閃光を相手に徐々に優勢に動こうとしていた戦局が月光の参戦によって再び変わった
「はあぁぁぁああ!!」
声を張り上げ勢いよく閃光が突っ込んできた
それを見て佐介が身構える
「ふん!!」
「ふっ!」
繰り出される閃光の拳を避けると同時に彼女の背後を取った佐介が八景を繰り出そうとする
「そうはさせないわ。”ジュジュ”!!」
直後、それを見ていた月光が印を結ぶと佐介のほうを指さした
ポォオン!!
すると佐介の背後に煙が発生すると中から黒い影が浮かび上がる
<「ツ!!」>ブワッ!!
「なっ!?」
<「ッツ~!」>バゴォォン!!
「――っ!?」ザザァァァ!
煙の中から藁人形のような巨大傀儡が現れ、佐介にアームハンマーを繰り出した
危険を察知した佐介は閃光への攻撃を中断し、その攻撃を躱しながら距離を取った
「な、なんだあれ?」
「驚きましたか?この子はジュジュ。私の頼れる相方なんです」
いきなり現れた傀儡の登場に佐介は驚いた表情を浮かべていた
「たぁぁぁっ!」
〈「――ッツ!」〉
「ぬぅっ!?」
閃光が攻撃を仕掛け、佐介はそれを防ぐなりするも今度はジュジュがいるためカウンターを妨害されてしまい、なかなか攻撃を当てる隙を作り出せずにいた
「(厄介だな。あの閃光って子だけならまだ多少はやりようはあるけれどあの月光って子が加勢に入ったことでやりずらさが増してしまった)」
向こうが引っ切りなしに仕掛けてくるため佐介の方は悪戯に体力を削られてばかりだった
「(だけどこんなところでみすみすやられるわけには…行かない!)」
不利も承知と佐介はこの状況を前に果敢に挑んでいった
襲い掛かる閃光とジュジュに負けじと食らいついていく
そんな攻防が早数分は続いた
「はぁ…はぁ…」
先ほどよりも疲労が出ている佐介は呼吸の回数が増していた
しかしそれは閃光たちのほうもであった
「くそっ、なんてしぶとい奴なんだ…」ゼェ…ハァ…
「私と閃光の2人がかりで挑んでいるのに攻めきれないなんて」
佐介が思うような有効打を与えられていないように彼女たちもまた佐介に対して有効打を与えられずにいた
「(すごい、お兄さん、閃光
この状況を近場で見ていた
一方、互いに消耗しあい、拮抗状態に陥っている両者は未だにらみ合いを続けていた
「……ここまで手強いとはな。流石は半蔵学院のエースといったところか?」
「(この子たち、僕が半蔵学院の忍であることを知っている?)」
いきなり閃光が賞賛の言葉を送ってきた際に自分が半蔵学院の忍であることを知っている様子であることを知り佐介は不信に思う
「どうして僕が半蔵学院の忍であることを知っているのですか?」
佐介はその理由を知るべく2人に話しを振る
「”他の奴ら”はすんなりと行けたんだがな」
「えっ?」
するとその時、閃光の意味深な言葉を聞いた佐介は反応を示す
「…それはどういう意味ですか?」
恐る恐る閃光と月光に佐介がその言葉の真意を問う
「こういうことだ」
それに対して閃光が手にしていたあるもの手放す
閃光の手から離れたそれが佐介の目の前にひらひらと落ちてきた
「こ、これは!?」
足元に落ちてきたそれを見た瞬間、佐介はひどく動揺した様子を見せる
佐介の足元に落ちてきたもの、それは彼にとって仲間であり大切な人たちの1人である雲雀が付けていた髪留め用のリボンだったのだ
「これはひばりちゃんの……あなたたち、ひばりちゃんに何かしたんですか?」
「だとしたら?」
「ちなみに加えて言わせてもらいますとその人達になりますけどね」
「っ!?」
月光の言う「達」という単語を聞いて佐介はさらに驚いた様子を見せる
「…なにをしたんですか?ひばりちゃんやみんなに何をしたんですか?」汗
リボンを握りしめながら佐介は普段よりもかなりドスのきいたような口調で閃光と月光に尋ねる
「大したことはありません。ただあなたのお仲間さんに我々が”純粋な覚悟”を刻んで来ただけのことです」
「純粋な覚悟?」
質問に対して月光がいう言葉の真意について佐介は疑問を抱く
「貴様ら半蔵学院は力を”刀と盾”に例えていると聞いた」
「その甘えと思想が善忍に電波しているとも知らずに、そのようなことを見逃すわけには参りません」
「故に我々は思い知らせてやったんだ。甘っちょろい奴らに真に忍が抱えるべきものは純粋な覚悟であることをな」
2人は佐介たちが考えている忍としての教示は聞くに絶えないようなものであり、そんな考えを持つ自分たちにそれが間違いだと体に刻んで来たことを明かす
その言葉を聞いた佐介は体をぴくぴくさせる
「残る半蔵学院の方はあなたともう一人のみ」
「お前を倒した後にもう一人にもその身に刻みこんできてやる……純粋な覚悟をな」
この戦いに勝った後、2人は最後の1人として飛鳥を狙いに行くことを宣言する
「……っ!!」プチン!!
「「――っ!?」」
しかし2人はそれが失言であったことを思い知ることになる
「……にをした?…………僕の仲間に何をしたぁああ!!」
ゴォォォオオオオオ!!
刹那、怒りを孕んだ佐介の叫び声が衝撃波を発生させる
凄まじい風圧に押され、閃光も月光も吹き飛ばされないようにするのがやっとだった
「な、なんだ今のは!?」
衝撃波が収まると閃光はとても驚いた様子を見せる
「……許さない」ギロリ
ゆらりと立ち上がるとともに佐介が俯いていた顔を上げるとその眼光が2人をとらえる
「じゅ、ジュジュ!!」
身震いを感じた月光がジュジュに指示を出し
彼女の命令を受けたジュジュが佐介に向かって突っ込んでいく
その時だった
シュン!ガシッ!
「「――っ!?」」
一瞬にして佐介が目にも止まらない速度でジュジュの頭を鷲掴みにした
<「ッツ!?」>ジタバタ
必死に逃れようともがき、抵抗を試みるも佐介の手を振りほどけない
それどころかどんどんと佐介の指がジュジュの頭に食い込んでいった
「――っ!!」ブオン!
ドスゥゥゥウウウウウン!!
すると次の瞬間、佐介が鷲掴みにしていたジュジュを勢いよく地面に叩きつけた
「じゅ、ジュジュ!?」
ジュジュは地面に叩きつけられたダメージによってぴくぴくしていた
直後、佐介がゆらりと身を起こし、再び彼女たちを睨みつける
「もう、許さない…」
先の光景を目の当たりにした2人は佐介のその言葉を聞いた瞬間に体に震えを感じた