与えられた忍務のために己の技を駆使し、陰ながら世の発展に貢献していった裏の立役者たちのことである
妖魔…それは、忍同士の戦いから生まれた膿のような存在…
多くの忍たちが忍結界内で流した「血」を糧に現世に誕生する人外にして魔なる存在のことである
悠久の時にも思えるほどに長き年月の刻を双方の勢力は幾度となく対立を繰り返し
互いに血で血を洗い、肉と肉を削ぎ落すほどの激しい戦いを繰り広げていた
そして今、長きにわたる双方の戦いは現代を舞台にこれまでにないものにへと加速をしようとしていた
この物語は忍と妖魔、相反する二つの勢力の中で織りなされる新たなる物語である……
楽しい平和な一時
陽気で楽しげな音楽が街中に響き渡る
季節はクリスマスの時期に差し掛かっていた
その為、街中がクリスマスの飾り付けなどでデコレーションされており
街の中心地には巨大なクリスマスツリーが建てられており、いろんな飾り付けがされていた
「うわ〜!見てみて佐介くん、すんごい賑わってるよ♪」
「うん、そうだね」
そんなクリスマスシーズン真っ只中の街に佐介と飛鳥がやってきていた
2人はいつも以上に活気に溢れている街並みに見とれていた
「こっちもすごい!あっ、あっちも!」
「こらこら飛鳥ちゃん。そんなに燥ぐと迷子になr「うわぁ~!?」って言った傍から!?待って飛鳥ちゃーん!?」
目移りする程たくさんの物を見て回る飛鳥に注意を促そうとするも、その言葉を待たずして彼女は人混みの波に吞まれていた
慌てて佐介が飛鳥の後を追うのだった
――人混みかき分け数分後――
「ふぅ~……もう、飛鳥ちゃんたら、人が注意しようとする前に巻き込まれちゃうんだから」
「うぅ~…ごめんなさい」
燥いでしまったせいで佐介に迷惑をかけてしまったことを不甲斐ないと感じ、飛鳥はしゅんとしていた
「もういいよ。さぁ、行こう…」ギュッ
「ふぇっ///さ、佐介くん///?」
すると唐突に佐介が飛鳥の手を繋いできた
いきなりのことで飛鳥は面を食らったような感覚に襲われる
「こうしてればもう迷子にならずに済むからね」
「う、うん…そう、だね////」
「ん?どうしたの飛鳥ちゃん。顔赤いよ?」
「な、何でもないよ。何でもないから気にしないで///」
飛鳥のその回答を聞いて佐介も「そう」と返事をするのみでそのままリードしたまま人混みの中を進んでいった
「(……まだまだ先は長いな~)」
最中、飛鳥は心の中で思いに更けていた
今こうして好きな人と手を繋いでいるにも関わらず、それはあくまで彼にとっては自分が幼馴染だからということが起因している
故に嬉しい気持ちはあれど、まだ発展途上でしかないことが心なしか残念に思えもしたのだった
♦
あれから佐介たちはいろんな店を回り、行く先々の店で買い物を済ませていった
「結構な大荷物になったね」
「ごめんね佐介くん、私より多く持たせちゃって」
「ううん。気にしないで飛鳥ちゃん。こういう時こそ荷物持ちの僕の出番だから」
「ふふっ…もう、佐介くんったらw」
たくさん買い物をしたこともあり両手いっぱいにたくさんの紙袋を持ち歩く2人
飛鳥は自分よりも多く紙袋を持たせてしまっていることを申し訳なさそうに謝るも佐介のほうはぴんぴんした様子でガッツポーズを決めていたりした
そうして2人が買い物を続けている時だった
「あれ?そちらにいらっしゃるのは飛鳥さんに佐介さんではございませんか?」
不意にどこからか自分たちの名を呼ぶ声が聞こえた
「この声って?」
聞き慣れた声に佐介と飛鳥が振り返るとそこには案の定、知人であり、同じ善忍たる「月閃女学館」の生徒である紫苑と雪泉がいた
「やっぱり雪泉ちゃん。それに紫苑さんも!」
「奇遇ですね。たくさん抱えてクリスマスのパーティの準備ですか?」
「そういう雪泉ちゃんたちも紙袋がいっぱいだね?」
「うふっ、はい。同じですね♪」
偶然にも街中で出くわした4人は互いにクリスマスパーティ用のグッズの買い出しに来ているのであることを手持ちの荷物を見て認識した
「佐介くんもお疲れ様ですね。すごい量だ」
「あはは、でもそういう紫苑さんだって僕とそう変わらないじゃないですか?」
