苦戦を強いられながらもついに飛鳥たちが豹姫を、佐介たちが爺やを、紫苑たちが総メイド長を倒した
しかしその一方で春花たちは遭遇した亜騎羅と交戦を続けていた
抵抗を試みるも凄まじい力を振るう亜騎羅にまったくといっていいほど歯が立たず
春花たちは心に恐怖と絶望が芽生えつつあった
そして亜騎羅が再び襲い掛かってきた時、春花たちはこれまでかと覚悟を決める
だが、その直後突如として亜騎羅が動きを止める
さらには春花たちを無視してその場から駆け出して行ってしまった
結果的に亜騎羅がいなくなったことで春花たちは命拾いすることになった
一方で走り去った亜騎羅は森を駆け抜け、一直線に城を目指すのだった
春花たちが亜騎羅の襲撃を受けている頃、城の方では…
ジャキィィィィィィィィン!!
「~~~っ!!」
「――――がはっ!?」ドサッ
飛鳥の放った斬撃により豹姫はその場に倒れる
豹姫にもう立ち上がる力は残っておらず、身動きもできず地面に横たわるのみだった
これにより飛鳥たちは豹姫に勝ったのだ
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
緊張の糸が切れたのか飛鳥はその場に膝から崩れ落ち、肩で呼吸をしている状態だった
「飛鳥」
「…っ?」
するとそんな飛鳥のもとに焔たちがやってきた
「み、みんな…」
ボロボロになりながらも無事でいる焔たちを見て飛鳥は安堵の表情を浮かべた
「…やったな」
「…うん」
「お見事です飛鳥さん」
「ありがとう…」
皆からの労いの言葉を飛鳥は受け取る
「飛鳥ちゃん、皆さん!!」
最中、遠くから声が聞こえて来たので飛鳥たちが振り返るとそこにはこちらに駆け寄ってくる佐介と光牙がいた
「…佐介くん」
「光牙…」
こちらに向かってくる佐介たちを見て笑みをこぼす
「無事ですか!…って、これは」
飛鳥たちの元にやってきた佐介と光牙はその横に倒れている豹姫に目を奪われた
「…そうか、やったんだなお前たち?」
「あぁ…何とか倒せたぜ」アハハ
状況を察した光牙の問いにその場にへたり込みながら焔が答える
「よくやったな」
「…おう」
「光牙、私も頑張ったんだぞ!」
「姉さんもご苦労だったな」
豹姫を倒したことに対し、光牙が労いの言葉をかけるのだった
「やっと見つけましたよ!」
「「「「っ?」」」」
その時、またしても遠くから声が
見るとそこにはこちらを発見したことで急いで駆け付けた紫苑が駆け寄ってきていた
「…紫苑!」
「紫苑さん!」
「みんな、ここに居ましたか。探しましたよ!」
駆け付ける紫苑を見て雪泉はもちろん皆嬉しそうに笑みをこぼす
「紫苑、首尾のほうはどうなっている?」
「えぇ、問題はありません。脱出手段は確保しました。今、詠さんたちに準備を整えてもらっているところです」
「よし、よくやった。これでこの島から脱出ができるな!」
紫苑から島からの脱出手段が手に入ったことを聞き、光牙はグッと軽くガッツポーズをとる
他の者たちもそれを聞いて希望を見いだす
「―――ふっ、ふふふ…」
「「「「っ?」」」」
「この声、まさか?」
そんな最中、不敵な笑い声が聞こえ、振り替えるとその笑い声の正体は豹姫だった
「随分と…浮かれている、みたいだけど…そ、そう簡単にはいかないわよ…ごほっ!?」
「どういうこと豹姫ちゃん?」
「気にするな飛鳥、きっと口から出まかせを言ってるだけだ」
「ふ、ふふふ…はたして、出まかせ…かしら、ね?」
意味深なことを言う豹姫に一度は気味の悪さを感じる
するとその時だった
ドガァァァァァン!
