メイド部隊を退けた各組はそれぞれの行動を開始していた
光牙たちのいる組みは他チームの捜索に、春花たちのいる組は負傷者の治療に専念
佐介たちのいる組は戦闘で受けたダメージを引きずりながらも移動を開始、紫苑たちのいる組はその場に留まり様子を窺うという
それぞれ各自の判断でこの状況を変える手立てを模索していた
しかしながら状況は決して彼らの思いどおりには行かない、春花たちが自分たちの近くを通り過ぎていった戦姫衆の姿を目撃したからだ
敵もいよいよ本格的に活動を開始した証拠だった
さらにそれからして紫苑たちのいる北側で見張り番を行っていた他チームの面々の前に愛姫が現れる
応戦しようとする他チームの面々だったが、愛姫に敵うはずもなく返り討ちにあってしまう
見張りをかたずけた愛姫は次の獲物を求めて前進するのだった
紫苑たちの元に魔の手が迫りつつあったのだった
待機場所として選んだ場所で皆が見張りの番になるまでの間、それぞれの時間を過ごしていた
その中で紫苑は夜桜たちとの今後の話し合いを行っていた
「…そう、現時点では特にこれといった進展は見られないか?」
「えぇ、あれから数回にわたって見張りを交代させて様子を窺っていますが、未だ他のみんなを目撃したという話しはでませんね」
今のところ、見張りを立て、自分たちを探しに他のみんなが来るのを待ってはいるが如何せん特に進展はない
「このまま待っても埒が明かないからやっぱり両備は捜索隊を編成することを提案するわ」
「うん、確かにこれ以上待ってばかりでもなんの成果も得られないし、それも一つの手か?」
「ちょっと待ってください、案じたいはいいかもしれませんがこの島では我々は電子機器の使用ができないんですよ?捜索隊を編成しても連絡手段がなければ情報交換もできません。この状況の中でそれは少々リスクがあるかと?」
「だからって動かずにいたところで敵に位置を知られちゃったらそれこそ袋の鼠じゃない」
両備がこちらも捜索隊を編成すべきだと提案する
これに対して夜桜はリスクのことを提示するが、このままじっとしていても結果は同じだと両備は強く主張する
夜桜もその両備の主張にはぐうの音も出なかった
今後のことでいろいろな意見が述べられていく
「…っ?」ピクッ
「どうかしましたか紫苑?」
「ちょっと、いきなりどうしたのよ?」
話しの最中にもかかわらず挙動不審になった紫苑に皆が何事かという顔を浮かべていた
そんな彼女たちを他所に紫苑は今自分が感じ取った嫌な感じについて考えていた
「(この感じ、さっきも感じた嫌な感覚しかも、さっきよりもはっきりと感じる…まさか!)」
自分が今感じている嫌な感覚、それが何なのか察した時だった
「…っ」シュン!
「…えっ?」
ザシュン!
「…~っ!?」ドサッ
「「「「「っ!?」」」」」
突然他チームの1人の背後から現れた人影によって声を発することすら許されずに地面に崩れ去った
そして皆が倒れた者の背後に視線を向けるとともに絶句する
倒れた者の背後に佇み、こちらを睨みつけているのは愛姫だったのだから
「あんたは戦姫衆の!」
愛姫が現れたと気づくや紫苑たちが一斉に臨戦態勢をとった
「…っ!」バッ!
「来た。みんな気を付けて!」
「「「「っ!」」」」
刹那、愛姫が包丁をギラリと輝かせながら突進してきた
「っ!」ザザァッ!
「こいつ!」
素早い動きで不良チームの1人の間合いに忍び込んだ
好きにさせてたまるかと逆に先制しようとする
「〜…っ!」
「なにっ!?ぐはぁっ!?」
しかし愛姫はそれをなんらくかわすと共に手にしている包丁で不良チームの1人を秒殺した
瞬く間に1人やられてしまった光景を目にし、皆が驚愕する
「〜〜っ!!」シュタタタタ!
ザシュシュシュシュシュ!
「「「「うわぁぁぁぁぁ!?」」」」
それを口火に愛姫は次々と雑兵の如く他チームの面々をなぎ倒していった
「う、嘘だろ…」アセアセ
「何たることでしょうか…」
紫苑たちを除くと残ったのはスポーツチームのリーダーと宗教チームのリーダーのみになってしまった
一瞬でこの惨状となってしまったことに驚きと恐怖が周囲を漂った
雑兵たちを始末し終えた愛姫が紫苑たちのほうを標的として視界に捉える
「良くもやってくれましたね。ここからはわしが相手じゃ!」
「…っ」
一番手として前にでたのは夜桜だった
目の前に立ちはだかる敵を視界に捉えた愛姫が夜桜を標的として見定める
互いにらみ合いを聞かせながら数秒の沈黙が流れる
夜桜は愛姫の出方を伺いながら身構える
対して夜桜を睨みつけている愛姫の持つ包丁がギラリと光る
「…っ!!」
「(来た!)」
刹那、先にこの沈黙を破ったのは愛姫であり、猛スピードの駆け足で夜桜に接近する
「間合いには入らせません!【地獄極楽万手拳】!!」
可変させた籠手から力を溜め込んだ気弾を放つ
「~っ!!」スイッ!!
しかし愛姫はこれを易々と回避した
「なんて身のこなし…じゃが、相手が相手じゃからな。わしも出し惜しみはしません!」
攻撃をかわされたことに驚きを浮かべるもすかさず気持ちを切り替える
「っ!!」タタタタ!
「まだまだ!地獄極楽万手拳!」
「っ!!」スイッ!
「地獄極楽万手拳!地獄極楽万手拳!!地獄極楽万手拳!!!」
俊敏な動きで距離を縮めていく愛姫に夜桜は秘伝忍法技を連発する
だがそれでも愛姫の回避性能がそれを上回る
「…っ!!」バッ!
「なっ!?」
愛姫がとうとう間合いに入り、夜桜に攻撃を繰り出すべく、下から包丁を振り上げようとする
技の連発による反動で回避が間に合わない、絶体絶命の危機に陥る
「夜桜はやらせません!!」
「っ?」ピクッ
刹那、背後から声が聞こえる
さらにその直後に炎を纏った球体のエネルギー弾が飛んでくる
「~~っ!?」
突然飛んできたその攻撃に愛姫が防御の姿勢を取る
エネルギー弾が直撃し、後方へと吹き飛ばされる愛姫だったが、空中で身をひるがえし、地面に着地する
同時に夜桜を庇うように他の面々が前に立つ
「夜桜、無事?」
「はい、おかげで助かりました」
間一髪のところを救われて命拾いした気分だった
「まったく、危なっかしいわね。あいつは一筋縄でいくような奴じゃないのよ、1人で迎え撃とうなんて考えちゃダメよ。ここは全員で行くわよ」
「はい、わかりました」
「…よし、みんな行くよ!」
紫苑の号令で全員が一斉に構える
「…っ」
それを見て愛姫も紫苑たちを鋭い目で睨みつけるのだった