「まあね」
佐介も紫苑も両手に一杯の紙袋が手下げていた
「あっそうだ。ねぇ雪泉ちゃん。ここらへんで”猫耳”売ってる場所知らない?」
「猫耳?」
「うん…まったくかつ姉もなんで猫耳なんか欲しがるかな?絶対に私たちにつけさせてセクハラする魂胆だよきっと」
「かつ姉さんならあり得る話しだね」
葛城から頼まれた猫耳を探しているもののなかなか見つからないことに加えて彼女がそれを何に使おうとするかは容易に想像できるため複雑な気持ちだった
「それでしたらちょうどよかった。実は私たちも行く予定なんです。良ければご一緒に行きませんか?」
「本当、それは助かるよ!」
「では早く参りましょう。早めに閉まってしまうお店なので急がないといけないんです!」
そういうと雪泉が人混みの中を猛スピードでかけ始める
「雪泉ちゃんすごい勢いだね?」
「うん、どうしたんだろ?」
「…さぁ、なんで…だろうね」
「し、紫苑さん?」
人混みをかき分け先を行く雪泉の様子に佐介と飛鳥は何が彼女をそこまでさせるのか不思議でならなかった
すると隣にいた紫苑がどこか苦い顔をしながらぼそりとつぶやいていたのだった
♦
あの後、人混みをかき分け先に進む雪泉を追いかけて佐介たちは彼女が話していた店にたどり着いた
そこには確かに雪泉のいう通り猫耳やら犬耳などいろんな耳カチューシャはもちろん、他にもいろんなグッズが取り揃えてあった
「わ〜!すごいね。雪泉ちゃんの言うとおりなんでもあるよ!」
「本当だね。いろんなパーティグッズが揃ってる。これならかつ姉さんも満足してくれるよきっと」
「うん♪」
雪泉に案内された店に揃った様々なカチューシャに目を奪われながら佐介と飛鳥は葛城が満足してくれるだろうと彼女の喜ぶ顔を思い浮かべていた
「あれ?そういえば雪泉ちゃんは?」
「紫苑さんも、どこに行ったんだろ?」
一緒に同行していたはずの2人の姿がどこにもないことに気づいた佐介と飛鳥は小首をかしげる
「あっ、佐介くん。あそこ!」
「あそこ?」
飛鳥が気づいた方向に視線を向けた先には試着室があった
その時だった
「も、もうやだぁぁああああ!!??」
「「――っ!?」」
試着室の中から猫耳カチューシャを被った紫苑がでてきた
飛び出てきた紫苑が佐介たちの元に駆け寄るとその後ろに回って隠れ蓑代わりにしてきた
「お待ちください紫苑!」
さらに紫苑を追う形で雪泉が試着室から出てきた
佐介と飛鳥を挟んで2人がにらみ合いの硬直を続ける
「逃がしませんよ~!観念してください!」
「い、嫌だ!もういいでしょ!?」
「ダメです!まだまだあなたにかぶってもらいたいものがたくさんあるんですから!」
すると雪泉が手に持っていた店の商品たるケモ耳カチューシャをちらつかせる
猫耳、犬耳はもちろんウサ耳や熊耳、トラ耳など他にもたくさんのカチューシャがその手に握られていた
「だいたいそういうのは雪泉たちのほうが似合うじゃないか、なんで僕まで!?」
「そんなことはございません!ケモ耳を付けられたあなたはとても愛らしい、それすなわち[かわいいは正義]なのです!」
「正義をそういったことで使うのはどうかと思うんだけど!?」
あくまでも自分には似合わないと主張する紫苑に対して雪泉は可愛らしさは正義であると説いた
「さぁ、観念してください紫苑、そしてみんなでケモ耳クリスマスパーティを送るのです!」
ハァハァと息を荒くして口からは涎を垂らしながら雪泉が徐々に詰めよっていく
「嘘だ!君のその顔が絶対それだけで終わらないことを告げてるから断固拒否するぅぅぅううう!!」
「あっ、…もう往生際の悪い、お待ちください紫苑!!」
「やだぁぁぁあああああ!!??」
すかさず逃げ出す紫苑を雪泉が追いかけていった
「店であまり燥いじゃダメですよ2人とも~!」
佐介が声をかけるも2人がそれどころじゃない様子だった
「ふふっ、相変わらず仲が良いね雪泉ちゃんと紫苑さん」
「うん…まぁ、ちょっとかわいそうにも見えるけどね?」
「確かに」
そんなことを話し合いながら佐介と飛鳥は尚も追いかけっこを続ける紫苑と雪泉の様子を眺めるのだった