紫苑たちと光牙たちが焔おすすめの温泉施設にて楽しいひと時を過ごした日の夜のことだった
シーンと静まり返る夜の道を歩く二つの人影があった
グニャニャニャッ!
さらにはその目の前に蠢く得体の知れない黒い物体があった
二つの人影、それは佐介が出会ったあの子供、
「
「えぇ、参りますよ
「はい、
互いに一声かけると
グニュニュニュニュニュゥゥッ!!
【「グウゥゥゥ――ッ」】
すると近づいてくる2人に反応するようにそれが液状からずんずんと形を成していき、そしてそこから一体の妖魔として顕現した
妖魔は唸り声を上げて自分に近づこうとする2人を威嚇する
しかし2人はそれを意に返さないというかのように平然と歩み寄る
【「グゥゥ――ッ、ギゥゥゥゥ――ッ!!」】
目の前までやってきた2人に妖魔が更なる威嚇の声を上げる
だが、そんな妖魔に対して
【「ッ、グゥゥ――ッ!?」】
「怖がらないでください…」
その手を見た瞬間、妖魔が警戒心を強めると
直後に妖魔の頭を優しく摩る
【「グ、グゥゥ……」】
心地よく、それでいて暖かな温もりを感じさせる優しい手触りに妖魔の威嚇の声のトーンが下がっていく
やがてその温もりに心を落ち着かせた妖魔の警戒心が消える
「…ありがとう、ございます」
大人しくなった妖魔を
「…っ」
妖魔を優しく抱きしめる
「おっ、ここにいたかお前ら~?」
「っ……?」
するとその直後、背後から馴れ馴れしい感じの声が聞こえてきた
声のするほうに視線を向けるとそこにはアピスこちらに向かって歩み寄る姿があった
「探したぜ。どこほっつき歩いてると思ったらこんなとこに居やがったか?」
「あなたですか。いったい何の用ですか?」
「お~お~怖いね~?そうカッカしなさんなよ?カルシウム足りてるか~?」
「余計なお世話です。くだらないことを言いに来たというのであれば目障りですのでさっさと消えてください」
おちゃらけた様子で語りかけてくるアピスに対して
「わかったわかった。話すからそう冷たいこと言うなって……”例の奴ら”の居場所が分かったぜ」
「…そうですか。ならば参ると致しましょう」
「おうおう、そうしな。うまく運べば俺たちの計画もより万全になるってもんだからな」
アピスからの報告を聞いた女性がどこかに向かおうとし始める
それを知ってアピスも彼女のその行動を後押しする
「
妖魔と触れ合い続けていた
「
女性はそういうと
「そうですか…わかりました。僕頑張ります、お気をつけて帰ってきてくださいね」
「ありがとう、では行ってまいります」
「私がいない間に
「過保護だね〜?はいはい、わかってますって」
「……ふん」
アピスに忠告をすると女性は目的地に向かうのだった
♦とある神社
ところ変わってここは街からほど近くのところにある神社
時刻は次の日の夕暮れ時まで流れていた
そんな神社の境内に散る葉を箒で掃除をしているのはこの神社の管理を務める巫神楽三姉妹だった
「だいぶ片付いてきたしそろそろ休憩にするか」
「そうね」
「はいっす」
あらかた掃き掃除が終わったところで長女である蓮華が妹である華毘と華風流に休憩にするよう声掛けし、2人も賛同していた
「「「…っ」」」ピクッ
刹那、三姉妹が気配を察知する
「まったく、せっかく掃除したのに…」
「ドカンと行くことになるっすか?」
「まぁ、気持ちのいい祭りにはならなさそうだな…?」
感じ取った気配からして大事になりそうな気がするという予感が3人の脳裏を駆け巡っていった
するとそれを確信させるかのようにこの境内に続く階段の方から足音が聞こえてくる
そうして現れたのはあの女性だった
「誰だ?」
「見たことない顔っすね?」
「でもこの気配って…?」
見知らぬ女性の登場に巫神楽三姉妹は困惑を抱きつつも警戒を怠らなかった
「ストーップ、ここになんのようだ?」
蓮華が階段を登り終えたところの女性に声をかける
「…蓮華、華毘、華風流。巫神楽三姉妹ですね?」
「なんであたし達の名前を知ってるわけ?」
女性は名乗ってもいないはずなのに3人の名前を呼んできた
これを知ってか3人の警戒心は最高兆にまで達していた
「なるほど、確かに情報通りですね…あまりいい気はしませんが」
「何をボソッと言ってんのよ?」
「質問してるは私たちなんだが?」
警戒心Maxの3人を他所に女性はボソッと独り言を呟いていたので質問を無視されたことにムッとなっていた
「これは失礼いたしました。しかしながら私が用があるのはあなた達ではございません」
「なに?」
すると女性は先に謝罪をするとともに自分が用があるのは巫神楽三姉妹ではないことを告げる
「あなたたちがここにいるというのであればここで間違いはないのでしょう…”あの人”はどこにいるのですか?」
巫神楽三姉妹がこの場所にいると知り、女性は人を探しているのかそれを臭わせる発言をする
その時だった
ビュオォォォォ!!
「「「「――っ!?」」」」
一色触発になりかけた時、双方の間に割って入るかのように強風が吹きすさびはじめる
《「あんたの言うあの人ってのはーーっ!」》
直後、吹き荒れる風と共に声が聞こえる
やがて風が一瞬にして収まる
「――っ……っ?」
視界が回復し始めると同時に女性は自分の手に触られた感触があることに気づいてすかさず視線を向ける
「この俺様のことだったりする〜?」
「――っ!?」
女性は驚きに満ちた顔を浮かべる
なぜなら目の前には自分の手を取りながら跪く者がそこにいたのだから