両者とも一歩も引かぬ戦いが続くも、少しずつ零姫に流れを掴まれ始め
亜騎羅が劣勢に立たされ始めていく
この状況を前にした亜騎羅は力を渇望し、己の内に潜むものに「力」を要求する
その影響からか先ほどまで追い込まれていた亜騎羅が突如として巻き返し始め
零姫はおろかその様子を見ていた他の者たちも驚きを見せる
力を手にしたことで意気を吹き返した亜騎羅が零姫を倒すべくその猛威を振るうのだった
未知なる力を纏った亜騎羅と零姫が互いに睨み合いを利かせる
「零姫……お前を潰す」
「くぅ――っほざきなさい!!」
ビィイイイイイイ!!
身構え、倒す事を宣言する亜騎羅に零姫が先手必勝と攻撃を仕掛ける
両翼から光線を発射し、亜騎羅を攻撃する
「――っ!」ガシッポイッ!
だが同じ技に二度もやられるような亜騎羅ではなくすかさず近くにあった巨大な瓦礫を手にするとそれを投げ飛ばす
飛んでいった瓦礫は亜騎羅に向かって飛んできた光線に直撃する
光線の直撃を受けた瓦礫は空中で爆発四散し、粉々となって辺りに散らばった
「小賢しいことを!はあ――っ!!」
次こそはと零姫が第2射を放つ
対する亜騎羅は再び瓦礫を手にすると先程と同じ様に投げ付ける
「瓦礫を盾にして私の攻撃を躱そうとしてるようだけどそんなの付け焼き刃にしかならないわ!!」
飛んでくる瓦礫を再び光線がぶつかり合おうとした
しかしこのタイミングで先程とは違う事が起きる
「――っ!!」スタッ!
ビュゥウウウン!!
亜騎羅が素早く跳躍すると同時に瓦礫に飛び乗ったのだ
そして光線が直撃するタイミングで瓦礫から飛び出し、爆発の勢いを加えて零姫に向かって飛んでいく
「何ですって!?」
驚く零姫だったが、そうこうしている間に亜騎羅は一気に間合い入る
「――つ!」
距離を詰めた亜騎羅がすかさず零姫に対して顔面を鷲掴みにするとそのまま地面に向かって急降下する
ドスンという落下による音と衝撃が響き渡る
「――~~っ!?」
「―――っ!!」
左手で顔面を押さえ付けた状態で亜騎羅が右手を握りしめ、零姫にその拳を突き出そうとする
「――っ!!」
「――っ!?」バッ!
だが攻撃を繰り出すよりも先に零姫が両翅から光線を放とうとするのを見て亜騎羅が危険と判断し、攻撃を中断して距離を取るべく後ろに後退する
シュルルルルル!!
「っ!?」
距離を取った亜騎羅だったが、その直後自身に目掛けて飛んで来る物があった
押し寄せてきたのは先端を尖らせた無数の触手だった
触手達は一斉に亜騎羅に向かって飛んでいき
「――っ!?」
次の瞬間、亜騎羅の身体に触手達が次々と突き刺さり、その身を串刺しにした
「―ぅっ!?」
体に刺さった触手による痛みに亜騎羅が怯む
シュルン!バシィィィィィン!
「ぶぐっ――――っ!?」
更に念押しと言わんばかりに突き刺さっていた触手が剥がれたタイミングで合わせるように鞭の様にしならせた触手が飛んで来た
鞭の如き触手が亜騎羅にぶつかるとそのまま彼を薙ぎ払うように後方へと吹き飛ばした
後方へと飛ばされた亜騎羅はその先にあった瓦礫に勢いよく身を打ち付けられた
「さっきはよくも私を叩き付けてくれたわね。許さないわよ。あなたには私が受けた屈辱を痛みに変えて返してあげるわ!」
態勢を立て直した零姫が瓦礫に打ち付けられた亜騎羅に仕返しを宣言する
シュルルルルル!!
零姫が再び展開させた触手たちを亜騎羅に向けて飛ばす
「――っ!!」バッ!
触手が襲い掛かってくる直前、亜騎羅の視界に偶然にも先の戦いで佐介たちとの死闘の際に折られてどこかへと飛ばされていた自分の愛用の得物を発見した
回避行動に移ると同時にそれを手にする
間一髪のところで触手たちの攻撃から回避に成功した
「無駄よ!」
シュルルルルル!!
