雪泉のおすすめの店でクリスマスパーティ用のグッズを買えた佐介と飛鳥はその足で紫苑たちと一緒に喫茶店を訪れていた
「良かった。なんとか猫耳を買うことができたよ。それもこれも雪泉ちゃんのおかげだね。ありがとう」
「いえいえ、お役に立てたなら何よりです。こちらとしても有意義な時間を過ごせましたから…ねっ紫苑♪」
飛鳥との楽しい会話を挟みながら雪泉が紫苑の方に声をかける
「それはあくまで雪泉たちだけの話しであって僕にはちっとも有意義には思えない時間帯だったよ」
不貞腐れた顔を思い浮かべながら紫苑は紅茶の入ったティーカップを一口飲んでいた
「もう、紫苑ったらまたそのようことを…」
紫苑の態度に雪泉はやれやれと言った顔を浮かべていた
「2人とも相変わらず仲がいいね」
「それを言うなら飛鳥さんと佐介さんだってとても仲良しさんではございませんか」
「あはは、そうかも…ねっ佐介くん?」
「うん、そふだね」モグモグ
互いに仲良しだという会話を振りながら声をかけると佐介は先んじて注文していたナポリタンを食べている途中だった
「うふふ、佐介くん。口の周りが真っ赤っかだよw?」
「ふぇっ…ごっくん。失礼、お見苦しいと心を…」キュッキュ
ナポリタンを食べているからか口の周りがソースによって赤く染まっており
飛鳥たちはそれを見てくすりと笑みをこぼし、佐介は恥ずかしそうに拭き物で口を拭くのだった
そうして楽しい食事と会話の時間がしばらく続いていた頃だった
「…私ね、最近よく考えるんだ」
「考える?…何をですか?」
「私たち忍の本当の使命…」
「「「…っ」」」
急に意味深い話しを振る飛鳥に驚きはしたものの、既に皆の中に答えは出ていた
「無論僕らにとっての使命とは正義を全うすることですね」
「例えそれによって命を落とすことになったとしても」
紫苑と雪泉は己の持つ正義を貫くことこそ自分たちの使命であることを唱えた
「確かに忍になったからには常に死と隣り合わせだということは僕も重々理解してる。だからこそ僕もこの命をかけてこの手が届く全てに手を差し伸べたいと思っているよ」
2人に続くように佐介もまた自分の考える忍の使命についてを語る
「そうだね。忍になった以上、それは誰もが思っていることだと思う、でもね。だからこそ忍務とか修行とか、そんなことのちょっとした合間のちょっとした時間、今みたいな時間をちゃんと楽しんでいきたいってそう思ってるんだ」
3人は飛鳥の言うその主張に共感を覚えた
「頑張る時は頑張る。楽しむ時は楽しむ。そういうことですね?」
「うん、本当なら私たち、今が楽しい高校生なんだから」
忍である前に自分たちは華の高校生でもあるのだと飛鳥の言葉で佐介たちは自分たちの立場を再確認したのだった
♦
喫茶店を後にした佐介たちと紫苑たちはその後も買い物を続け、和気あいあいとした時間を過ごしていった
楽しいおしゃべりに花を咲かせている時のことだった
「あら?」
「どうしたの雪泉ちゃん?」
「飛鳥さん、猫耳がないです!」
「えぇっ!?」
あの店で購入し、紙袋に入れておいたはずの猫耳が無くなっていることに雪泉が気づいた様子で飛鳥に声をかける
「ない、ないよ!どこにもない!?」
焦った様子で袋の中を探ってみる飛鳥だったが、いくら探してもどこにも猫耳はなかった
「きっとどこかに落としてしまったのかも?」
「うぅ~…ど、どうしよう」
せっかく葛城のために買った猫耳を落としてしまうという失態に飛鳥は頭を抱える
「探そう、飛鳥ちゃん。きっとまだ近くにあるはずだよ」
「ならば私たちも協力します。いいですか紫苑?」
「うん。僕も構わない、飛鳥さん、力をお貸ししますよ」
「みんな…ありがとう!」
落としてしまった猫耳を探すために佐介たちは動くことにした
佐介たちは人気のない路地裏までやってきた
「誰にも見られては…なさそうだね?」
「みたいですね。では善は急げといいますし、早速行きましょう!」
「じゃあみんな、30分後にここに集合しよう!」
「「「っ」」」コクン!
打ち合わせを終え、佐介たちは一斉に四方に飛んでいった
忍としての脚力を生かして人々が気づかないほどの速度で街中を進んでいく
まさに吹きすさぶ風のように
「(猫耳、どこに行ったのかな?)」
佐介は人混みをすり抜けながら猫耳を探して駆け抜けていった
…だが、この時佐介は気づいていなかった
「「…っ」」
誰もが気づかないでいる佐介の姿に気づき、その後ろ姿をとらえる2人の少女の存在に…
♦
「…見つけた。ここにあったのか」
捜索に動いた紫苑が早くも建物の片隅に落ちていたお目当ての物を見つけた
「さて、物を見つけたことだし早速連絡を…」
紫苑はスマホを取り出し、猫耳を見つけたことを告げるために通話機能を使う
「…佐介さん出ないな。きっと捜索に集中してスマホに気づいてないのかもしれないな。そうなると一旦飛鳥さんにかけてから雪泉と合流しよう。何せ雪泉はスマホを持ってないしね」
しかし佐介との連絡がつかないとわかり、かわりとして飛鳥に連絡を取ることにした
アドレス帳に登録してある飛鳥の番号をタップしてコールをかける
二、三回くらいしたところでコールが途切れる
〈「もしもし、紫苑さん?飛鳥だけどどうしたの?」〉
スマホ越しに通話相手である飛鳥の声が聞こえる
「あぁ、飛鳥さん良かった。実はですね」
紫苑がありのままを説明する
〈「じゃあ猫耳を見つけてくれたんだ!あ~、よかった~」〉
通話越しに安どしている様子が思い浮かんだ
「それで飛鳥さん、佐介くんに連絡を取るにはどうしたら?」
〈「あっ、それなんですけど多分佐介くんでかける前からスマホのバッテリーが残り少ないって言ってたんでもしかしたら」〉
「なるほど、連絡が取れないのはもしかしたらスマホ事態が機能してないからということですね」
〈「おそらくは」〉
連絡が取れないことを考えるにその可能性は大いにあると紫苑は思った
「事情は分かりました。では一先ずこちらはこちらでいったん合流しましょう。それで合流後雪泉と佐介くんを探しに行きましょう」
〈「うん、わかった。じゃあすぐに向かうね!」〉
そう言って飛鳥は電話を切った
「さて、僕も向かうとしよう!」
紫苑も飛鳥との通話を終えて集合場所屁と急ぐのだった
しかし紫苑はこの時知らなかった
「ん~あれは?……ほう、まさかこんなところでまたお目にかかるとはね?」
どこかのビルの上で紫苑の姿をとらえる謎の存在がいたことに…