白熱するこの戦いもいよいよ佳境を迎えようとしていた
豹姫が再び大技を繰り出し、それに対して雪泉が氷の壁を発生させ攻撃を防ごうとする
しかし技の力が強すぎて一気に劣勢に追い込まれる
そんな雪泉を救うために焔と雅緋が協力して残る力を分け与えていく
2人の助力によって押し返しを図る雪泉と技の威力の低下による焦りによって取り乱す豹姫の構図が発生し
この瞬間を見逃さなかった雪泉たちの反撃によって斬撃波のみならず余波によって豹姫は得物を手にしていた手を凍らされる
満を持すかのように仕掛けた飛鳥が秘伝忍法を繰り出した
暫しの沈黙の後、繰り出された斬撃の一撃によってついに豹姫は飛鳥たちの前に崩れ落ちたのだった
飛鳥たちと豹姫たちとの戦いが行われていた頃
「ホワァァァァァ!!」
「っ!?」
妖魔の繭の近くで戦う佐介と光牙は爺やと今も交戦していた
急降下からの拳の一撃を佐介が回避する
「はっ!!」パシュシュシュ!
「ホォォっ!!」バッ!!
すかさず光牙が弓矢で攻撃を仕掛けるも爺やは素早くバックステップを取ってこれを回避する
「佐介、大丈夫か?」
「は、はい…なんとか…」
佐介のそばに駆け寄り、体の調子についてを尋ねると
本人は問題はないというが、光牙にはそれが空元気であることを見抜かれてしまっていた
いくらあれからしばらく経ったとはいえ亜騎羅との戦いで敗北し
力をごっそり吸い取られてしまった佐介に今の爺やの相手は荷が重いかもしれないと光牙は思っていた
「…光牙くん、あなたの言いたいことは分かってます。今の力も存分に出し切れない僕じゃ足手まといかもしれません」
だがその際に佐介は光牙の考えを読んでいたかのように自分の状態についても理解している
「ですが、みんなをこの島から脱出させるためにも、あの妖魔を何とかするためにも、こんなところでヘタってなんかいられませんから」
仲間たちのためにも負けるわけにはいかないと佐介は気持ちを奮い立たせていた
「…ふっ、頑固だな相変わらず。好きにしろ」
「はい。好きします」
光牙はやれやれと思いつつも佐介の意思を組んでこのまま戦わせてやることにした
「作戦会議は終わりですか?ならば今度こそ仕留めさせていただきますよ!」
佐介と光牙が話しを斬りやめたところで爺やが2人に再び襲い掛かってきた
「光牙くん、僕があの人を抑えます。一撃お願いします…っ!!」
「お、おい!……まったく、了解した」
一言任せることを伝え、佐介は爺やを迎え撃つべく飛び出した
残された光牙は頭を掻きながらんもその願いを聞き入れ、準備を始めた
そして佐介と爺やが互いに間合い入る
「ホワチャァァァ!!」
「っ!!」
爺やが得意の拳打を繰り出してくる
攻撃を開始してきたタイミングで佐介は動きを止め、防備の姿勢をとる
ドドドドドドドドド!!
「ホオォォォォ!!」
「~~~っ!!?」
「佐介!?」
繰り出された拳打を佐介がその身を盾にして受け止める
「いくら守りを固めようとも無駄です!!」
拳打の奥州を繰り出しながら爺やは佐介のその行為を無意味なことと言い張る
「ホワッチャァァァ!!」
ドスッ!!
「ぐふっ!?」
「なっ、佐介!?」
刹那、爺や渾身の一発が佐介の防御を突き破り、そのまま胸部にヒットした
想い一撃を受けた佐介はダメージによる痛みに襲われる
「…いいえ、無駄では…ありません!!」
ブォン!ガシッ!!
「っ!?」
しかし次の瞬間、佐介が意味深な言葉を投げかけるとともに爺やの腕を掴んだ
「…こ、光牙くん、今です!!」
腕をがっちりつかんだまま佐介が光牙を呼ぶ
「この馬鹿が…わかっている!!」
刹那、光牙が踏み込みからの加速によって一気に間合いに入る
「はあっ!!」
「しまっ!?」
ザシュゥゥゥン!!
