神社を訪れた女性がかぐらと対峙し、睨み合いを聞かせていた
一同がその状況を前に息を呑む
次の瞬間だった
バシュンビシュン!ゴゴゴゴゴ!!
かぐらと女性が自身のエネルギーから放つ衝撃波をぶつけ合い始める
両者共に互角の鍔迫り合い状態に発展する
しかしそれが続いていくにつれ、徐々にかぐらがその応酬を御し始める
女性は羽織っていたコートを失い、その身は内側に隠れていた包帯だらけの姿へと変わり果てていった
「…なるほど」
「かぐら?どうした?」
鍔迫り合い状態から数秒後、かぐらが攻撃を止める
ズシュゥゥッ!!
「なっ!?」
「「「――っ!?」」」
直後、優勢と思われていたかぐらの衣服もまた一瞬にして敗れ散り、その身は下着一式になってしまった
「いつの間に攻撃したんだ!?」
「まったく見えなかったす!?」
かぐらが身を剝がされた光景を目にした巫神楽三姉妹は絶句する
「どうしよう疾風…疾風?」
「…えっ?あっ、あぁ華風流、どうした?」
この状況、何かいい手はないかと華風流が疾風に声をかけると疾風はハッと我に返りながら手にしていたものを背後に隠した
「何してたのよ今?」
「えっ?いやっこれは別に」アセアセ
華風流が怪しんだ目で問うと疾風は冷や汗を浮かべる
「あー!疾風ちゃん2人の胸やパンチラの写真撮ってるっす!?」
「ばっ!?は、華毘!?」
だが不覚にも背後から画面を見た華毘によって何を隠したのかがバレてしまった
「…って、あんたは何やってんのよ!?」
「ほげっ!?」
緊張感張りつめるこの場にて疾風がスマホでムフフな写真を撮っていたことを知って華風流がツッコミをかます
「…この手ごたえ、お前は何者だ?」
「……っ」
「答える気はないか。では力ずくで!」
女性から何かを感じ取ったかぐらが問いただすも彼女は無言のまま口を開こうとしない
その気ならとかぐらが実力行使で口を割らせようと身構える
「っ……新手か?」
「えっ?」
緊迫する状況下の中、疾風がおもむろに口を開いた時だった
「お迎えに上がりました」
「い、いつの間に!?」
「気配は感じなかったわよ!?」
いつの間にか女性の前に跪きながら現れた月光と閃光を前にした一同は驚きを隠せなかった
「ささ、こちらを羽織りください」
困惑している疾風たちを他所に月光が女性に新しい羽織り物をかける
「…かぐらさん」
「んっ?」
「私が何者なのかを知りたくばシノビマスターズに参加することですね」
ここにきて女性は自身の正体が何か知りたいという疑問の答えを餌にかぐらへシノビマスターズへの参加を促していた
「では、私たちはこれにて失礼します。ご参加をお待ちしております」
「まて」
「なんでしょう?」
参加することを待っていると言ってこの場を去ろうとする女性をかぐらが呼び止める
「お前…名前は?」
「それくらいなら教えて差し上げましょう。我が名は…”雪不帰”」
「雪不帰…その名、覚えたぞ」
「…ふっ」
かぐらに名を尋ねられた女性は自身を雪不帰と名乗った
そして雪不帰は月光と閃光とともに一瞬にしてこの場から消え去ってしまうのだった
「かぐら大丈夫か?」
「怪我してないか?」
「痛いところあったら言ってほしいっす!」
「大丈夫だ。特に問題はないから安心しろ」
不安そうに尋ねる面々にかぐらは大丈夫だと言い聞かせる
「…疾風、さっきの話どう思う?」
「ふぅ~ん。正直な話し、胡散臭さしかねぇな。蓮華たちや奈楽は当然としても俺とてこの数百年の間にそんな大会があるなんて話しは聞いたことがないからな。それに、なんだか妙なことになりそうだと俺の勘が囁いてやがるしな」
「…シノビマスターズ、か」
長年封じられていたかぐらはおろかここにいる全員すらシノビマスターズの詳細を知る者はいなかった
雪不帰たちが何を企んでいるのか一同は考えを巡らせていたのだった
♦
かぐらたちが雪不帰たちと接触をしていた頃のこと、温泉施設を満喫した月閃女学館と紅蓮竜隊の面々は楽しい思い出を胸に解散することに
先に紫苑たちは学館に帰っていき、紅蓮竜隊のほうも帰り準備を整えて出入り口で待ち合わせしていた
「遅いわね光牙くん?」
「確かにそうだな?」
「ししょー、まだ着替えに時間がかかっているのでしょうか?」
「いやいや、光牙に限ってそんなことはないでしょ?」
入り口前で光牙が来るのを焔たちは待ちわびていた
するとその時だった
ピロリン♪
「あら、LINEだわ?……って、光牙くんからだわ」
「なに?」
春花のスマホから着信音が鳴ったので確認してみると送り主は光牙だった
「光牙さんからLINEが来たんか?」
「えぇ、ふむふむ…どうやら”急に用事ができたから”先に帰っておいてほしいって」
光牙から送られたLINEの内容を確認するに自分は後で帰るから先に帰宅しろということらしかった
「用事って急だな?」
「…まぁ、仕方ないわね。光牙くんがそういうなら私たちは先に帰っておきましょう」
「そうですわね。ならば光牙さんが帰ってくるまでに美味しいお料理をご用意しておきませんと」
「じゃあみんな、行きましょうか」
焔たちは光牙から送られてきたLINEの指示に従い、アジトに向けて温泉施設から出発するのだった
♦温泉施設屋上
「…さて」
スマホの画面を確認すると光牙はそれを懐にしまい、視線を向ける
光牙が振り向いた方にはこの屋上で一番高い位置にある貯水タンク
さらにその貯水タンクの横に座して光牙のほうを睨みつける人影があった
「よもやこうも早く、それもそっちから顔を出してくれるとは思わなかったぞ、なぁ……”佐介”?」
尋ねるように声をかけた光牙の口から出たのは人影の正体である佐介に
その問いかけに反応したのか腰掛けていた身を起き上がらせ立ち上がる
「佐介、お前にはいろいろ聞きたいことが山のようにある。話してもらうぞ」
互いに目と目を向けあいながら光牙は佐介にいろいろと尋ねることがあると主張した
「光牙くん。あなたをシノビマスターズには参加させません」
しかしそれを無視して佐介は光牙をシノビマスターズには出させないと告げる
「ほう、随分な物言いだな?この俺に指図しようとは……まぁこちらとしても参加の有無に関していうなら別にそれでも構わん。半蔵の奴らを助けるという点についてはお前が助けるのが筋ではあるからな」
すると光牙は参加事態に関しては佐介の希望通りにしても構わないと言った
元々自分たちや月閃が参加しようとしたのも長い付き合いの友人関係である半蔵の面々を助けようと思ったからだ
「飛鳥からだいたいの話しは聞いている。お前はお前で何か目的があるのだろうことは理解している。ただ一つだけ聞かせろ。今お前は何を成そうとしている?」
光牙は事情を知っていて尚、佐介に問いかける
「僕はこのシノビマスターズを勝ち抜く、例え1人でも…どんな手を使っても!」
「――っ!」
その問いかけに佐介が答えると同時に光牙に攻撃を仕掛けるのだった