亜騎羅によって光牙、紫苑が先んじてやられてしまい
相馬もまた抵抗虚しく武器の破壊と破損により戦闘継続が不可能になってしまう
そうしてとうとう残されたのは佐介だた1人となってしまうという事態に陥る
しかし佐介は1人で戦わなければいけないとい不安と恐怖を抱きながらも仲間たちのために拳を振るう
力の差は明らかで、自身が攻めても攻めあぐねるばかりで逆に相手に数回の攻撃を振るわれただけでもう劣勢に追い込まれてしまう
佐介は目の前に立ちはだかる悪鬼の如き亜騎羅に立ち向かう術はあるのだろうか…
僅か数回の交戦で状況は佐介の劣勢に傾いてしまっていた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「……ツ」
いたずらにスタミナを削られる佐介とは対照的に亜騎羅はここまでに光牙たちからの決死の一撃を受けている
一度蘇ったからとはいえ常人ならもう立ち上がってはいられないほどの大ダメージのはずである
だがそれとは裏腹に亜騎羅は多少息が上がっているものの、それでもまだどこか余裕のある表情を浮かべている
「(強い、強すぎる。今までに戦ってきたどんな人よりも…こんな人がいるなんて――っ!?)」
亜騎羅と対峙する佐介は心の中で彼の異常な強さことを考えていた
「状況は圧倒的に僕の方が不利…だけど――っ!」グヌヌ
力の差を自覚しても尚、佐介は立ち上がる
「僕は負けない、みんなのために負けられない――っ!はっ――!!」バッ!
「―――ッツ!!」バッ!
自身に喝を入れながら佐介は亜騎羅に向かって突っ込んだ
それを見た亜騎羅も同じく駆け出していく
両者が間合いに入る
「ふっ――!」
「――ッツ!」
同時に両者共に拳を引き絞る
「はあぁぁぁぁぁぁ!!」
「―――ッツ!!」
バキィィィイイイイイイン!!
刹那、互いの拳がぶつかり合う
「ぐっ、ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ――っ!!」
「――~~ッツツ!!」
佐介と亜騎羅、互いに突き出した拳を圧しあっていく
「――っ!!」
「――ッツ!!」
さらに両者は間髪入れずに次の行動に出る
「たああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――っ!!!」
「――――――ッツツ!!!」
ドドドドドドドドド!!
一発目の打ち合いを皮切りに両者は同時にパンチの奥州を繰り広げる
ものすごい勢いで佐介と亜騎羅が技と技をぶつけ合っていく
2人がぶつかり合う中、その光景を見ていた焔たちは空いた口が塞がらないといった顔を浮かべていた
「す、すげぇ…なんて連打だ…っ」アセアセ
「あれほどまでの奥州とは…っ」アセアセ
「凄まじいですね…」アセアセ
拳打の奥州の光景は全員の目を釘付けにするには十分すぎるほどだった
「佐介くん……佐介くん、負けないで――っ!!」
「「っ!?」」
「飛鳥…」
ここで唐突に飛鳥が佐介にエールを送りだした
近くにいる焔たちはもちろんのことその声は亜騎羅との奥州を繰り広げる佐介にも聞こえる
「(飛鳥ちゃん――っ!?)」
「負けないで佐介くん、佐介くんには私たちがついてるから――っ!」
自分は1人ではないんだよと飛鳥は佐介にそう言い放つ
「…そうだぞ佐介!」
「あなたには私たちだってついてます!」
「だから負けるな!頑張れ!」
続け様に聞こえるのは焔たちの声、3人もまた飛鳥と同じく佐介にエールを送る
「(みなさん……――っ!)」
飛鳥たちが必死に応援してくれている姿を見て佐介の目に闘志の炎が灯る
「―――っ!!」
「――ツ!?」
するとそれに好悪するかのように佐介の振るう拳に勢いが増し始めていく
少しずつではあるが亜騎羅を押し始めていく
「いいぞ!その調子だ!」
「行ける、行けるぞ!!」
「あと一押しですっ!」
「いけーっ!佐介くーんっ!」
徐々に佐介が押し返しだす様子を見ていた飛鳥たちはさらにエールを送る声を高める
「ふぅぅぅぅぅん――っ!!」
「――~~ツ!?」
佐介もその声に応えるため、決死の覚悟でラッシュを繰り出していく
「はぁああああ――っ!!」バキィン!
