互いに一歩も譲らない攻防、それにより2人の身体は徐々に傷つき、痛々しい姿にへと変わり果てていく
それでも尚、戦い続ける中で亜騎羅が零姫を徐々に押し始めていく
零姫もまた獣の如く荒々しく戦う亜騎羅の攻め込みに危機感を覚えていった
最中、亜騎羅が決めにかかるように攻撃を仕掛け、それにより零姫が大ダメージを負う
しかし零姫も負けてはおらず、その隙を突いて亜騎羅に奇襲を仕掛けるのだった
亜騎羅と零姫の戦いは白熱を極めていた
互いにやってはやられ、やられてはやってという鬩ぎ合いを繰り広げていた
「うっ…ぬぅぅ…」
零姫が繰り出した触手による一撃で体中に風穴を空けられてしまい
身体からも口からも血を流していた亜騎羅は苦痛に耐えていた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
一方の零姫の方もこれまでの亜騎羅との戦闘によってダメージが酷く
さらには先ほどの亜騎羅の一撃を受けたことで片翅を損傷してしまっていた
「んん~っ!!」ギュィン!
触手で亜騎羅の身動きを封じている間に零姫が再生能力を発動しようとする
しかしその最中、零姫はある事に気付く、翅の再生せず時間が掛かっている事に
「(くぅ、思った以上に亜騎羅くんからダメージを受け過ぎた。おかげで再生の速度が!?)」
亜騎羅との戦闘によって負ったダメージの弊害がここにきて再生に影響を及ぼす程になってしまっていた
「(仕方ないわね。再生はひとまず置いておく事にしましょう。それよりもまずは…)」
一旦再生を諦めると零姫は再び亜騎羅に視線を向ける
「よくも私の翅を引き千切ってくれたわね。許さないわ。覚悟しなさい亜騎羅くん!」
「――っ!?」
許さないと宣言すると零姫は亜騎羅を串刺しにしている触手に念を送り出す
すると触手から電磁波のようなものが発生する。伝うように走っていくと亜騎羅に注ぎ込まれる
ビュリリリリリリ!!!
「―――~~~~っ!!?」ガタタタタ!
次の瞬間、まるで高圧電流を流されたように亜騎羅が感電したようにガタガタと震えだし、言葉にならない程の苦痛に顔を歪ませていた
数秒後、触手に注いでいた分のエネルギーが切れたのか体を走る電流の如き痛みが一旦鳴りを潜める
「うっ……ぅっ……」
身体から煙を噴出し、ガクンと俯いた状態で微かな唸り声をあげていた
「……ふっ、ふふふ、ふふふふふ。さしもの亜騎羅くんもこれでは手も足も出ないでしょう…だけど!」
言葉を一旦止めると零姫は再び触手にエネルギーを送り、それを伝って亜騎羅の身体にエネルギーが注がれる
ビュリリリリリリ!!
「―――~~っ!!??」
そして先ほどと同様に亜騎羅の身体を高圧電流の如きエネルギーが襲い、彼に苦痛を与えていく
「ぐ、ぅぅぅぅぅ!?」
「いくらあなたが強くなったとて身動きを封じられている今の状況では何も出来やしないわ!」
じわじわと亜騎羅を痛ぶりながら零姫はそんな彼の苦痛に歪む顔を眺めて不敵な笑みをこぼす
「さぁ、仕上げといきましょうか」
そう言うと零姫が人差し指を突き立てその指先にエネルギーをチャージする
「あなたの相手をするのもいい加減飽きてきたわ。今度こそ確実に殺してあげる!」
エネルギーを蓄積させる人差し指が指しているのは亜騎羅の脳天
脳を貫いて確実に亜騎羅を仕留めようとしていた
彼女のしようとしてることがわかったところで体が痺れて今の亜騎羅にそれを阻止する手立てはなかった
「死になさい!!」ピシュゥゥゥゥン!
「――っ!?」
零姫が光線を繰り出し、光線がまっすぐ亜騎羅めがけて飛んでいった
その時だった
「っはあぁぁぁっ!!」シュン!
バシュゥゥゥゥゥン!!
「「――っ!?」」
突如、どこからともなく飛んできた人影が2人の間に割って入り、亜騎羅に向かって飛んでくる光線を弾き飛ばした
「あ、あなたは!?」
一体何が起きたのかと零姫がすかさず目の前の人影に視線を向けるとハッとした顔を見せる
同じく亜騎羅もまた目の前に現れてた人影を目にし、驚いた様子を見せる
「ひ…姫?」
おもむろに亜騎羅が呟いた一言により、人影の正体が誰か判明する
「……っ!」
2人の戦いに割って入り、零姫の攻撃から亜騎羅を救ったのは豹姫だった
「はぁあっ!!」
ザシュン!
「なっ!?」
「――っ!」
驚く2人を尻目に豹姫はすかさず亜騎羅を拘束している触手をぶった斬り、彼を自由の身にした
「アキ…」
「…姫」
解放された亜騎羅が豹姫と向かい合い、言葉を投げかけ合う
「姫ぇ!!」
「「――っ!?」」
刹那、零姫が怒号の如き声を上げながら2人を睨みつける
「余計なことをしてくれたわね。許さないわよ!」
「…零姫」
せっかく上手く行っていたのにそれを邪魔されたことに怒りに満ちた表情で零姫は豹姫を見る
一歩の豹姫はそんな零姫とは対照的にどこか悲し気な表情を浮かべていた
「零姫、もうやめて!」
「――っ?」ピクッ
「私、これ以上あなたと争いたくない。仲間同士で殺し合う光景なんて見たくないのよ!」
豹姫は自身が思うことを零姫に訴える
これ以上仲間である亜騎羅と零姫が戦う姿を見るのは胸が苦しいと豹姫は必死に訴える
「気は確かなの姫、言ったはずよ私は貴女達を最初から仲間だと思った事はない。この力を手に入れる為に利用していたに過ぎないって」
「…嘘よ。あなたは嘘を吐いているわ」
「…っ!?」
不意に呟いた豹姫の言葉に零姫は困惑する
「う、嘘ですって?い、いったいなにを言っているのよ?」アセアセ
「本当に私達を仲間だと思っていないならどうしてあの時私を殺そうとするのを躊躇ったの?」
自分の言ったことに嘘はないと言い張る零姫だったが、豹姫の続け様の問いかけにだんだんと口ごもり出し始める
「確かに最初は利用するための行動だったかもしれない、だけど少なくとも私たちとともに長き時を過ごしてきた思い出と日々は嘘なんかじゃないはずよ!」
「――っ!?」
豹姫のし指摘に零姫は体をびくつかせる
「そ、そんなこと、そんなことなんかな――っ!?」ドックン
刹那、否定の言葉を述べ問うとする零姫の脳裏に浮かび上がるのはこれまで共に豹姫たちと過ごしてきた思い出の記憶が蘇る
「――っ」ガクブル
目的のために彼女と共に亜騎羅たちを集め、戦姫衆として行動してきた
だがそれに伴い共に過ごしていくうちに零姫の中に彼女たちとの過ごす時間に幸福を覚えだしていたものまた事実だった
それらの思い出が零姫の脳裏を埋め尽くすほど広がっていく
「私は…私は…っ!?」
思い出一色に染まる脳裏によって零姫の感受が揺らぎ始めていく
「零姫、お願い、戻ってきて!」
「うっ、うぅぅぅぅ――っ!!??」
あと一押しというかのように零姫に豹姫が訴える
彼女のその言葉によって零姫の心が更に大きく揺らぎ始めようとしていくのだった