紫苑たちの方は愛姫と死闘を繰り広げ、負の力を使う彼女に苦戦を強いられるも紫苑がこれを撃破する
同じ頃、神姫と愉姫との戦闘は光牙たちが入ったことで形成を徐々に逆転していく
そして力を合わせながら光牙は愉姫を撃破し、神姫の方も難攻不落の傀儡たちを連携によって撃破する
全力の大多数を失い、抵抗を試みる神姫だったが、それも無駄に終わりついに撃破された
最中、倒された2人に異変が起こり、光牙たちはそれが彼女たちが自分たちと同じ腕輪をつけているからだと気づく
エネルギーを吸い取られた2人は意識を失い。なんとも後味の悪い勝利に終わったのだった
紫苑たちが愛姫を、光牙たちが神姫を倒してから暫しの時が流れた頃のことだった
「な、なんですって!?それは本当なの零姫!?」
「えぇ、本当らしいわね。信じられないかもだけど神姫たちが忍たちに負けたみたいね?」
「そ、そんな…神姫たちがやられたなんて…」
城のほうでは豹姫たちのもとに神姫たちが倒されたことが伝わっていた
零姫から話しを聞いた豹姫は苦虫を嚙み潰したように椅子に座しながらぷるぷると震えていた
「許さない…許さないわ忍ども…たかが餌の分際でよくも2人を!」
直後には神姫たちを倒した忍たちに拳を握りしめるほど激しい怒りを露わにし、鬼の形相を見せていた
彼女のその様子を見ていた爺ややメイドたちは体に震えを感じた
「……それでみんなはどうなったの?」
「えぇ、それについては先ほど神姫と愉姫のほうはメイド部隊が回収してくれたみたいね。だけど愛姫のほうは見つからなかったみたい」
「な、なんですって!?」
安否を心配する豹姫に零姫が神姫と愉姫の身柄をメイド部隊が無事に回収したことを告げる
しかし愛姫が見つかっていないと聞いて豹姫はとても驚いた様子を見せる
「状況から考えるとしたら愛姫は敵に拉致されている可能性があるわね?」
「愛姫…っ」
零姫の推察に豹姫は激しい憤りを感じた
「…姫、俺が出るよ。俺が行ってあいつらを全員やっちまって愛姫を取り返してくるよ」
「…アキ?」
豹姫の困っている顔を見ていた亜騎羅が名乗り出る
「気持ちは嬉しいわアキ…でもダメよ。あなたを行かせるわけにはいかないわ」
「でも姫」
「いいから!私の言うことを聞きなさい!」
「っ…」
だが豹姫は亜騎羅の申し出を断った
「……わかったよ。姫がそう言うなら」
少し不満そうな顔を浮かべつつも亜騎羅は豹姫の指示に従う
「(…ごめんねアキ、でもあなたがこれ以上戦うようなことになれば私にはもうあなたを止められる術がないの…仕方がないのよ)」
心の中で豹姫は申し訳なさそうに呟く
先の戦闘によって豹姫は暴走しかかった亜騎羅を抑え込むことに成功していた
その際に彼女は熟知していた
既に彼の力は自分にも止めるのが困難になっていることを、その証拠に今回抑え込むことができたものの
かなりギリギリであり、彼女自身の体力も消耗するほどだった
故に間髪入れず亜騎羅が戦うようなことになれば豹姫には亜騎羅を止められる術が無くなってしまう
もしそうなればどんなことになるかも分からないという恐怖も相まって豹姫は亜騎羅を行かせることを許可しなかったのだ
「ともかくまずは2人のことね。爺や、神姫と愉姫が戻り次第手当てを行いなさい」
「はい、お嬢様」
「それと奴らの始末は……私がやるわ」
次の出撃者として名乗りを上げたのは戦姫衆の大将である豹姫自身だった
「お、お待ちくださいお嬢様、それはいささか軽率ではないかと」
それに対してこれまで無言の鑑賞を続けていた爺やが豹姫に意見を述べてきた
「なに爺や、止めるつもり?」ギロッ
自分に意見をしてきた爺やに対し、豹姫が強烈な圧をかけてきた
「…っ、この爺、お嬢様のことはここにいる誰よりも分かっていると自負しております。お嬢様の強さも重々承知しておるつもりでございます。ですがそれ故に言わせていただきます。いくらお嬢様といえど多勢に無勢は分が悪いと思われます。特にかの者たちの中には亜騎羅様を退けるほどの実力を持つものもいます。そのような者たちが一同に仕掛けてきたとなれば…」
彼女の眼光に睨まれつつも爺やはそれでも意見を述べる
幼き頃より仕えてきた彼にとっては彼女はある意味孫のような存在であり
強さを理解はしていてもたった一人で向かわせるなどリスクの大きいことを簡単に承諾はできなかった
「っ…」イラッ
「姫、俺も爺さんのいう通りだよ。姫が出るならやっぱり俺が」
「アキ、言ったでしょ?あなた今は戦っちゃダメなの!」
「っ…姫」
ここで亜騎羅も再度申し出をするも、それでも豹姫は頑なにそれを拒む
「爺や、あなたも下がりなさい。誰だろうと私の判断は変わらないわ。忍どもは私が殲滅するの。いいわね?」
「お嬢様…お嬢様がそう考えていらっしゃるのでしたら爺からいうことはもう何もございません。ですぎたことを言って申し訳ございませんでした」
豹姫の意思は固いようだと悟った爺やはこれ以上の問答は無駄と考え、それ以上の発言はしなかった
「決まりね。私は準備をしてくるから」
「かしこまりました」
話しを終えた豹姫は戦場に向かうべく準備を整えに向かった
「ねぇ亜騎羅くん。ちょっといいかしら?」
「ん?なに零姫?」
するとその最中に零姫が亜騎羅に声をかけてきたのだ
「亜騎羅くんはいいのかしら?このまま姫を行かせてしまっても」
「そんなことはないよ。姫が出るくらいなら俺が出るべきだとは思う、でも姫が戦っちゃダメだっていうし」
「相変わらず素直な子ね…でもね亜騎羅くん、私は爺やさんの言うことは最もだと思ってる。理系や体育会系、宗教系や不良たちは全く持って論外だからいいけど、残るあの4チームは手ごわい、特に特筆すべきはあなたを退けたあの8人、彼らが姫と戦えばおそらく姫もただではすまない、最悪の場合は…姫が死んでしまうかもしれないわ」
「っ!?」
普段は冷静沈着が亜騎羅だったが、豹姫が危険かもしれないと聞き、とても焦った様子を見せる
「姫が…」
「…亜騎羅くん。もう一度聞くわ。このまま姫を行かせていいの?確かに姫の言うことを忠実にこなすあなたは素敵よ。でも時として人は守る人のためなら多少、約束を破ったって構わないのよ」
「………っ!」
零姫の言葉に何か吹っ切れた様子を見せた亜騎羅が出口に向かって歩き出す
「零姫、ありがとう。俺行くよ」
「えぇ、いってらっしゃい。あなたならできるわ」
「うん…姫を頼んだよ」
そう言い残すと亜騎羅は部屋を後にした
「ふふっ、頼んだわよ亜騎羅くん……私のためにね」
1人部屋に残った零姫は不敵な笑みを浮かべながら呟くのだった