「――っ!?」ザシュッ!
しかし零姫が残っていた一本を飛ばしてくる
このタイミングで襲い掛かってきたことにより亜騎羅は反応が間に合わない
隙を突いた触手が亜騎羅の右肩を掠め、皮膚を抉り取る
皮膚の下から露出した肉が露わになると同時にそこから夥しい程の鮮血が流れ出ていた
「……――ぐぅっ!!」
「さっきの威勢はどうしたの!手も足も出ないのかしら!!」
零姫は追い打ちをかけるべく触手たちを自身の元に呼び戻すと再び亜騎羅に向けて飛ばす
「―――っ!」
襲いかかる触手たちの攻撃を亜騎羅は左手に握りしめた得物で防ぐ、いなすなどして対処を試みる
シュルルルル!!ザシュン!!
「ぬぅっ!?」ブシャッ!
それでも数の暴力が亜騎羅に牙を剥いた
亜騎羅の妨害を掻い潜った一本の触手が彼の右手を貫いた
「――っ!?」ズシュッ!
右手を貫かれた亜騎羅はすぐさまそれを抜くと勢いよく握りつぶす
触手によって風穴を空けられた右手にズキズキと痛みが走る
「(まだだ…こんなんじゃいいようにされるだけだ…)」
今のままでは零姫に攻撃を加えることもできないばかりかいたずらに自身の身を傷つけるだけだった
「(おいどうした?こんなもんなのかお前の力は?出し惜しみなんてしてんじゃねぇ。使い熟してやるからもっとよこせ。お前の力を見せてみろよ!)」
攻めあぐねる亜騎羅は再び自分の中に宿るものに要求する
もっと今以上に持っている力をよこせと
するとそれに好悪するかのように核が今まで以上に鼓動と脈動を起こしていく
「ぐっ、ぅぅぅ――っ!?」
急激な鼓動と脈動によって苦しみを感じるが、それに比例して力の高まりを感じる
ぎゅっと瞑っていた目を開けると右目は赤く染まっており、鮮血が流れ出ていた
「……ふぅ~っ」
目から流れ出た血を舐め取ると亜騎羅は姿勢を低くしながら身構える
「……――っ!!」バッ!
刹那、地面を蹴ると共に加速の勢いをのせながら亜騎羅が何度目かの特攻を仕掛ける
「まだやろうって言うの?無駄よ。あなたでは私の触手たちの攻撃を凌ぐことはできない。ただ串刺しにされるだけなのよ!」
近付こうにも触手で傷付くだけの無駄なことだと指摘しながら零姫がそれを今一度わからせてやろうと触手を展開させ亜騎羅を襲わせる
スローモーションのようにゆっくりと流れる時の中、触手たちの包囲網を展開させ、逃げ場を奪うとともに次こそは確実に亜騎羅を串刺しにしてやると零姫は意気込んでいた
そして触手たちが亜騎羅の目の前まで迫っていく
「(今度こそこれで仕留めてあげる。お別れね亜騎羅くん!)」
この状況を前に零姫が自らの勝利を確信する
しかしその直後だった
カキキキキキキキン!
「――っ!!」ズシュゥゥゥゥゥン!
「な――っ!?」
亜騎羅が攻撃をいなしつつ、触手たちを一ヶ所に集めると同時に
勢いよく折れた得物の尖った先端を触手たち目がけて突き立てた
「(私の触手を一ヶ所に束ねて動きを封じた!?)」
集められた触手たちを刀を突き刺したことで同時に零姫の動きも抑制することに成功する
「――っ!!」
触手の動きを封じたことにより亜騎羅がすかさず得物の持ちて部分のスイッチを押すと
反対側に付いていた部分がパージされ、メイスとして扱うことのできる武器と化し、亜騎羅はそれを手に零姫に向かって突っ込んだ
「よくもやってくれたわね!!」
向かってくる亜騎羅に対し、零姫が指先から光線を発射する
しかし先ほどまでよりも明らかに速度が上がっている亜騎羅にそんなものが当たるはずもなく間合いをどんどんと詰められていく
「――っ!!」
「なっ!?」
「――ふんっ!!」
「ぐっ!?あぁあああっ!?」
ドスゥゥウウウウン!
そして光線を搔い潜って懐に入った亜騎羅が渾身のメイスを振り下ろし、その一撃を受けた零姫は勢いよく地面に叩きつけられるのだった