一閃の斬光が爺やを通り過ぎる
次の瞬間にはもう光牙は爺やの背後に身構えながら佇んでいた
「…ぐほっ、ふ、ふかく…お、お嬢様……この爺、お役に立てず、申し訳ございません…」
そう言い残すと爺やはその場に崩れ落ちた
「しゅ~…」
爺やが倒れるや光牙は溜め込んでいた息を思い切り噴出して構えを解いた
「大丈夫か佐介?」
「はぁ…はぁ…はぁ…え、えぇ。なんとか」
「無茶ばかりしおって」
「あはは…」
戦いを終えた光牙が佐介に声をかけ、先ほどの戦法で倒せたことはいいがあまり褒められた戦い方ではなかったことを説く
光牙からの小言を聞いて佐介は苦笑いをしながら頭を抱えて反省するのだった
一方、佐介たちの戦いが終わってももう一つの戦いは未だ継続中だった
「はぁぁぁぁ!!」
「っ!?」
多彩な武器を駆使して戦う総メイド長と紫苑たちが交戦していた
ここまでの戦いで仕込んでいた武器の殆どを使い切った総メイド長は
口寄せした槍を手に紫苑たちに襲いかかる
槍術にも長けているのかなかなか攻撃の隙を見出せない
「まずいですわ。紫苑さんが防戦一方です」
「詠、両備たちで援護するわよ」
「は、はい!」
互いに示し合わせ紫苑を援護しようとする両備と詠が武器を構える
「そうはさせません!」
しかしその様子を見た総メイド長が行動に出る
次の瞬間、彼女の持っていた槍が三節根に変化する
「ふぅぅん!!」
「「「っ!?」」」
三節根になったことで伸びたリーチによるスイングを繰り出し仕掛けようとする詠と両備を怯ませ
さらには近場にいた紫苑も後退に追いやった
「んも~、なんだってこの島の奴らってこんなにも強い奴ばかりなのよ!ただでさえ戦姫衆のやつらだって厄介だってのに!」
手ごわい総メイド長に対し、両備が文句を垂らす
多種多様な武器を手足の如く扱う彼女の器用さは確かに素晴らしいものを感じさせるものがあった
「お嬢様のためにもわたくしどもは、負けるわけには行かないのです!!」
そういうと総メイド長は再び三節根を振るい攻撃を仕掛けてくる
主人のためにという思いを胸に戦う彼女の姿は敵ながらに尊敬に値するところもある
しかしそれでも紫苑たちは負けるわけにはいかない
「あなたの主人を思う気持ちは素晴らしいと思います。だけど僕たちとて負けられない、あなたを倒して脱出手段を確保します!」
「ならば私は全力でそれを阻止するのみです!」
互いの思いを吐きながら紫苑と総メイド長は激しいぶつかり合いを繰り広げる
総メイド長が繰り出す槍術を紫苑はかわし、いなし、応戦する
一歩も譲らぬ膠着状態が数分もの間続いていった
「流石でございますね。これ以上長引けば不利になるのはこちらでしょう。故に決めさせていただきます」
これ以上の長期戦は不利と悟った総メイド長は決めにかかる
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
力むとともに総メイド長の身体から凄まじい闘気があふれ出す
それを見て紫苑たちは警戒を強める
「食らいませ!!」
「「「~~~っ!?」」」
刹那、総メイド長の気を纏い、巨大化した槍が紫苑たちに向かって飛んでいく
ボバアアァァァァァァァァァァァァァァン!!
槍の一撃によって爆発と衝撃が発生した
「…終わりましたね」
この光景を目にした総メイド長が勝利を確信し、その場を去ろうとする
「…ん?」
しかしその直後、背後から気配を感じ、恐る恐る振り返る
立ち込める煙の向こうが徐々に見えていく
「「はぁ…はぁ…はぁ…」」
「詠さん、両備さん」アセアセ
そこに見えたのは紫苑を庇い、前に立ち、総メイド長の攻撃を防いだ詠と両備の姿だった
「うぅっ~っ」
「し、紫苑。今よ!」
「っ…~~~っ!!」
2人が自分に決めさせるために体を張ってくれたのだとわかるや紫苑はその思いに応えるために力を練る
「お二人の頑張り、無駄にはしません!【烈風のソナタ】!!」
両手に溜め込んだ風の力を紫苑が一気に放射する
「なっ!?」
この放たれた風圧弾を避ける術を総メイド長は持ち合わせていなかった
ビュオォォォォ!
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
次の瞬間、総メイド長は風圧弾の直撃を受け、その身は一瞬、宙を舞ったのち地面に叩きつけられた
「…お、お嬢…さま……っ…」
豹姫のことを思いながら総メイド長は力尽きた
「……ふぅ」
「やったわね紫苑」
「お見事でしたわ」
「ありがとう。2人のおかげだよ」
総メイド長を倒した紫苑の元に詠と両備が駆け寄り、互いに健闘を讃えあう
「まったくヒヤヒヤさせてくれるものだね君たちは」
「あんたはなにもしてないでしょうが!」
「まぁまぁ両備さん落ち着いて」
戦いが終わるやいなや現れた知性チームのリーダーに両備が突っかかる
「ともかくこれで邪魔はなくなりました…お願いできますか?」
「ふん、当然だ」
障害となる総メイド長を倒したことで紫苑たちは脱出の準備に取り掛かるのだった