ…」ギュィン
「あっ…」
刹那、零姫と視線を合わせた愉姫は虚ろとなり、あれだけ拒否していた腕輪を譲り受けた
「れーちゃん、何を…っ!?」
「っ?…っ!?」
「っ…」ギュィン
愉姫に何をしたのか問おうとした神姫だったが直後に零姫と視線があってしまい、愉姫同様虚ろに
さらには愛姫もだった
「うふふ…さて、それじゃ行ってらっしゃいみんな」
「「「…っ」」」
3人は虚ろな状態のまま零姫に一礼すると追跡にへと出向いていった
「(頼んだわよ3人とも…全ては”私の野望のために”)」
心の声で零姫はそうつぶやく
彼女には戦姫衆としてではなく、別の思惑が秘められているのだろうか…