閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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暴走する零姫と戦う亜騎羅たち、妖魔たちと戦う佐介たちの入り乱れる戦闘が尚も続く戦場


亜騎羅は詠が妖魔の攻撃によって手から離れてしまった大剣を手にする


身も心も妖魔に支配され、荒れ狂う零姫を救ってほしいという豹姫の思いを胸に亜騎羅が最後の一手に出る


抵抗しようとする零姫の攻撃を身を削るような痛みにも負けず亜騎羅は一撃に全てを込める


そうして亜騎羅の渾身の一撃が零姫を切り裂いた


直後、零姫の脳裏にかつての思い出が読みがえるのだった





薄れゆく意識の中で… 

真っ黒だった零姫の精神世界が彼女を救おうとして現れた少女の放った光によって白く染まる

 

 

彼女が放った光が世界を染め上げていったのだ

 

 

『うがぁぁぁあああああああ!?!?』

 

 

更にその光によって零姫を惑わしていたもう一人の彼女が苦しみの断末魔を上げていく

 

 

だがそれでも消されまいとして抵抗を試みる

 

 

『往生際が悪い、あなたに零姫を好きにさせるものですか!!』

 

 

 

キュィィィイイイイイン!!

 

 

 

直後、彼女の意思に好悪して輝きが一層力を増していった

 

 

『うがぁアアアアアアアア!!!???』

 

 

その光に照らされた事で先程以上の苦痛の叫びを上げ

 

 

鍍が剥がれるかのようにその姿は異質なものへと変わり果てていく

 

 

『お、おノレェエエエエエ!!!???』

 

 

『はあぁぁぁぁぁ!!』

 

 

『~~~~~ッツ――――!?』シュゥゥゥー

 

 

悪あがきを見せていた邪悪な意思だったが、ついに彼女の力に撃ち負け、零姫の世界から消滅してしまった

 

 

邪悪なる意思を消し去った少女は近くでへたり込んでいる零姫に近づき、身をかがませながら同じ目線になる

 

 

『零姫』ニッコリ

 

 

『……っ』

 

 

自分の名前を呼んでにっこりとほほ笑む少女の顔を零姫は眺める

 

 

未だこれは夢か幻なのかと思っているかのようなそんな顔を浮かべながら

 

 

するとその直後、彼女が零姫をぎゅっと抱きしめる

 

 

『会いたかった…こんな形でだけどまたあなたに会えた…私、とっても嬉しい』

 

 

『あっ…あぁ…』

 

 

触れ合う肌と肌、そして優し囁く言葉、暖かな温もりが零姫の壊れかけた心にしみ込んでいく

 

 

『…わた、わたしも…ずっと、会いたかった!』

 

 

『うん』

 

 

『わたしは…ずっと謝りたかった!わたしのせいであなたを死なせてしまったこと、ずっと後悔してたの!だからあなたの肉体を貰った時、あなたのために尽くそうと決めたの!』

 

 

『そっか…私のせいであなたに辛い思いをさせてしまったね……ごめんね』

 

 

零姫も彼女を抱きしめがえしながら自分の思いを告げる

 

 

そんな零姫の嘆きと悲しみに満ちた思いの言葉を少女は聞き、自らも謝罪の言葉を送りながら優しく頭を摩る

 

 

『でもね零姫、私は自分が死んだことをあなたのせいだと思ったことないし、身体だって私が望んであなたにならと差し出したんだから気にする必要はないわ』

 

 

『けれど…けれども!?』

 

 

未だ罪悪感が心に残る零姫は必要ないと言われても素直に受け入れられずにいた

 

 

『いいのよ。あれから何年も立っても今も死んだ私のことをこんなにも大切に思ってくれてる。私にとって来れ以上の幸せはないわ…ありがとう零姫』

 

 

『…――っ!?』

 

 

ずっと恨まれていると思っていた相手に感謝の言葉を貰った零姫は涙を止めることができなくなってしまった

 

 

『さてと、じゃあ私、そろそろ逝くね』

 

 

『……えっ?』

 

 

離れるとともに零姫に告げた瞬間、足元から彼女の体が光となって消え始める

 

 

『ま、待ってっ!?』

 

 

慌てて零姫が静止の声を発するも少女は首を横に振る

 

 

『ごめんね、でももう私には力は残ってないの』

 

 

『…そんな』

 

 

少女は申し訳なさそうに告げる

 

 

魂の器たる肉体を零姫に差し出したことで精神体となっている彼女はもう生前の姿を保てるだけの力は残っていなかった

 

 

『いや、いやよ!こうしてまた会えて話しあえたのにまたお別れするなんて!』

 

 

ずっと会いたかった相手に会えたのにその相手はもうすぐ消えそうになっている

 

 

認められない現実を否定するように自分の思いを告げる

 

 

『私はもう過去の人物、あなたと一緒に入られないわ』

 

 

『…っ!?』

 

 

しかし彼女はその願いを拒んだ

 

 

死人たる自分と一緒にいてはいけないと

 

 

『いやよ!お願い、私も連れて行って!私を置いて行かないで!?』

 

 

彼女と離れたくないと零姫は心から懇願する

 

 

