しかし終盤に差し掛かると同時に共に戦っていた光牙も紫苑も相馬の3人が
亜騎羅の前に散ってしまった
残ったのは佐介ただ一人
最悪の状況にあるにも関わらず佐介は仲間たちのこれまでの頑張りを無碍にすまいと単身で挑んだ
最中、激しい奥州を互いに繰り出し、一時は押すものの、直後に亜騎羅に巻き返され劣勢に追い込まれてしまう
さらに亜騎羅の追い打ちが佐介を苦しめ、その光景を見ていた一同を絶望に染めようかという状況に追いやられる
だが佐介はここで起死回生の一手を繰り出したことで最悪の状況が流れを変える
佐介はこの好機を逃すまいと一気に畳み掛ける
そして追い詰められた亜騎羅と佐介の最後の一手を同時に繰り出し、この壮絶な戦いを制したのは……
満身創痍の中、佐介と亜騎羅が長き戦いに雌雄を決する一撃を放つ
バキィィイイイイン!!
「「~~――っ!?」」
互いの渾身のクロスカウンターが炸裂し、周囲を困惑させる
「ぐ、ぅぅ…」
直後、佐介が地面に倒れる
「…ぅう…」
しかしその直後には亜騎羅も崩れ落ちた
互いに倒れるも佐介にはまだ意識があり、亜騎羅は意識を無くしているのかピクリとも動かない
完全なる沈黙がこの場を支配していた
「やった……やったよ焔ちゃん!佐介くん達が勝ったんだよ!」
「へへっ、何当たり前の事言ってんだよ飛鳥、光牙達が二度もやられるかっての♪」
「あぁ、流石光牙達だな!」
飛鳥達は今度こそ佐介が勝利したと確信し、抱き合う程に喜びの歓喜の声をあげる
「では皆さん、紫苑達を迎えに行きましょう!」
「うん、そうしよう!」
事態が収まったことにより飛鳥達は佐介達の元に駆け付ける
「光牙、大丈夫か!」
「具合の程はどうですか紫苑?」
「大丈夫なわけがないだろう。もう、ろくに体も動かせんな――っ」
「確かに、僕も体にだいぶガタ来てますね――っ」
焔達が光牙と紫苑の元に駆け付け、容体について問うと2人は体の辛さを訴えていた
2人の辛そうな顔を見て焔と雪泉は心中を察していた
「で、お前の方は…うん、大丈夫そうだな」
「ちょっと待って、俺だけ扱い雑過ぎない!?俺だってあいつらと同じで体中バキバキなんだけど!?辛いんだけど!?」
「心配するな、そんな減らず口が叩けるくらいなら大したことはないだろう?」
「なして!?他の奴らはあんなにも心配されてるのに俺だけなんか理不尽なんですけど!?」
自分だって皆と同じくらいの重傷なのに扱いの落差についてツッコミを入れながら嘆き悲しんでいた
そうして3人が光牙達の元へと着く中、飛鳥もまた佐介の元にやってきた
「佐介くん、大丈夫?」
「飛鳥ちゃん、うん。なんとか…でも体のほうはちょっとダメかな。体中痛くて痛くて」イタタ
「そっか、そうだよね辛いよね。ともかく早くみんなのところに行こう。ほら私に掴まって!」
「うん。ありがとう――っ」
飛鳥に肩を借りながら佐介は光牙達や焔達の居る所に向かう
「ちょっと、待ちなさいよ――っ!?」
「「「「「「「――っ?」」」」」」」
するとその時、呼び止める声がするのに気付いた佐介と飛鳥、更には光牙達も声のする方に視線を向ける
声のする方にはいつの間にか倒れる亜騎羅の横に立つ豹姫の姿があった
「あんたたちよくもアキを、アキをやってくれたわね!絶対に許さないんだから!」
亜騎羅がやられたことが悔しいのか目には涙が溜まっている
「ふん、大層なものいいだな?だがお前の切り札であるそいつは倒れた。もうお前らの陣営に戦える奴は残っては居ない。そんな状況でどう私たちと戦うつもりだ?」
「そうだそうだ。負け惜しみはみっともないぜ~?」
自分達に物申す豹姫に雅緋と相馬は亜騎羅がやられた事で残っている戦力が無い事を突きつけ、逆に諦めを促そうとする
