そんな彼女を止めるべく挑む佐介たちだったが
彼女の力と先の戦闘での疲労も相まって一気に劣勢に追い込まれてしまう
果敢に挑もうとする佐介に零姫が止めを刺そうとするも
直後に彼女の前に豹姫が立ちはだかる
零姫の企みを知った豹姫が彼女に挑むもそれでも状況は変わらず劣勢に追い込まれていく
その最中、危機的状況に追いやられているこの場に現れたのは
佐介たちとの戦闘で倒されたはずの亜騎羅だった
―――時は豹姫が零姫に訴えかけている頃に遡る―――
「(ここは…どこだ?)」
佐介たちに敗北し、意識を失った亜騎羅が気づいたのは見渡す限り何もない黒一色に染まっている空間
そこに亜騎羅は気づけば浮かんでいた
「(どうして俺はこんなところに?…そうだ。確か俺はあいつらを相手にしてたんだ。あと一歩まで追い込んだけど、最後に残ったあの学ランのやつにやられたんだっけ?)」
ぼんやりと亜騎羅はこれまでの経緯の記憶を思い返していた
「(俺、負けちゃったんだね……ごめんね姫、姫の為に頑張ったんだけどちゃんとできなかったよ…)」
自分が負けたんだと亜騎羅は察した
正直なところ亜騎羅にとっては自分が敗北した事自体は然程気に病むようなことではなかった
寧ろ亜騎羅にとっては豹姫の期待に応えられなかったことが何よりも辛い事だった
豹姫への申し訳なさと懺悔の言葉を呟きながら亜騎羅は無限ともいえるただ真っ黒な世界を漂っていた
《「どうして、どうしてなのよ零姫!?…私たちこれまで一緒にやってきたじゃない!」》
突如として空間内に声が響き渡る
「(…これは、姫の声?)」
聞こえてくる声が豹姫のものであることに亜騎羅が気づくのにそう時間は掛からなかった
《「姫、言ったはずよ。私はあなたたちを最初から利用するために戦姫衆という組織を作り上げたのよ。故に私はあなたたちを仲間だと思ったことはないわ」》
続いて聞こえるのは零姫の声
「(零姫…どういうこと?戦姫衆を…姫を裏切ったってこと?)」
会話の内容を聞いて困惑の顔を亜騎羅が浮かべていたその直後だった
暗闇しかない世界に突如として現実世界の映像が浮かび上がった
そこには今正に向かい合い、対立している豹姫と零姫の様子が映し出されていた
映像を眺め続ける中、豹姫が佐介を庇い零姫の光線を防御し、跳ね返すももはやそれだけで満身創痍になりそうになっていた
「(――っ姫!?)」アセアセ
豹姫の苦しむ様子を見て亜騎羅が焦りを見せる
《「今は私があんたの相手をしてるのよ!無視するなんて許さないわよ!」》
《「……まったく、せっかく私が慈悲を与えてあげたのにそれを無碍にするなんて、いいわ。そこまで言うのなら望み通りあなたから先に始末してあげる」》ギュィィィィィ!
