佐介たちは4人で力を合わせて亜騎羅を湖に追いやった
しかし勝利の余韻もあっけなく崩れ落ちる
更なる異形の姿へと変貌した亜騎羅が再び襲い掛かり
佐介、紫苑、相馬は気絶させられてしまう
残った光牙が差しで亜騎羅との戦いに挑むも、彼の強さに押されてしまう
だが、これ以上亜騎羅を野放しにできないと光牙は腹を決め、刺し違えてでも彼を倒すことを決める
光牙のその意図に気づいた焔たち外野がざわめきだす中
亜騎羅という怪物を討つべく光牙は限界を超えた力を引き出し、右手と左手を刃と化し、二刀流を携える
直後に激しい戦闘が行われ、どちらも一歩も引かぬ攻防を続ける
そして戦闘の中で生み出した最大の好機に光牙が必殺の一撃を繰り出し、その攻撃を受けた亜騎羅は激しく流血するのだった
二刀の聖剣を振るい、光牙が亜騎羅を切り裂く
ズシュッ!ドドドォォオオオオオン!!
目にもとまらぬ光の速さで切り裂かれた瞬間、周囲にものすごい衝撃波が発生する
「――――ッツツ!!??」
「…絶・秘伝忍法【
直後、光牙が亜騎羅の背後に立ち、遅れて技の名を呟いた
ドゴォォオオオオオオオン!!
次の瞬間、追い打ちをかけるかのように次なる衝撃波が起こる
今度のは亜騎羅の身体に直接起こったものであった
「グッ…――ッ」
ブシャァァァァアアアアアアアアア!!
「―――ッツツ!!??」
刹那、光牙によって体に刻まれた十文字の傷跡から凄まじいほどの血が噴き出した
「「「「っ!?」」」」
「アキ!?」
血を噴出す亜騎羅の姿に皆が驚愕していた
やがて亜騎羅からあふれ出す鮮血の血が勢いを止めた
床は流れた血によって真っ赤に染めあがっていた
大量出血を起こした亜騎羅がフラフラし始める
「……――ッ」グラッ
亜騎羅の身体がゆっくりと前のめりに倒れだす
「「「おぉ!!」」」
「奴が倒れるぞ!これで光牙の勝ちだ!」
その様子を見ていた飛鳥たちは興奮気味に声を上げ、焔はこれにより光牙の勝利を確信する
「そんな……アキ!!」
同じくこの光景を見ていた豹姫が倒れだす亜騎羅の名を叫ぶ
「―――ッツ!!」グッ!!
「「「「っ!?」」」」
「…アキ!」
しかしその直後、豹姫の声が届いたのか倒れるまで寸前の所まできていた亜騎羅が踏ん張りを見せ、踏みとどまった
「なっ…ば、バカな!?」汗
直後、光牙もまたこの現状を目にし、驚愕する
「…ッツ!」ギロリ
視線の先には光牙を睨みつける亜騎羅がいた
「(た、耐えた。耐えやがっただと!?ふ、ふざけるな!渾身の一発だぞ!?)」
自分の限界を超える最大の必殺技を繰り出し、あそこまでのダメージを与えたにも関わらず
亜騎羅は目の前でこちらを獣の如き眼光を向けていた
あり得ない事態にさしもの光牙も驚きを隠せない
「くぅ…っ!?」ガタッ
倒し切れていないとわかるや再び身構えようとする光牙だったが
その直後に体に異常が発生する
「ど、どうしたんだ?光牙の動きがおかしいぞ?」
「「っ?」」
「こ、光牙…」
様子を見ていた焔たちも光牙の異変に気づいた様子で心配そうな顔を浮かべていた
「(か、体が思うように動かない…限界を超えるために力を使いすぎた影響か!?)」グヌヌ
決死の覚悟のために限界を超えた光牙の身体に最悪のタイミングで負荷がかかってしまったようである
敵はいまだ健在であるにもかかわらず動けないというのはとてつもなくまずい状況だった
「……――ッ」グッ!
