戦いが続くにつれてそれは劣勢に追い込まれる形となっていった
光牙、紫苑が順に戦闘不能なレベルのダメージを負ってしまい
残された佐介と相馬は2人とこの戦いを見守る飛鳥たちのためにも負けじと奮起する
その最中、相馬が渾身の一撃を繰り出し、一時はこれにより亜騎羅を仕留めたと思っていた一同だったが
豹姫の声に好悪するかのように亜騎羅が再び再起を果たし、戦闘は継続されることに
もう一度亜騎羅を仕留めるべく動く相馬だったが、今度は反撃を受けたばかりか拘束されてしまう
おまけに助けに入った佐介も吹き飛ばされ、抵抗を試みる相馬に亜騎羅が勢いよく引き絞ったその拳を相馬に振るうのだった
ドスゥゥゥゥゥゥゥン!!
場全体に轟くほどの轟音により一同が戦慄した顔を浮かべている
その原因を作った亜騎羅は拳を突き出す構えを取ったまま動かずにいた
「――――……ちっ」
するとどうしてか亜騎羅はえらく悔しそうに舌打ちをする
亜騎羅がなぜそのような顔を浮かべているのか、それは彼の見ている方向にあった
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
視線の先には相馬が倒れている
だがかなりのダメージを負ってはいるものの相馬はまだ完全にやられてはいなかった
「見て雅緋ちゃん。相馬くんまだやられてないよ――っ!」
「そ、相馬――ふぅっ」
その様子を見ていた飛鳥たちのほうも先の攻撃の凄まじさから相馬がやられたのではと思っていたが、無事であることに安堵する
「はぁ…はぁ…はぁ…ゲホッゲホ――ッ!?」
<『そ、ソウ、生きて…るか――っ?』>
「な、なんとかな――っ」
苦しそうな表情を浮かべながら相馬と蒼馬は互いのことを気遣う
「だが、さっきのは正直危なかったぜ――っ」アセアセ
<『あぁ、確かにそうだな』>アセアセ
相馬は徐に攻撃を食らう直前の記憶を思い出した
亜騎羅の拳が直撃する寸前のこと、躱すことは不可能だと察した相馬は
咄嗟に持っていたデュアルガンフレードとシノヴァイザーを前方に構えた
二つの武器が盾となったことにより、人体に直接攻撃を食らうという事態は避けることができた
しかし攻撃を防いだ代償はあまりにも大きかった
この攻撃によってデュアルガンフレードが破壊され、シノヴァイザーに至っても破損している様子だった
それにより相馬のほうも強化形態どころか通常形態すら解けてしまっているため、もはやこれ以上の戦闘継続は不可能だった
ドスン…ドスン―ドスン!
「――っ!?」
直後、騒がしい足音を聞き、相馬はすかさず顔だけ前に向ける
「―――ッ」
見るとそこには悪鬼の如き形相でこちらに歩み寄ってこようとする亜騎羅が居た
「(や、やべぇ――このままいたら俺ら間違いなく奴に殺されるっ!?)」
十中八九仕損じた自分に止めを刺しにかかろうとしているのは火を見るよりも明らかだった
「逃げないと――痛っ!?」ズキッ
迫りくる亜騎羅を前に相馬は動こうとするも、彼から受けた拳のダメージが未だ抜け切れていないため動こうにも動けなかった
「――ッツ」ドスンドスン
どうにかできないかとあたふたしている合間にも亜騎羅は一歩一歩近づいてくる
せっかく最悪の状況を回避したにも関わらず今攻撃を受けようものならばそれもすべて徒労に終わるだけ
「く、くそ――動け、動いてくれよ俺の身体っ!?」
だが、どんなに願っても体は動かせず相馬に残されているのはもう亜騎羅にやられるしか道はなかった
「ち、畜生――っ!?」
ここまでかと悔しみの言葉を吐き捨てる
「待ちなさい――っ!!」
「――っ!?」
「―――ツ?」
亜騎羅が刻一刻と近付く中、突如としてその歩みを止めさせる一声が聞こえてきた
見るとそこにはいつの間にか佐介が立っており、亜騎羅のほうを睨みつけていた
「これ以上、みんなに手出しはさせません。どうしてもやるというなら僕を倒してからになさい――っ!」
啖呵を切りながら佐介は亜騎羅に向かって物申す
「……ツ」グポン
するとその言葉に反応してか亜騎羅は相馬から佐介に狙いを定めたようだった
こちらに狙いを定める亜騎羅の眼光が怪しく光り、それを見た佐介は心が震える思いだった
光牙も紫苑もそして相馬までもが再起不能になった今、残る戦力は佐介ただ一人、もう彼には後がなかった
「…すぅ~……ふぅ~………――っ!!」スッ!