『ダメよ零姫、あなたはまだこっちに来てはダメ』

 

 

『そっ、そんな…』

 

 

だがこの願いも少女は頑なに拒絶した

 

 

『それに今のあなたは一人じゃない。そうでしょ?』

 

 

うなだれる零姫に少女は問いを投げかける

 

 

《『…k……れ……き!!』》

 

 

『…この、声』

 

 

空間内に聞こえる聞き慣れた声に零姫は反応する

 

 

それを察知した少女が空間に外の世界を映す穴を出現させる

 

 

《『零姫!!』》

 

 

『…姫?』

 

 

穴の中に映ったのは心配そうに何度も自分の名を呼ぶ豹姫の姿だった

 

 

『今のあなたにはあの子たちが、あなたを思ってくれる、必要としてくれる人たちがいる。だから行ってあげてあの子たちの元に』

 

 

少女は豹姫たちの元に戻るよう零姫を促す

 

 

彼女の言葉に零姫はしばらく映る豹姫の顔を眺めると自分が今どうしたいかを考え始める

 

 

思い悩んだ末、零姫は決心したようにキリっとした顔を見せる

 

 

『…決めたわ。私、姫たちの元に戻るわ』

 

 

『そっか……そっか』

 

 

零姫が導き出した答えを聞いて少女はホッとした様子を見せる

 

 

『おかげで安心したわ…これでもう心残りはないわ』

 

 

その言葉に好悪するように彼女の消滅が加速する

 

 

『元気でね。私の分も幸せになって…あの子たちと仲良くね』

 

 

『…ありがとう、大好きだよ』

 

 

『ふふっ……うん、私もだよ♪』

 

 

互いに別れの言葉を伝え合った瞬間、彼女の身体が眩く光り輝き、零姫もろとも世界を覆いつくしていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零姫が大切な友との別れを経験している頃、現実世界では

 

 

「……うァァアアアアアアアア!!??」

 

 

「――っ!?」

 

 

亜騎羅との取っ組み合いの最中、沈黙を破るように零姫が狂気じみた叫びを上げる

 

 

その様子はどうにも剣で翅を貫かれた痛みによるものではないようだった

 

 

するとその直後、零姫の体が光輝いたと思ったらそれと同時に黒い靄が出始める

 

 

まるで身体から追い出されるような形で黒い靄が完全に零姫から引きはがされた

 

 

黒い靄が吹き剥がされたことで零姫が元の姿へと戻る

 

 

咄嗟に倒れこむ零姫を亜騎羅が支える

 

 

「…零姫?」

 

 

恐る恐る亜騎羅が零姫に声をかける

 

 

「…あ、きら…くん?」

 

 

微かにだが意識を取り戻したようだった

 

 

 

グモォォォォ!!

 

 

 

 

最中、零姫から抜け出た黒い靄が集まり一つとなることで球体状のものが出現する

 

 

気配から察するに球体の正体は零姫が取り込んだ妖魔なのだと考えられる

 

 

警戒しつつ観察していると形態変化をしようとしているが変化が上手くできないようだった

 

 

零姫同様にこれまでのダメージの蓄積も相まって姿を球体の形にとどめるのが精一杯だったのだろうと絞殺で来た

 

 

そんなことを考えていると妖魔の核は形態変化ができないとわかるやいそいそとこの場から、亜騎羅から逃げ出そうとする

 

 

「っ―――姫、零姫を!」

 

 

「えぇっ!?ちょ、アキ!?」

 

 

亜騎羅が咄嗟に豹姫に声をかけ、手に抱えていた零姫を豹姫に向かって投げつけた

 

 

急にそんなことをされたものだから豹姫は困惑しそうになる

 

 

だが、慌てる自分を他所に零姫は刻一刻と落ちてきていた

 

 

「ああもうっ―――ぐぅ!!」ガシッドドン!!

 

 

半ばやけくそではあるものの、豹姫は落下してくる零姫を全力でキャッチするも勢いを殺し切れずそのまま後ろに倒れこんでしまった

 

 

「痛つつ…零姫、大丈夫!?」

 

 

「…ひめ……」

 

 

起き上がった豹姫が容体を尋ねると零姫は弱々しくも頷いた

 

 

それを見て豹姫も一安心した

 

 

【『――ッツ!!』】ビュゥウウン

 

 

「――っ!?」

 

 

一方、豹姫に零姫を任せた亜騎羅は逃げ去ろうとする妖魔の核を追いかけようにも重力に抗えず降下していた

 

 

落ち行く中、どうにか状況を好転させられないかと考えていると同じく宙をくるくると回りながら落ちている詠の大剣に目が行く

 

 

何かを思いついたように大剣の方へと急降下すると着地したのが運よく棟だった

 

 

「――逃がすかっ!!」バッ!!

 

 

【『――ッツ!?』】

 

 

着地に成功するなり亜騎羅は大剣を踏み台にして勢いよく跳躍する

 

 

妖魔の核は急いで逃げようとするも速度は亜騎羅の方が勝っていた

 

 

「―っ!!」ガシッ!!

 

 

そして次の瞬間、亜騎羅が遂に妖魔の核を掴み、逃亡を阻止するのだった

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