紫苑が猫耳を見つけて飛鳥と連絡を取り合い、合流をすることにしていた時のことだった
「みんなバラバラで出かけたのに結局一緒になっちまったな?」
「確かにそうですね。もしかしたら案外飛鳥さんも佐介さんもご一緒かもしれませんね」
佐介と飛鳥を除く半蔵学院の四人が一緒に街中を歩いていた
元は別々に行動していたはずなのに紆余曲折を経て一緒になったということらしかった
「楽しみだなクリスマスパーティ。早く帰ってみんなでプレゼント交換だ~!」
「おぉ、そうだな♪アタイも楽しみだぜ。みんなから何貰えるかとかな♪」
「うん…特に今回は佐介くんやレイナちゃんたちが加わっての初めてのパーティだからもっと楽しみなんだ~」
以前から何度かクリスマスパーティをしたことはある
しかし今回は新たないままでいなかった面々を加えてのパーティなので楽しみを倍増していた
「レイナたちのプレゼントも気になるけど佐介のやつは何をプレゼントしてくれるんだろう?」
「そんなの知ったら楽しみが減るだろう…ま、まぁ、オレはあいつから貰えるなら何でも嬉しいが///」
「柳生ちゃん顔赤いよ?」
「な、なんでもない///!?」
雲雀が顔を覗かせると柳生は焦りながら目を泳がせていた
「斑鳩は何貰えると思う?」
「えっ、えっと、そうですね。わたくし的には…佐介さんのパンツなんかを」ボソッ
「はっ?今なんて?」
「いいい、いえ!なんでもありません///!?」
ぼそりとつぶやいた言葉を尋ねられたので斑鳩は慌てて訂正していた
そうして他愛ないやり取りで盛り上がっている頃だった
「「「「…っ!」」」」ピクッ
和やかな雰囲気だった皆の顔が一瞬にして険しいものにかわる
「感じるか斑鳩?」
「えぇ、この感じすごい殺気です」
「気を付けろ雲雀!」
「うん!」
感じ取れた気配から全員が殺気を感じ取った
すかさず斑鳩たちが周囲を警戒する
その時だった
ビュゥゥウウウン!!
「「「「――っ!?」」」」
突如として吹き荒れる風が斑鳩たちを襲う
風が止み、視線を戻すとそこに先ほどまで居なかったはずの2人組の少女がいた
「あなたたちは…忍ですか?」
困惑しつつも斑鳩が2人に問うた
「――っ!!」
すると二人のうちの傍らが忍結界を発動させた
「忍結界…やはりこいつら忍のようだな?」
「そのようですね…あなた方はいったい何者なのですか?」
「「「ふっ」」ニヤリ
再度斑鳩が問うも少女たちは不敵な笑みをこぼすだけだった
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一方その頃、紫苑が猫耳を探しだし、飛鳥と合流することにしていることを知らずにいる佐介は尚も街を捜索していた
「どこに行ったんだろう?」
なかなか見つからず困り果てていた時だった
「…っ?」
突如、近くの路地裏へと続く通路から異様な気配を感じ取った
この気配はいったいなんだろう、そんなことを考えながら佐介は通路を通って路地裏のほうに向かった
狭い通路をかけながら佐介は進んでいく、やがて先が見えてきた
通路の先は立ち並ぶ雑居ビルの裏手にある空き地だった
「…っ?」ピクッ
するとその時、佐介の視界にあるものが映る
「はぁ~…」
視線の先にはどう見てもこの場に似つかわしい小さな子が片隅で蹲っていた
歳は見る限りでは10代前半といったところだ
なぜそんな子がこんな場所にいるのかと佐介は不思議ではなかった
「(ともかく少し声をかけてみるか)」
放っておけない佐介は片隅で蹲っている子に声をかけることにした
「ねぇ君、どうしたの?なんでこんなところにいるの?」
「っ…?」
声をかけてみると俯いていた子が顔を上げる
露わにした顔は肌が普通の人よりはやや白寄りで10代にしてはなかなかに可憐な顔立ちをしていた
頭には花の髪飾りをつけていた
子供はいきなり声をかけられたことで若干動揺している様子だった
「あぁ、ごめんね。驚かせちゃったね。でも安心して、何もしないから」
こちらを警戒している様子の子供に佐介は自分が無害だということを主張する
するとその行為が伝わったのか子供の警戒心が少しだけ和らいだようだった
「ありがとう、それで君はどうしてここに?」
「あの…ボクは…」
再度佐介が質問をし、子供がそれに答えようとした時だった
ぐぅ~
「…っ?」
「…あっ///」
唐突に子供の腹の虫が鳴った
「お腹空いてるの?」
「…っ///」コクン
おもむろに佐介が尋ねると子供は少し恥ずかしそうに頷いた
「もしよかったら僕がご飯をご馳走してあげるよ」
「いいんですか?」
お腹を空かせているこの子が可哀そうに思った佐介は食べ物を提供することにした
「一先ずここから移動しよう、いいかな?」
「は、はい」
「ありがとう、じゃあ行こうか」
佐介は手を差し伸べ、子供は一瞬躊躇いを見せるもすぐに手を握った
手をつないだことで佐介は子供を連れてこの場を後にしたのだった
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一方その頃、猫耳を探しあて、飛鳥と連絡を取った紫苑はというと
あの後飛鳥との合流を果たし、その足で雪泉を探しに向かい
それから物の数分で雪泉を発見し、無事に佐介以外の面々が合流することができた
「ありがとう紫苑さん、おかげでかつ姉のプレゼントだけ無くなっちゃうって言う事態を避けることができたよ」
「いえいえ、気にしないでください」
「良かったですね飛鳥さん、猫耳が見つかって」
「うん♪」
無くしてしまうところだったが紫苑が見つけてくれたことにより無事に手元に戻ってくれたので安堵した
「さて、ともかくこれで佐介さん以外は全員揃ったわけですね」
「うん。早く佐介くんを迎えに行ってあげなきゃね。そして帰ってみんなでクリスマスパーティをするんだ♪」
「そうですね。私たちも楽しみなんですよクリスマスパーティ。ねっ紫苑」
「う、うん…まぁ、そうだね」
3人揃ったのであとは佐介を探して帰り、全員でクリスマスパーティをするんだと飛鳥は張り切っていた
逆に紫苑はこの後に待ち構えているであろう展開を想像するだけで苦笑いしか出てこなかった
「さぁ行こう2人とも、佐介くんを探さないと」
「えぇ、そうですね」
飛鳥に急かされつつも佐介を探しに向かおうとしたその時だった
「っ…!」ピクッ
「紫苑、どうしたんですか…っ!?」
「――っ!?」
急に立ち止まってしまった紫苑に2人は何事かと小首を傾げながら彼の見る方向に視線を向ける
「……っ」
視界の先にあったのはいつの間にかそこにいて高いところから腰掛けながらにこちらを見ているローブを羽織った者がいたのだった