「ぐぅ――ぬぅぅっ!?」
これに対して豹姫には一瞬ぐうの音も出せない様子だった
「さて、果たしてそれはどうかしらね?」
刹那、それに反論する一声が聞こえる
「この声は…っ!?」
「「「「「――っ?」」」」」
声に気付いた豹姫が驚いた様子ですぐさま振り返り、それに続くように佐介達も声のする方に視線を向ける
全員が振り返った先、それは妖魔の繭が置かれている場所
そしてその繭の前に立つ人物の姿が見えた
「あ、あいつはまさか!?」
繭の前に立つ人物を見た光牙や他の面々は驚いた様子を見せる
何故なら繭の前に立つ人物は本来この場にいる筈のない者だったからだ
「どういうこと、どうしてそこに居るの?……ねぇ”零姫”!?」
豹姫が人物の名を叫んだ
妖魔の繭の前に佇む者、それは佐介達が城に攻め込む際に彼らを迎え撃つべく出撃するも
佐介達を止める事ができずに倒されてしまったと思われていた零姫だった
「あらあら、姫も亜騎羅くんも随分な恰好ね?これは少し予想外だけど、まぁ大した問題ではないから良いんだけれどね」
「零姫、無事だったのね!…でもどうしてそんな所に居るのよ?」
零姫が妖魔の繭の前に立っている事が不思議でならない豹姫がその事を彼女に問うた
「どうしてここに居るか知りたいのね。なら教えてあげるわ。でもその前に――っ!」フォン!
すると零姫が何かを亜騎羅目掛けて投げ付ける
直後、それが亜騎羅の腕に嵌る
「あれってまさか!?」
亜騎羅の腕に付けられた物に豹姫が気付いた時だった
キュピーン!
「あ、あの光は!?」
「まさか!?」
突如として亜騎羅の腕が光り出した事で佐介達も察した
零姫が投げ付け、亜騎羅の腕に取り付けた物、それは自分達が付けられている物と同じ装置である事
更にその光は亜騎羅からエネルギーを奪った事を
「あ、アキ!?零姫、あなた何を!?」
「ふふっそれはね……こうするためよ」
意味深な言葉を告げると零姫は妖魔の繭の前に手を振れる
ギュィン!ギュィン!ギュィン!ギュィン!!
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」
次の瞬間、妖魔の繭が怪しく輝き出し始める
「れ、零姫、あなた何をしてるの!?」アセアセ
「見ればわかるでしょ、今からこの繭の中に居る妖魔が羽化するのよ」
予想外の事態に豹姫が問い質すと今から繭の中に居る妖魔を羽化させると言い出す
想像の斜め上をいく回答に一同は驚愕する
「えっ?妖魔が羽化しようとしている?もしかしてアキの力を取り込んだから羽化するためのエネルギーが溜まったっていう事?」
「亜騎羅君だけじゃないわ。この中には亜騎羅くんが狩り取った忍たちのエネルギーはもちろんのこと、あなたの忠実なメイド部隊やセバスチャン、そして神姫たちのエネルギーも入っているもの」
「…はっ?」
更に続け様に語った零姫の言葉に豹姫は開いた口が塞がらないといった顔を浮かべた
「ちょ、ちょっと待ってよ。えっ?神姫達?それにメイド部隊やセバスチャンですって?吸い取られたのはアキだけじゃないの?」
「おかしいと思わなかったの?メイド部隊や神姫達がどうして忍達に使用してしていた腕輪を付けていたのか?」
「た、確かにおかしいとは思っていたけど…」アセアセ
零姫の徐な問いに豹姫は答えを見いだせない
「まったく鈍いわね。いいわ、ここでネタ晴らしと行きましょう…何を隠そう彼女たちに腕輪を渡したのは他ならない”この私なのよ”」
「――っ!?」
「「「「「――っ!?」」」」」
そんな豹姫に向けて零姫は告げる
神姫達、メイド隊やセバスチャンに腕輪を渡した犯人は自分であるという事を…