抗議する豹姫を標的に定め、零姫が光線を放とうとする
「(――姫、ダメだ。させない。そんなこと、させてたまるか――っ!!)」
その光景を見て豹姫を助けなければと亜騎羅が強く思った瞬間だった
外の世界を映していた光が広がりを見せ、瞬く間に亜騎羅を飲み込んでしまった
「…――っ!?」ピクッ
次に亜騎羅が目を開けた時、そこは現実世界だった
「…俺は?」
意識を取り戻した事に亜騎羅は少し困惑していた
しかしすぐに気配を察知し、振り返るとそこには黒い空間で目にした豹姫を射抜こうとする零姫の姿があった
「(――っ姫!)」
亜騎羅は豹姫が危機に瀕していることを理解すると彼女を助けようと思考を巡らせる
すると近くにあった瓦礫の一部が目に止まる
直後、咄嗟にこの状況を阻止する策を考え付き、その瓦礫を手にすると亜騎羅は勢いを付けてそれを零姫めがけて投げ付けた
投げられたその瓦礫の破片は零姫の手に直撃したと共に豹姫を標的に定めていた光線の軌道をずらす事に成功した
突然の事態に場に動揺が走ると共に皆の視線が亜騎羅に集中する
「あっ、アキ?」
「ま、まさか?」アセアセ
目覚めた亜騎羅を目にした一同は更に驚きを隠せなかった
「はぁ…はぁ…」
「驚いたわ。まさかこんなにも早く目を覚ますとはね」
「……姫は、やらせないっ!」
想像よりも早く亜騎羅が目を覚ましたことに零姫は信じられないといった顔を浮かべ
亜騎羅は零姫に豹姫に手を出させないことを宣言する
「くっ…ふっ、ふふふ。随分な言いようね亜騎羅くん?でも、そこの忍たちに敗北して力を吸い取られてしまっている今のあなたに今更何ができるって言うのかしら?」
自身の想定外ことに少々焦りを覚えていた零姫だったが、すぐさま冷静を取り戻しながら
先の戦いにて敗北したことで力を妖魔に吸い取られてしまったことで今の亜騎羅に自分を倒すことは不可能であることを遠回しに告げる
「……どうでもいいよ。そんなこと」
しかし亜騎羅には全く効いている気配はなく、ただ標的として見据えている零姫に視線を向けるのみだった
「俺はただ姫のため、戦姫衆のために戦うだけだ。裏切るというなら俺はどこの誰でも全力で潰す。どこの誰でもだ。わかった?」
自分はただ豹姫を、居場所を守るために戦うだけだと亜騎羅はきっぱりと言ってのけた
「……アキ」
亜騎羅の言葉に豹姫は胸を撃たれる感覚を覚えた
「ふふっ、ふふふふふ……そうよね、あなたはいつだってそうだものね」
零姫は先の亜騎羅の言葉を聞いて改めて彼がどういう人なのかを再確認した
故にこれ以上何を言っても無駄だと悟った
「ならもはや言うことはないわ……私の邪魔をしようというのなら消えてもらうまでよっ!」
「やってみなよ――っ!」
「言われなくてもそうするわ――っ!」ピシュゥゥゥゥン!
話しを区切るとともに零姫が亜騎羅に光線を放つ
亜騎羅はすかさず回避行動をとる
「まだよ――っ!」
ピシュシュシュシュシュシュシュ!!
すかさず零姫は追撃として光線を連射する
押し寄せる抗戦の雨あられの中を搔い潜りながら亜騎羅は進んでいく
最中、とあるものを見つけた亜騎羅がそれに向かっていく
そして火中の中、亜騎羅がそれを手にする
亜騎羅が手にしたのは刀だった
「あっ、あれは!?」
「どうしたの焔ちゃん?」
「奴が持ってる刀、私のだ!?」
「えぇっ!?」
しかもそれは豹姫との戦いの際に彼女の技を受けてあちらこちらに散らばってしまっていた焔の刀だったのだ
驚いている焔たちを他所に亜騎羅が刀を手に構える
「そんなもので私はやらないわ!!」
武器を手にした亜騎羅に零姫が光線を放つ
だが亜騎羅はそれを刀でいなしつつ零姫に向かっていく
「(くっ、さすがは亜騎羅くんといったところかしら?力を吸い取られているはずなのにまだこれほど動けるなんて!?)」
弱体化しても尚、自分に攻め込む亜騎羅に零姫は言葉を失いそうになる
「はぁぁぁぁ!!」
これ以上は近づかせないと零姫がさらに光線を乱射する
しかしそれでも亜騎羅は攻撃を躱していく
「――っ!!」
「っ!?」ビクッ
刹那、攻撃に意識を集中し過ぎている零姫の隙を突いて亜騎羅が跳躍する
勢いを込めて飛び上がった亜騎羅が零姫との間合いを詰める、
そしてそれに気づく零姫だったが時既に遅し、もう目の前まで亜騎羅は迫ってきていた
「――っ!!」
「ぬぅっ!?」
次の瞬間、持っていた刀を零姫に向けて亜騎羅が突き出すのだった