「―っ!?」
しかもそれを助長させるかのように亜騎羅が拳に力を込めているではないか
一歩一歩、亜騎羅が光牙との距離を詰める
「ね、ねぇ、あれ不味いよ!?」
「行けませんわ!?」
「このままじゃ光牙が!?」
「逃げろ光牙!奴が来てるぞ!早く逃げるんだ!!」
光牙に危機が迫っているとわかり、焔たちは必死に逃げるようにと行動を促す
「―――ぐぅっ!」グヌヌ
「ど、どうしたんだ光牙!なんで逃げないんだ!?」アセアセ
今の光牙に逃げる術はない、事情を知らない焔たちは何度も呼びかけるが
そうしたところで光牙の状況は変わるわけもなかった
「……――ッ」トコッ
「ぐぅ――っ!?」
何もできない光牙の前方に亜騎羅が立つ
「…――ッ!!」グッ!
光牙の前に立った亜騎羅が力を集約させた拳を引き絞る
ブォン!バキィィィィィィン!!
刹那、凄まじい轟音と衝撃が周囲に広がった
「……っ?」
しかし音はすれど一向に痛みがこないことに気づいた光牙が恐る恐る目を開く
「ふんにゅぅぅぅぅぅ!!」グヌヌ
「こん、にゃろめがぁぁ!!」グヌヌ
「〜〜――ッッ!!」グググ
「なっ!?」
目の前で怒ってる光景に光牙は思わず声を上げて驚いた
いつのまにか復活していた佐介と相馬が自分に襲い掛かろうとしていた亜騎羅を2人がかりで必死に押さえ込んでいたのだ
亜騎羅の方も自身にしがみつき離そうとしない佐介と相馬を鬱陶しがり、すぐにも引き剥がそうと暴れもがいていた
絶対に離さないという意気込みを2人から感じるものの、亜騎羅相手にそんな拘束がいつまでも続くわけもないと言った事態に陥っていた
「超・秘伝忍法!」
その時声と共に光牙の前に降り立つ人影が
「紫苑!」
光牙の前に降り立った人影は紫苑だった
「佐介くん。相馬くん、避けてください!【大地のラプソディ】!」ゴゴゴゴ!
2人に注意を促すと共に紫苑が陣を展開させ、そこから無数の岩の弾丸を発射させる
「「っ!!」」
岩の弾丸が放たれるや佐介と相馬がすかさず亜騎羅から離れた
「いっけぇぇえええ!!」
ドドドドドドドドド!!
「~~~―――ッッ!?」ズザザァ!
佐介たちによって身動きを封じられていた亜騎羅は避けることができず岩の弾丸の先例を受けながら後方へと離された
「大丈夫ですか?光牙さん?」
「…ふっ、この状況をそう見ているのならお前の目は相当節穴だな」
「ふふっ、言ってくれますね」
亜騎羅をある程度まで離したところで紫苑が光牙に安否を確認すると
どこか皮肉めいたように光牙は質問に答えるのだった
「光牙くん!無事ですか?」
「おうおう、大丈夫か?」
そんな2人の元に遅れて佐介と相馬がやってくる
「問題ない…っといいたいところだが、流石にもう無理だ。力を使いすぎて思うように動けない」
自分がもう戦いに参加するだけの力がないことを光牙は佐介たちに告げる
「くそっ、回復薬は使い切っちまったしな…」
「ないものをねだっても仕方ないことです。こうなったからには」
「えぇ…光牙くん、お疲れ様でした。後は僕たちに任せてください」
ここまでやってくれたことへの感謝と労いを込めながら3人は意思を引き継ぐことを決める
「お前たち……気をつけろ、手傷を負わせたとはいえ奴は化け物だからな」
「ありがとうございます。では行ってきます」
「やれるだけやってやるさ。お前はそこで休んでな」
「あなたの思い、しかと受け止めました」
光牙の忠告を聞き、佐介たちは歩みだす
目の前の亜騎羅に向かって
「…油断するなよ」
そんな彼らの後ろ姿を見ながら光牙はそうつぶやくのだった