これにより脱出に近づいたものの
一方で春花たちは亜騎羅と遭遇したことにより窮地に立たされていた
圧倒的な力によって全滅まで追いやられかけていたが亜騎羅が急に戦線を離脱することで事なきを得る
その頃、今後のことを話し合う佐介たちに豹姫が意味深な言葉を告げる
さらにはその言葉が現実となったかのように城を何度も何度も轟音と揺れが襲う
やがて音と揺れの大きさが最大に達した瞬間、佐介たちのフロアの壁を突き破り現れたのは亜騎羅だった
亜騎羅が自身の登場に恐れおののく佐介たちを他所に豹姫の元に歩み寄り
傷ついた体を気遣いながら彼女からの命令を受ける
豹姫から指示を受けた亜騎羅が佐介たちを屠るべく行動を開始するのだった
豹姫から命をうけた亜騎羅が佐介たちを潰すべき標的と見定める
「――っ!!」バッ
「来るぞ!!」
ガキィイイィン!!
一瞬にして間合いを詰めた亜騎羅が得物である鉄塊を振った瞬間
凄まじい音を立てながら金属と金属のぶつかり合う音が響く
音の原因は亜騎羅の繰り出した得物による一撃を受け止める弓刃の鍔迫り合いのものだった
「ぬぅぅぅ〜!!」
光牙が亜騎羅の一撃をなんとか防いだ
「―――~~っ!!」ゴォォッ!!
「なっ!?ぐぅっ!?」ズズズッ!!
しかしそんなことなど関係ないというかのように亜騎羅が手に持つ得物に力を込める
直後、必死に鍔迫り合いを維持している光牙の足元がどんどんと陥没し始め、瞬く間に窮地に追いやられる
ズシッ!ズシィィィイイイイ!!
「~~~~っ!?」
亜騎羅が力む度に光牙はそののしかかる重圧に押され、堪らず地面に跪きながら、それでも粘り続けていた
「このままじゃ光牙くんが!」
「佐介くん。援護しましょう!」
「はい!」
危機に陥いる光牙を助けるために佐介と紫苑が動く
「はあぁぁぁぁぁ!!」
「やあぁぁぁぁぁ!!」
すかさず左右に回り込み、同時に仕掛ける
「―――っ!!」バッ!
「「なっ!?」」
「~~……っ」ザザァァ!
だが、亜騎羅はここに来る前に同じ戦法で不意打ちを食らっていたため、学習により直前でこれを回避しながら後方に後退した
「くっ、かわされた!?」
「ですが光牙くんを助けることには成功しましたね」
一太刀は入れておきたかったと悔やんでいる紫苑に佐介が光牙を助けられたから結果オーライだとフォローする
「大丈夫ですか光牙くん?」
「はぁ…はぁ…あぁ、問題はない。この程度でへばっている俺ではないからな」アセアセ
心配そうに声をかけた佐介に光牙はその必要はないと立ち上がり、それを態度で2人に示した
「佐介、紫苑。わかって入るだろうが奴の強さは半端ない、油断は一切できないぞ」
「えぇ、しかも今の僕たちの状態はお世辞にもいいとは言えませんからね」アセアセ
「この状況であれを相手にするというのは正直言って骨が折れそうです」
4人でさらには万全な状態で戦ったにも関わらず結果は亜騎羅1人にほぼ壊滅寸前まで追いやられるほどの被害を被ったほど
それを今は相馬を除いた3人で、しかも佐介に関してはまだ力が半分ほどしか戻っていないという真逆の状況
亜騎羅を相手にするにはとてもといっていいほど最悪なコンディションだ
だが、それでも今ここで戦えるのは彼ら3人のみなのである
「四の五の言っても仕方あるまい、今戦るのは俺たちしかいないんだ。何としても俺たちで奴を止めるんだ!」
「はい!」
「えぇっ!」
腹を括った佐介たちが身構える
「―――っ!!」バッ!
「「「っ!?」」」
刹那、3人の動きを察知したのか亜騎羅が突進してきた
「させるか!」
パシュシュシュシュシュ!!
光牙がそれを阻止せんと矢を乱射する
「っ!!」
ブォン!!
