現在、場は思いがけない様子の風景が広がっている
突然風が吹いたと思ったらおもむろに女性の手を握りながらに
口説き文句を言って自分のアピールをしていたのは風を操る者であり、相当の実力者でもある疾風だった
「麗しいの君、あなたが探しているあの人というのはもしたこの俺様のことか~い?」キラーン
疾風はさっきまでの場の空気などお構いなしというかのように話しをすすめていき
彼女のいう”あの人”というのが自分のことではないかと尋ねてみていた
「…あの」
「ん?なんだい麗しの君?」
直後、女性が口を開く
それを見て疾風は彼女の答えに期待を膨らませる
「あなた、いったい誰ですか?と言うか邪魔です。手を離していただけませんか?」
「…えっ?」
しかし帰ってきたのは想像とは真逆の答えだった
さらには自身の手を握る疾風に対して女性は激しい嫌悪感を示しているような顔持ちで彼の手を即座に払いのけた
一連のやり取りにより場はしーんと静まりかえる
「「「……ぷっ、ぷははははははwww!!」」」
次の瞬間、今までの沈黙を破るかのように今度は境内中に巫神楽三姉妹の高らかな笑い声が児玉する
「おいテメェら!何笑ってんだよ!?」
「い、いやだってw」
「あれだけカッコつけておまけに臭いセリフ吐いてたのにw」
「疾風ちゃんのただの勘違いだったなんてもうおかしくて腹が、腹が痛いっす、息できないっすwww」
巫神楽三姉妹は笑いが止まらずもはや腹筋崩壊の域だった
そんな彼女たちに対して恥ずかしそうに疾風が握りこぶしを作っていた
「すみませんが茶番劇は後にしてもらえませんか?」
「茶番劇言うな!」
勝手に盛り上がっている疾風たちに女性はどうでもよさげな様子を見せつつも会話に割りこんだ
疾風は勝手に茶番劇扱いされてしまっていることにツッコミを入れた
「私がここに来た理由は一つ……”かぐらさんはどこですか?”」
「「「「――っ」」」」ピクッ
女性が発したその一言により今の今までおちゃらけていた空気が一気に険しいものに変わった
「だんまりを決め込もうとしても無駄です、ここにいるのは分かっていますから…もう一度尋ねます。かぐらさんはどこですか?」
かぐらの名前が出てきたことに疾風と巫神楽三姉妹は沈黙していたがそれを見越しているかのように女性はすべてお見通しだと告げ、再度居場所についてを尋ねる
「抜け目ないやつだな。だけど、お前に教える義理はこっちにはないな」
居場所を聞き出そうとする彼女に対して蓮華がそれを拒否する
「教えたくないのならばそれでも構いません。あなた方を始末してから勝手に探すだけですから」
頼みを断られた女性はその返答は想定内だというかのように冷静な面持ちで居場所を履かないならば強硬手段をとるだけだと告げる
「おいおいおいおい、随分な物言いをしてくれんじゃないの?粋がってるところ悪いんだけどよ。こいつらに手を出すって言うんだったら俺も黙ってちゃいられねぇ、こいつらをやろうってんならまずは俺を倒してからにするんだな?」
そういうと疾風は自身の得物たるチェーンを展開する
「だけど気を付けたほうがいいぜ、俺様を相手にするってんなら相応の覚悟を持って挑むんだな?でないと怪我だけじゃすまないぜ?」
「――っ」
軽く身構えながら疾風が女性に警告を促す
対する女性のほうも疾風から漂う威圧感を感じ取り、頬から冷や汗が垂れていた
数秒前までただの口の達者なチャラ男にしか見えなかったのに、今はまったく違っていたのだから
このまま一触即発の展開に発展するかと誰もが思ったその時だった
「どうしたの~?」
本殿のほうから声が聞こえ、全員が振り返る
するとそこには女性の目当ての相手であるかぐらと守人である奈楽がいた
「…相変わらず空気を読まない奴だな?」
かぐらが出てきてしまった事を受け、疾風がまずいと言った顔を浮かべる
「かぐら、来ちゃダメだ!」
蓮華がかぐらにここから離れるように促そうとする
「――っ!」シュイン
だがその直後に女性は一瞬でかぐらの前まで移動してきた
「かぐら!」
「大丈夫、心配ないよ!」
敵と思える存在が目の前まで来たことに奈楽がすかさずかぐらをこの場から逃がそうとするも
心配はいらないとかぐらが女性の前に立つ
「それで、私に何の用?」
「妖魔を狩るために生まれてきた存在、かぐら。あなたにもシノビマスターズに参加していただこうと思っておりまして」
「シノビマスターズ?」
かぐらが尋ねると女性はかぐらにシノビマスターズへの参加を誘ってきた
「えぇ、最強の忍を決める大会です」
「へ~最強の忍ね~?…でもどうして私が参加しないといけないのかな?」
内容を聞いたうえでかぐらは彼女に自分がその大会に参加するメリットがあるのかを問うた
最強の忍の称号である「カグラ」の名を関する妖魔を滅する者たる自分に
「優勝者には最強の妖魔と戦う権利が与えると言ってもですか?」
「えっ?」
「「「「「――っ!?」」」」」
大会の優勝者に与えられるものの内容を知って全員が驚愕の表情を浮かべた
「最強の妖魔だと?何を戯言を、かぐら、こんな奴の話しに耳を傾ける必要はない」
「俺も同感だ。お前さんの口ぶりだとその最強の妖魔を従えてるってことらしいがそれを信じさせる根拠がねぇだろう?下手なこと言ってかぐらを丸め込もうとしてるんじゃないのか?」
奈楽と疾風が割りこみ、かぐのシノビマスターズ参加を断固反対していた
「ではどうしたら信じていただけるのでしょうか?」
「うーん……じゃあ、君が本当に最強の妖魔を従えるほどの力を持っているか、私に見せてくれないかな?」
「なるほど……では」
参加に際するメリットの提示のため、かぐらは女性に最強の妖魔を従えるほどの力があるのかを示すように要求する
それを聞いた女性はそれを証明するために精神を集中させる
すると女性の周囲に黒い靄が渦巻いていく
【「――――」】ギュイン!
渦巻く黒い靄の中から怪しく光を放つ複数の目が現れる
「「「「「――っ!!」」」」」
女性の言っていたことがハッタリではないことを理解するとともに疾風たちが身構える
「すごいすごい!」
「ちょ、かぐら!?」
しかしそんな中、かぐら一人は女性に拍手を送っていた
「じゃあこっちも本気になっちゃおうかな!」
力を示した女性に敬意を込め、かぐらが本気を出すと宣言し、赤球を食べる
直後、かぐらの姿が少女から一転し、奈楽達と変わらぬほどの美女へと変わる
「がっかりさせてくれるなよ?」
「えぇ、損はさせませんよ」
不敵に笑い合いながらかぐらと女性は互いを見つめ合うのだった