「「「「「っ!?」」」」」
「な、なんだなんだ!?」
突如として城全体が揺れる
それも一度だけに留まらず何度も何度も壁が破壊されていると思われる音が続く
さらにはその音が近づいていることに一同は気づく
「…終わりよ、あんた、たちは…」
「まさか!?」
この破壊音と豹姫の勝ち誇ったかのようなこの発言から光牙は全てを察し。明後日の方へ視線を向ける
「「「「っ!?」」」」
続くように佐介たちも光牙の向く方に視線を向けた
次の瞬間だった
ドガァァァァァァァァァァン!!!
佐介たちのいるこのフロアの壁が轟音と共に勢いよく破壊された
一同が視線を向ける中、破壊された壁の向こうから立ち込める煙の向こうに見える影が1つ
そして煙を通り抜けその姿を現す
向こうから現れたのは亜騎羅だった
この場所に来るために様々なものを破壊しながらとうとうやってきたのだ
最悪の存在が…
「亜騎羅!…っ!!」バッ
「「「「――っ!!」」」」バッ
亜騎羅の登場に驚愕すると同時に一同はいったん距離を取り何か動きがあった際に備えて身構える
だが当の亜騎羅のほうはというとそんな佐介たちを無視して歩みだす
歩き出した亜騎羅がたどり着いたのは倒れている豹姫の元だった
豹姫の元にやってきた亜騎羅は獲物を床に突き刺し、そのまま空いた両手で彼女を優しく抱きかかえる
「…姫、大丈夫?」
「……アキ、戻ってきたのね…まったく、おそいよ」
「うん、ごめん……あいつらにやられたの?」
「…ごめんねアキ。かっこ悪いところ見せちゃったわね」
声と表情からしても亜騎羅が自分を気遣っているのだということが感じ取れた
亜騎羅のその心違いを受けて豹姫は情けない自分の姿を彼に見せてしまったことを申し訳なさそうに告げる
「気にしないで、それに姫はかっこ悪くなんかないさ」
「アキ…」
負けて少しばかり卑屈になってしまっている豹姫の心に亜騎羅のその言葉はとても心を落ちつかせられた
「…姫、教えて。俺は何をすればいい?」
するとその問いを投げかけると共に先ほどまで穏やかな表情を浮かべていた亜騎羅が急に真剣なものに変わった
「…アキ、任せてもいい?」
「もちろんさ、姫」
「…ありがとう、お願いね、アキ」
豹姫からのその答えを聞いて亜騎羅はそれを承諾する
そうして彼女をゆっくりと地面に寝かしつける
「…――っ」ズシュッガタン!
亜騎羅は地面に突き刺していた自らの得物を引き抜き、肩に乗せる
「………――っ!」ギロリッ
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」
刹那、亜騎羅が振り替えるように佐介たちを見る
佐介たちは自分たちを見る亜騎羅に驚きの表情を浮かべる
今の亜騎羅から感じるのは先の戦いの時以上の殺気と憎悪の気配
豹姫をこんな目に合わせた自分たちを潰したくて仕方ないとその眼光は訴えているようだった
「…焔、姉さん。ここは俺が引き受ける。お前たちはこの場から離れろ」
「光牙!?」
「何を言い出すんだ。そんなことできるわけ!?」
「いいからいう通りにしろ!」
光牙からのその指示に反論をしようとする焔と雅緋だったが
それを許さないというかのように光牙が切羽詰まったように言い返す
彼のその一声に焔と雅緋は言葉を失う
「……―――っ!!」バッ!!
「「「っ!?」」」
次の瞬間、痺れを切らしたかのように亜騎羅が勢いよく踏み込みながら佐介たちに向かって飛び出してきた
「―――っ!!」
間合いに入るや否や亜騎羅が手にする獲物を振るおうとする
ガキィィィィィィン!!
刹那、次に聞こえたのは金属と金属のぶつかり合う音
「~~~っ!!??」グヌヌ
そうしてその音ともに繰り広げられるのは亜騎羅の振りおろした得物の一撃を防ぐ光牙の姿だった