ここはとある施設、大きなドームに複数のプールが完備されている「スパリゾート天国」と呼ばれる場所である
「…ここのようだな?」
「そう、みたいだね?」
そんな施設の入り口前にチケットを手にした雅緋たちが来ていた
紅蓮竜隊との交戦の際に飛んできた矢に括りつけられていた紙というのがこの施設のチケットだったのだ
チケットを送り付けてきた者の意図が分からないままであるがひとまずここに赴いていた
「あら、貸し切りってことはつまり今日一日チケットを持ってる両備たちだけで楽しめちゃうってこと?」
「まぁ、そうなるだろうな?」
入場券販売所は閉まっており、その横には「本日貸切」の立て札が設置されていた
「えぇ~~~貸し切りなの~!!??」ガビーン
「「「「「――っ!?」」」」」
すると突然相馬が大声で叫び出し、貸し切りと書かれている立て札を見てこの上なく落ち込んでしまっていた
「ちょっと相馬!いきなり大声出さないでよびっくりしたじゃない!?」
大声のせいで耳がキーンとなってしまった両備が相馬に文句を言うのだった
「…あの、実はここに来るまで、ずっと気になってたんですけど……相馬さんって”カメラ”なんか持ち歩いてましたっけ?」
「あん?」
ここで紫が気になっていたことを相馬に問うた
「確かにそれはボクも思ってたよ」
「私もだ」
「両備も」
「うんうん」
実のところそれに関しては紫に限った話ではなくこの場にいる全員が思ったことである
普段なら持ち合わせていないようなカメラを相馬が手にしているからだ
「な、なんだよ?俺がカメラ持ってちゃいけねぇのかよ?」アセアセ
「だってあんたがカメラなんて絶対に良からぬことをしようとしてるに違いないじゃない」
「「「「うんうん」」」」
両備の指摘に他の4人も頷いた
「酷い!?ち、違うぞ!これは…そう、お前らとの思い出を残すために持ってきただけなんだよ」
「ほ~?お前がそんなことをな?」
「そうそう、そうなんだよ」
必死にカメラを持ってきたことの理由を説明すると雅緋たちの反応を見るにわかってくれたのかと相馬が安どの表情を浮かべる
「…で、”本音は”?」
「そらもちろんこのカメラで水着のお姉さんの色とりどりの写真をパシャパシャっと♪」
「――っ!」
ザシュン!…バキィン!
「あっ…あぁ…あぁぁぁぁ!!?カメラちゃんがぁあああ!?」
誘導されたことに気づかずうっかり本音を口にしてしまったがために相馬のカメラは雅緋の一刀によって真っ二つに切られてしまった
我に返った相馬はカメラの無惨な姿を前に悲し気な顔を浮かべていた
「まったく、どうせそんなことだろうと思ったぞ」
「うん、雅緋のいう通りだ」
「「うんうん」」
ちょっとでも信じてみようと思ったがやはり無駄だったと皆呆れた様子を見せていた
「何してくれてんだ雅緋ぃぃぃぃ!!」
「うるさいぞ相馬!」
カメラを壊されたことに相馬がこれでもかというほどに雅緋に突っかかる
「知るか!どうしてくれんだよ!あのカメラ結構な値したんだぞ弁償しろ弁償!!??」
「お断りだ!そもそもお前がカメラを悪事に利用しようとしていたのが悪いんだろうが!」
雅緋に対して相馬がカメラの弁償を要求しだし、激しい口論が繰り広げられる
「待って待って~相馬くんも雅緋ちゃんも落ち着いて~」
「ぬあっ!?」
「邪魔をするな両奈!」
白熱する口論を仲裁するかのように両奈が割って入ってきた
「にしても相馬く~ん。何でそんなにお姉さんの写真を取りたがるの~?取るんだったら両奈ちゃんがいつでも協力するのに~。あんな格好やこんな格好もおちゃのこさいさいだよ♪」
「やめろ見苦しい!」
淫らなポージングでアピールをする両奈に両備がツッコミを入れる
「まぁ、両奈の気持ちも嬉しいよ。確かに
「ちょっと待って今台詞の中にめちゃくちゃ失礼な単語なかった?これって両備のことじゃないわよね?ねぇ!?」
相馬が言った言葉の中に引っかかるものがあったのかすごい勢いでその真意についてを問いただそうとする両備だった
「みんな落ち着いて!こんなところで言い争いしてても意味ないだろ!」
「…そうだな。私たちは別にここに遊びに来たわけではないわけだしな。この招待状、送り込んで来たやつがいったい何を企んでいるのか」
「正体が分からない以上、それを探るためにもここはあえて誘いにのるってわけだね」
「あぁ、棄権はあるだろうがな」
雅緋たちが施設を訪れたのはわざわざチケットを送り付け、自分たちをここに招き入れようとしている”敵”の正体を見定めるためだった
敵陣であろうこの場所にやってきた以上、警戒を怠るべしと皆もそのことを熟知する
「ええっ!?これってそういうことだったの!?」
…約一名を除いて
「何だと思ってたんだお前は?」
「いやほらどっかの見ず知らずの人が日頃忍務に慢心している俺たちに息抜きさせるためにチケットをくれたのかと」
「どういったらそんな考えにたどり着くんだ?一連の流れ見てても怪しさしかないだろうが!?」
予想の斜め上を行く相馬の主張に雅緋は呆れ果てながら頭を抱えてしまっていた
「まったく、たるみすぎだぞ。少しは緊張感を持て?」
「ふ~んだ」
雅緋が注意を促すと不貞腐れたような顔を浮かべる相馬だった
「雅緋、”これは”ほっといて早くスパリゾートに行こう」
「おいコラ忌夢」
人扱いしていない忌夢の発言に不貞腐れていた相馬がツッコミを入れた
「ほう、すごい覚悟だな。敵陣を前に恐れぬとは」
「当然さ!雅緋の水着姿が見たいからね!」
眼をキラッと輝かせながら忌夢はそう言った
「なぁ、雅緋さんよ~?さっき俺がたるんでるって言ってたけどあれはどうなんですか~?」ジド~
「そういうのを目くそ鼻くそを笑うって言うんだ。お前にそんなことが言えた試しがないだろ」
「ちぇ~」
忌夢のことを引き合いに出して雅緋に突っかかる相馬だったが正論を返されて論破されてしまう
「それよりも忌夢、頼むからもっとまじめにやってくれ」
「お姉ちゃん…」
「ご、ごめんよ雅緋~!!?」
失言を詫びながら先行く雅緋たちを追いかける忌夢だった
だが、この時相馬たちは気づいていなかった
「うふふっ」
「…ふん」
建物のてっぺんから彼らの様子を見ていた閃光と月光の存在に…