「ぐぅ――っ!?」ザザァァ!!
打ち合いの中、佐介の繰り出した拳が亜騎羅の顔面にヒットし、後方へと下がらせた
怒涛の追い込みにより形成は佐介のほうに傾きを見せ、亜騎羅は劣勢に立たされていった
「…――アキィ!」
「――ッ?」
その時、亜騎羅は自身の名を呼ぶ声を耳にし、振り向く
視線の先には豹姫がいた
「―――っ姫?」
「…しっかりして!!あなたはこんなところで終わっちゃうような男じゃないでしょ!?だって、だってあなたは私の騎士でしょ!」
「―――……っ」
苦戦を強いられる中、豹姫の言葉を聞いた亜騎羅は一瞬目を見開き
驚いた顔を浮かべるも直後、顔に笑みが浮かぶ
「当たり前じゃん…」
亜騎羅は豹姫に対し、笑みを見せながらそう答える
それを見て豹姫のほうも亜騎羅から予想通りの答えが返ってきたことに笑みを浮かべる
「――――っっつ!!!」
「う――っ!?」
豹姫からの応援の言葉によって亜騎羅もまた勢いをつける
彼女の気持ちに応えるため、亜騎羅が拳の一撃一撃にさらに力を込めていく
力を増した亜騎羅の拳とぶつかった瞬間、佐介は腕に激痛を覚える
しかもそれは打ち合いを続けているがために何発も何発も味わう羽目になる
「ぐぅ――っ!!」
「っ?」
痛みに耐え切れず、たまらず佐介は後方へと退避する
「うっ、うぅ――っ!?」
一先ず亜騎羅と距離を離したはいいが、先の拳の打ち合いによって佐介の手は赤く腫れあがっており
手はプルプルと痺れと震えを訴えていた
あまりの痛みに佐介は悶絶する
「――っ!!」
「――っ!?」
だが、手を休ませてくれるような殊勝な心を持っているような亜騎羅でもなく
佐介が痛みに苦しんでいる隙を突いて追撃を仕掛けてきたのだ
これに対し、なんとか応戦しようとするべく亜騎羅の剛腕を佐介も腕で受け止める
「痛――っ!?」ビクッ
しかし腕で受け止めることによりさらに痛みが走る感覚に襲われる
「―――っっつ!!」ブォン!
「しまっ!?ぐふ――っ!?」
痛みに怯んでいる間に亜騎羅が追撃の肘撃ちを振り下ろし、それが見事佐介の頭を直撃する
勢いのままに佐介の身は地面に叩きつけられてしまう
「うっ…うぅぅ…」
「佐介くん!?」
その様子を見て飛鳥が思わず声をあげる
「……っ」ガシッ
「あぐっ…」
倒れる佐介の髪をグッとひっぱり強引に立たせると亜騎羅は空いている右手をピンと突き立てる
「危ない、佐介くん逃げてっ!!」
亜騎羅が何をしようとしているのかを察した飛鳥は逃げるように促すも
先の一撃により脳にダメージを受けている佐介の意識は朦朧としていて動くことも出来なかった
ズシュゥゥン!!
刹那、生々しい音が響き渡る
直後には皆の絶句する顔が場を支配している
そんな皆の視線の先に映ったのは
突き出された亜騎羅の手によって体を貫かれてしまった佐介の度し難い姿だった
「…さ、さすけくぅぅぅぅぅぅぅん――っ!?」
無惨な姿の佐介を目にした飛鳥が悲しみの声をあげるのだった