「なっ!?」
しかし亜騎羅はそれを振るった得物の剣圧で吹き飛ばしてしまった
「それなら!」
「佐介!?」
攻撃を防がれた光牙に替わり、今度は佐介が出向く
「ふっ、やあぁぁぁぁぁぁ!!」
ある程度まで距離を詰めたと同時に佐介が飛び蹴りを放つ
「っ!!」バッ
ドドォォォォン!!
「ちぃっ!?」
だが亜騎羅は直後に後ろに後退するかのようにバックステップし、佐介の攻撃を躱す
「佐介くん、下がってください!」
「――はっ!!」バッ
佐介に後退するように指示を出すとともに今度は紫苑が動きを見せる
ゴゴゴオオオォォォォ!!!
集中させた気によって念動力を使い、地面から巨大な岩を堀り上げる
「食らいなさい!!」
そして紫苑は堀上げた岩を亜騎羅目がけて投げ飛ばした
投げ飛ばされた岩が一直線に亜騎羅のほうに向かっていった
ドゴォォオオオオオン!!!
次の瞬間、岩が亜騎羅の頭上から落下した
轟音と共に城の床を破壊した
「よしっ!」
「…やったか?」
亜騎羅がいた場所には落下した岩がデーンと落ちており、静けさ続く故に紫苑たちは手ごたえがあったのではと感じた
ザシュゥゥゥゥゥン!!
刹那、岩に一閃が刻まれた
その直後に岩が爆発四散し、辺りに飛び散った
困惑する佐介たちの視線には立ち込める煙の向こうに見える人影が写る
土煙を払いのけながら現れたのは先ほどの攻撃をもろともしていない亜騎羅の姿だった
「……っ」ギュイン!
「くっ!?」
「…まぁ、そう簡単にはいかんわな」
あの程度でやられる相手ではないとはなっから分かり切っていた光牙は妙に納得した顔をしていた
「――っ!!」バッ
歩みを続ける足を徐々に速め、亜騎羅が再び勢いよく駆け出してきた
「来させない!【烈風のソナタ】!!」
ビュォオオオオオオ!!!
紫苑がエネルギーを集約させた風の気弾を繰り出す
それを見た亜騎羅が急ブレーキをかけ、その場に立ち尽くしながら得物を構える
得物を握りしめるとともに意識を集中させる
すると腕の筋肉がぼこっと盛り上がる
「――~~~っ!!」
刹那、亜騎羅が思いっきり得物を振るう
ブォォォオオオオオオ!!!
振りかぶった勢いで発生した斬撃波が紫苑の繰り出した風の気弾に向かって飛んでいく
次の瞬間、二つのエネルギーがぶつかり合う
ブオン!ゴゴゴオオオォォォォ!!
「そ、そんな!?烈風のソナタが!?」
紫苑の放った気弾が亜騎羅の放った衝撃波とぶつかった瞬間に跡形もなくかき消されてしまった
「危ない紫苑さん!?」
「っ、ぐあぁぁぁぁぁぁ!?」
「紫苑さん!?」
「なっ、紫苑!?」
自らの技をかき消されて気が動転してしまった紫苑が佐介の言葉にハッとなるも時すでに遅し
風の気弾を消し飛ばした亜騎羅の斬撃波が紫苑を襲った
「―――ぐぅっ!?」
斬撃波の直撃を受けた紫苑はなんとか堪えることはできたが、ダメージによって姿勢を維持できず、その場に跪いた
「(早くも紫苑が重症で動けなくなってしまった。あの様子じゃしばらくはまともに戦えん。くそっ、こんな状態であんな化け物を相手にしなければならないだと!?)」
動くのに時間を要する紫苑が回復するまでの間、亜騎羅を相手に持ちこたえることが今の自分たちにとってどれほど難しいかを想像するだけで焦りを覚える
そんな光牙が不意に視線を向けるとその先にはこちらをぎろりと睨みつける亜騎羅の姿があった
「くっ、くそったれが!?」
獲物を追い詰める獣の如き眼光を見せる亜騎羅を前に光牙は愚痴をこぼすのだった