紫苑、雪泉と別れた飛鳥は待ち合わせ場所である路地裏の公園にへとやってきたが
そこで見つけたのはボロボロになった佐介の姿だった
「佐介くん!佐介くんしっかりして!?」
突然の事態に困惑していたがすぐに我に返り、佐介に声をかけながら彼の身体を揺さぶってみる
「…っ、ぅぅ……」
「佐介くん!」
すると意識が戻ったのか佐介がうんうんと唸り声を上げながら目を開ける
「…ぁ…す、…か…ちゃ…?」
眼が覚めたばかりからか声がたどたどしい感じではあったが、飛鳥はひとまず佐介の意識が戻ったことに安堵するのだった
♦
「はい佐介くん。お水だよ」
「…ありがとう」
あれから少ししてようやく意識もはっきりし始め、呂律も回るようになった佐介に飛鳥が近くにあったコンビニから買ってきた水のペットボトルを差し出す
差し出された水を一口二口飲むと佐介は落ち着いた様子でふぅと息を吐く
「佐介くん、何があったの?どうしてこんなにボロボロになって?」
飛鳥はここぞとばかりに佐介に事の経緯を尋ねる
「…少し前に2人の少女と…仮面を付けたフードを被った人に襲われてしまったんだ」
「2人の少女?…ていうか仮面をつけた人って……もしかして?」
佐介の言葉を聞いた飛鳥は驚いた顔を浮かべる
2人の少女についてはよくわからなかったが、その後に語られた仮面をつけた者の言葉がでたことに飛鳥はハッとなる
ここに来る途中紫苑と雪泉と一緒にいた時に出くわしたあの得体の知れない謎の人物のことであることが想像できた
「…飛鳥ちゃん。落ち着いて聞いてほしい、3人が言ってた事なんだけどどうやら斑鳩さんたちが彼らに拉致されてるみたいなんだ」
「えっ!?」
次の瞬間、佐介の語った一言に飛鳥は衝撃を受けた
「う、嘘…みんなが?」アセアセ
話しを聞いて飛鳥は身を震わせていた
「……っ」
「さ、佐介くん?」
すると唐突に佐介が立ち上がり、飛鳥は何事かと恐る恐る声をかける
「飛鳥ちゃん。僕はこれからみんなを探しに行くよ」
「みんなを?…だったら私も」
皆を探しに行くと言い出した佐介に飛鳥が一緒に行くと声をかけようとした時だった
「ダメだ!!」
「――っ!?」
今までにないほどドスの聞いた声で佐介が飛鳥の同行を拒む
「さ、佐介くん、どうして?」
「既に斑鳩さんたちやレイナたちまでもが敵にやられ、そして捕まってしまった。せめて君だけでも守りたいんだ。だから付いてきたらダメだ。飛鳥ちゃんはこのまま半蔵学院に帰るんだ。いいね?」
佐介は他のみんなが囚われてしまったことやその直後に自分が狙われてしまったことを考えるに次の標的は飛鳥になるだろうことを考えた
飛鳥だけでも守るためにこれ以上、この件に関わることを避けさせるべく学院に帰るように促した
「そ、そんな、そんなの危険だよ!?」
それを聞いて尚、飛鳥は佐介のことが心配だからと一人で行こうとする彼を止めようとする
「いいから!僕の言う通りにしてくれ!」
「――っ!?」
しかしそんな彼女の想いは佐介の怒号によって打ち砕かれた
「…危険は承知の上さ、それでも僕は行くよ。必ずみんなを救い出して見せる。だから飛鳥ちゃんは大人しく待ってるんだ。わかったね?」
「――っ」
言い聞かせるように声をかけているのであろうが飛鳥の目に映る佐介はやはりいつもの彼ではなかった
普段の佐介とはまるで別人のようだと飛鳥は心の中で思わずにはいられなかった
「……それじゃ」
「あっ、待っt!?」
シュン!
飛鳥が待つように声をかけようとするも時既に遅し、佐介は一瞬にして飛鳥の前から姿を消してしまったのだった
♦︎回想終了
「そ、そんな…私たちと別れた後にそんなことが?」
「……うん」
一通りの事情を飛鳥から聞いた雪泉はその内容に言葉を失ってしまった
「佐介さんはいったい何をなさるおつもりなのでしょう?」
「わからない、でもなんだかとても嫌な予感がするの、このまま佐介くんを放っておいたら何かよくないことが起こるんじゃないかって思うと怖いんだ…」
さらに飛鳥はこのままでは何かまずいことが起こるのではないかと内心における不安を口にする
「飛鳥さん、おかげさまで事情はわかりました。そういうことであればわたくしも協力は惜しみません。一緒に佐介さんを探しましょう」
「雪泉ちゃん…ありがとう」
「お礼なんていりませんよ。友人が困っているのなら手を貸すのは当たり前のことですから」
協力すると言ってくれたことに飛鳥はうっすらと目に涙を溜めながら雪泉の手を両手でぎゅっと握りしめて感謝の言葉を口にする
そんな飛鳥に対して雪泉は友達だから当然のことをしただけだと囁くのだった
♦蛇女子学園
雪泉が飛鳥と接触を果たしている頃、施設から戻ってきた相馬たちは自分たちの上官であり、担任でもある鈴音にこれまでの経緯を説明していた
「シノビマスターズ?」
「鈴音先生はご存知ないと?」
「あぁ、初耳だ。善悪問わず忍学校の歴史でそのような大会が行われたことはない」
雅緋たちから話しを聞いた鈴音だが、彼女もシノビマスターズのことは知らない様子だった
「では最強の忍を決めると言うのは…」
「あぁ、眉唾物であろうな」
歴史上存在しない大会の名を口に出した閃光と月光の言葉はほぼ間違いなく嘘であるという結論に至った
「…でも、半蔵学院のみなさんのことを考えると…放っておくわけにも」
あの時の映像のことを思い返しながら紫は半蔵学院のことを気にかけていた
「では助けるというのか?ボクたち悪忍にとって半蔵は敵なんだぞ?」
そんな紫に対して忌夢が喝を入れるように異を唱える
「まぁ、それはそうだけど、今までの付き合いとかもあるし」
「そんな情で動くつもりか?あまいぞ?」
「はぁ?両備があまいって!?」
紫にフォローを入れようとした両備にも忌夢はそれは甘い考えだと主張し、それにより2人のいがみ合いに発展する
「忌夢、両備。少し落ち着つけ、今は大事な話しの真っ最中なんだぞ?」
「うぅ~…そ、そうだよ両備ちゃん。ここはぁ~落ち着いて~///♪」
すると2人を仲裁しようと蒼馬が声をかけ、両奈もそれに同意する
「…って、あんたたちだけには死んでも言われたくないしどの口が言ってんのよこのアホ!?」
「「えっ?」」
「なによその「どこかおかしいかな?」みたいな顔は!言っとくけど絵面からしてOUT待ったなしなんだからね!」
両備がツッコミを入れるのも無理はなかった
なぜなら2人は今、拮抗縛りで全身を縛られている両奈の上に蒼馬が座しているという構図になっていたからだった