深呼吸により気持ちを落ち着かせた佐介はすかさず身構える
「…ッ!」グッ!
それを見た亜騎羅はぐっっと拳を握り占めるとともに佐介同様に身構える
周囲が不安に苛まれながら見守る中、両者は数秒もの間、互いを視界に捉えたまま動かずにいた
「…っつ、はあぁぁぁぁぁぁ――っ!!」
「――ツ!」
刹那、声を張り上げながらに佐介は亜騎羅に向かって突っ込んでいく
対する亜騎羅はその場から動かず、佐介を迎え撃つ構えだった
「やぁああああ――っ!!」ブォン!
「――ッツ!!」バキィン!
直後、ぶつかり合う衝撃が巻き起こるとともに2人の激しい肉弾戦が繰り広げられる
「はぁぁぁぁぁぁぁ――っ!!」
佐介がラッシュによる連携攻撃で亜騎羅を攻撃する
亜騎羅のほうは佐介のラッシュを剛腕で防いだり、いなしたりしながら対応していく
「くぅぅぅぅぅ――っ!!」
怒涛の追い込みを繰り出しているにも関わらず、攻め込んでも決定的な有効打は与えられず
次第に佐介に焦りが見え始める
「……―――ッツ!!」ブォン!
「――っ!?」
ここで攻撃を受け流していた亜騎羅が佐介の焦りから生じる乱れを読み取り、そこにすかさず拳を突き出した
突然の反撃に驚愕しつも間一髪のところで身を海老ぞりに曲げ顔面への直撃を回避した
「――っ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
攻撃を躱した佐介は一目散に後方に向かって飛び、亜騎羅との距離を取る
「(あ、危なかった。回避がもう少し遅かったら最悪首が飛んでいたかもしれない――っ!?)」アセアセ
距離を取った佐介は首元を摩りながらもしも亜騎羅の一撃が直撃していたらと恐怖感を覚えていた
「…―――ッツ!!」バッ!
「あ――っ!?」
佐介が先のことに恐れおののいている間に亜騎羅が踏み込みと共に飛び出し、一気に間合いを詰める
そしてその勢いを乗せた拳を佐介めがけて突き出した
「わわわ――っ!!?」バッ
ドドォォォォン!!
飛んでくる拳に対し、佐介は焦りつつもどうにか横に飛んで亜騎羅の攻撃をかわす
標的を見失った亜騎羅の拳は地面に直撃するとともにまるで爆弾が爆発したかのような勢いの衝撃を生み出した
「うぅ――っ!?」
咄嗟に避けた佐介だったが、発生した風圧によって地面に数回体を打ち付けながら後方へと吹き飛ばされた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
息を吐くのも辛い中、佐介は前方を見る
「――……ッツ」
立ち込める土煙から数秒後に亜騎羅が顔を覗かせる
「(つ、強い…強すぎる…僕一人で本当に何とかできるのかな?)」アセアセ
力の差を感じるが故に佐介の心はどんどんと不安に苛まれるのだった