水鉄砲大会がひと段落した途端、忍結界が張り巡らされたと同時に光牙たちの前に閃光、月光の2人が現れ、シノビマスターズの開催を宣言した
参加の有無を尋ねる2人に拒否を決め込もうとした光牙たちだったが、直後に囚われた半蔵学院の面々の映像を流してきた
「おいおい、なんだよこれ?」アセアセ
「半蔵学院の方々が!?」
衝撃的な光景を前にして皆に動揺が走る
「お前たちが参加の意思を見せなければこいつらの命はない」
「な、なんですって!?」
自分たちがシノビマスターズに参加しなければ半蔵学院の面々の命はないことを閃光が皆に伝える
「汚いぞテメェら!参加するかしないか聞いてきたくせにこれじゃ参加しろって言ってるようなもんじゃねぇか!」
参加の意思だどうこう言っておきながら半蔵学院の面々を人質にしている
やっていることは半ば脅迫もいいところだった
「なんとでも言うがいい」
「開催場所についてなどはおって伝えさせていただきますね。それまでせいぜい技を磨いておいてくださいね」
そういい終えると閃光と月光はこの場から消え去ってしまった
同時に彼女たちがいなくなったことで会場を包み込んでいた忍結界は消滅し、モニターの映像も消えた
「月光と閃光、あの半蔵学院の連中を倒したと言うのか?」
信じがたいと思いつつも、先ほどの映像は合成でもない本物であることを見るに事実であると認めるしかなかった
「だがどうにも解せぬことがある」
この事態を受けて一同がざわついている最中、不意に光牙が従兄弟と呟いたことで
全員の視線が光牙のほうに向いた
「解せないとはどういうことです?」
「あの映像に映っていたのは斑鳩、葛城、柳生、雲雀、そして双子の6人だけ、残る佐介と飛鳥の姿がどこにもなかった。だとすればあいつらは今どこにいるんだ?」
その話しを聞いた瞬間、一同はハッとなったような顔を浮かべる
「確かに、言われてみればそうですね」
「飛鳥たちはいったいどこに行ったんだ?」
改めて先ほどの映像について皆が疑問を浮かべる
「(……どうにも嫌な予感がしてならないな)」
不安が場を支配するこの状況を目にし、光牙の直感が今後何かよくないことが起こるかもしれないことを知らせているような気を起こさせるのだった
♦
プールでの出来事があってからしばらくして3組はそれぞれ帰路につくこととなった
紅蓮竜隊と蛇女に別れを告げた月閃も家路につくべく帰り道を歩いていた
「………っ」
「雪泉、大丈夫?」
「っ…え、ええっ、問題ありませんよ」
紫苑が徐に声をかけると雪泉が慌てて言葉を返す
「…無理しないでいいよ。さっきのことが気掛かりなんでしょ?」
「……はい」
しかし紫苑は雪泉の心境を見抜いていた
取り繕っても無駄と察した雪泉は素直に胸の内を明かす
「雪泉が不安になる気持ちもわかるよ。でもだからと言って雪泉が1人で抱え込む必要はないんだよ」
「紫苑……ありがとうございます」
励ましの言葉に雪泉は少し気持ちが軽くなったようだった
「…っ?」ピクッ
そうして再び帰り道を歩き始めていた時だった
唐突に雪泉が立ち止まった
「雪泉、どうしたの?」
雪泉の様子に気づいた紫苑たちが彼女を見る
「い、いえ…すいません、ちょっと用事を思い出しましたので皆さん先に帰っていてください」
「わかりました」
「あんまり遅くなっちゃダメだよ」
用事があるということで紫苑たちが雪泉の言う通りに先に帰っていった
皆に手を振り、それを終えると雪泉はすぐさま反転して駆け出していった
♦
紫苑たちと別れた雪泉は公園へとやってきた
「……っ?」
当たりを見渡し、何かを探し始める
「ここだよ雪泉ちゃん」
「……っ?」ピクッ
直後、雪泉は声のする方へと視線を向ける
するとそこにはブランコに座っている飛鳥の姿があった
「飛鳥さん、良かった。心配したんですよ」
飛鳥の姿を見て雪泉はいそいそと彼女の元に駆け寄る
「ごめんね雪泉ちゃん……シノビマスターズのことは聞いた?」
「知っていらっしゃったんですね。それなら半蔵学院の他の方々のことも?」
シノビマスターズの話題を出したということは事態のことも知っているのだと雪泉は勘づいた
「…雪泉ちゃん!」
「――っ!?」
「お願い、力を貸して!」
「ど、どうされたんですか飛鳥さん?力を貸すって?」
切羽詰まった様子で懇願する飛鳥に雪泉は何事かと問う
「このままじゃ、このままじゃ佐介くんが…」
「佐介さん?佐介さんがどうされたんですか?」
すると飛鳥の口から佐介の話題が出たので雪泉はどういうことかと尋ねる
「…実はあの日、雪泉ちゃんたちと別れた後、私は待ち合わせ場所に指定していたあの場所に向かったの」
♦…回想…
雪泉たちに別れを告げ、飛鳥は急いで佐介がいるであろう待ち合わせ場所に向かった
「(さっきのあの人、なんだったんだろ?なんかとっても変な感じだったけど)」
目的地へ続く道を駆けながら飛鳥は先ほど紫苑たちとともに出くわしたディラのことを考えていた
見るからに怪しげな彼のことを考えると心なしか震えを感じもするほど不気味に思えていた
「(ともかく今はそんなことより佐介くんと合流しなきゃ)」
考えるのは後と自分に言い聞かせて飛鳥は目的地へと急いだ
そして急ぐこと数分後、飛鳥は目的地である待ち合わせ場所の公園にたどり着いた
「佐介くーん。ごめんね遅くなっちゃって、どこー?」
飛鳥は声を上げて呼びかけるも返事が返ってくることはなかった
「…まだ来てないのかな?」
奥に進みながらも返事がないところを見るにまだ来ていないのかと思っている時だった
「……っ?」
不意に奥の方に設置されている水飲み場の陰に人影が見える
「(佐介くんだよね?なんであんなところに腰掛けてるんだろ?)」
佐介らしき人影が水飲み場にもたれかかっているのを見て疑問を抱く
「(もしかして私たちがあまりにも遅かったから待ってる間に寝ちゃったのかな?)」
考えを巡らせながら飛鳥は佐介があぁしているのは待つ間にうとうとして眠ってしまったからではと考察する
だとしたらこうしてはいられないと飛鳥は急いで駆け寄る
「ごめんね佐介くん。随分と待たせちゃって、実は探しに行ったら紫苑さんがうさ耳を見つけてくれてたから急遽そこで合流してたんだ。佐介くんにも連絡入れたんだけど繋がらなかったから……えっ?」
話しかけながら水飲み場に近づき、横から顔を覗かせた瞬間、飛鳥の顔は一気に沈黙の色に染まった
なぜなら彼女の目に映ったのは
「――っ」
「さ、佐介くん!?」
ボロボロになった佐介の姿だったのだから