飛鳥の元に佐介を連れ戻すべく光牙は戦いに身を投じた
ドゴォォォオオオオオン!!
「~~~――っ!!??」
「――――っ!」
しかしそんな奮闘も佐介の繰り出した真・天轟拳の一撃が全てを奪い去った
ドドォォォォン!!
渾身のアッパーカットにより宙を舞っていた光牙が直後に地面に勢いよく落下した
「――っ」シュン!
佐介の一撃によって光牙は戦闘不能となり、転身もそれによって解けてしまった
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「…ごふっ!?」ゴボッ!
ダメージが抜け切れていないのか光牙は苦しそうに口から吐血する
「ぐぅ――~~っ!!」グヌヌ
「…っ?」
「――さ…っす、け―っ」
身体に走る激痛に耐え、口元を血で染めながらも光牙は佐介に視線を向ける
その時、光牙の視界に映ったのは
「――っ」
どこか悲しみを抱えた佐介の顔だった
「うっ――……」ボトッ
佐介のその顔を目にした直後に光牙の意識は途切れたのだった
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「ん…んん……―っ!?」バッ
意識を失っていた光牙が目を覚ます
「光牙くん、よかった気が付いたのね!」
「は……春花?」
するとその直後、目覚めた光牙に声をかけたのは春花だった
「みんな来てー!光牙くんが目を覚ましたわよー!」
「なに、本当か!」
「本当ですか春花さん!」
「光牙が起きったって!」
春花が光牙が意識を取り戻したことを呼びかけるとそれを聞きつけた焔たちが一斉にやってくる
「うわーん!ししょー!!」ばっ!
「おおっ!?」
「よがっだ、よがっだでず~!!」
「愛花…あぁ、すまない」
さらにその呼びかけに一段と反応を示したのは愛花であり、目を覚ました光牙に思いっきり抱きつく
見ると顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていたが光牙はそれほどまで自分を心配していたのかと
頭を撫でながら感謝の言葉を送った
「…落ち着いたか?」
「ぐすん…はい!」
数秒間、落ち着いた様子を見せた愛花に声をかけると泣きじゃくっていた顔を両手でこすりながら笑顔を浮かべてくれた
その光景に焔たちは少しほっこりした気持ちになった
「しかしわしらと別れてからいったい何があったんや光牙さん?」
「――っ」
場が落ち着きを取り戻したタイミングを見計らったように日影が光牙に声をかける
「わたくしも知りたいです。きちんと説明してください、わたくしたち傷だらけで倒れている光牙さんを見つけた時は本当、心臓が止まるかもと思ったんですからね」
「まさかあたしが忘れ物を取りに行ったことでこんなことになるなんて思いもしなかったよ」
話しによると未来が忘れものをしたと言うことで施設に戻った際に駐車場にD・ホイールがまだ置かれていたことに気づき、あたりを探してみたところ
屋上にて倒れている光牙を見つけたとのことであった
皆、光牙のそんな姿を目にしたものだからかなり焦ってしまっていたのだと心境も語った
「すまない、迷惑をかけたな」
「気にするな。だがお前ほどの奴がやられるなんて今でも驚きだぞ。いったい誰がこんなことを?」
光牙の強さはここにいる誰もが知っている
その光牙が倒されたとすれば相手は相当の手練れだと全員が思っていた
「実は……あの時、俺は”佐介と一戦交えていた”」
「「「「っ!?」」」」
「さ、佐介と一戦交えていた?ど、どういうことだそれは!?」アセアセ
直後、光牙の口から語られた思いもよらぬ返答に焔たちは驚愕する
困惑している焔たちも光牙は事の顛末を話して聞かせる
あの時、自分が気配を感じ、1人残り佐介と接触をはたしていたこと
いつもと様子の違う佐介と対話を試みるも決裂し、戦闘に発展したこと
激しい戦闘の末に惜しくもやられてしまった事などを皆にすべて伝えた
「なるほど。私たちが帰っている間にそんなことがあったのか」
「光牙さんの言うことですから噓偽りはないのでしょうがまだ未だに信じられませんわね」
「確かに……まさかあの佐介がね」
話を聞き終えた一同は佐介が光牙を襲い、重傷を負わせたという事実に驚きを隠せずにいた
「でも光牙くんが目覚めてくれてホッとしたわ、けれど光牙くんがこの状態となるとシノビマスターズへの参加は無理ね」
「うん。確かにそうした方がいいわね」
「仕方ありませんわね」
「シノビマスターズは辞退するしかないわね」
光牙が負傷したことにより春花たちがシノビマスターズの参加を辞退する方向で話しを進める
「お前ら弱腰すぎるぞ!」
そんな彼女たちに焔が異議を唱えながら喝を入れるかのように物申す
「けれど焔ちゃん。光牙くんが参加できない以上うちはその分かなり戦力不足になるわよ?」
「うちには愛花もいるだろ!」
愛花に代行として参加してもらえばいいと焔は提案する
「私は構いません。もしそうならししょーの分まで頑張りますよ!」フンス
話しを聞いていた愛花もやる気はあった
「でもね月閃女学館には紫苑くんが、蛇女子学園には相馬くんがいるわ、いくらここ最近愛花ちゃんが強くなってるとは言っても流石にあの二人がいる戦力差を埋めるにはあと一押し足りないわ。残念だけど諦めなさい」
「ぐっ、ぬぅぅ~」
あれやこれやと意見をいう焔だったが、その度に春花に指摘されてしまい、ついにはぐうの音も出なくなってしまった
「…焔、悪いが俺も今回のシノビマスターズの辞退の件には賛同だ」
「なっ、光牙まで!?」
ここで焔はまさかの光牙までもが賛同側になっていることに驚いていた
「光牙、お前までそんなこと言うのかよ。なら飛鳥との約束はどうするんだよ!あいつは私たちが仲間たちを助けることを信じているんだぞ、お前はそんな飛鳥の想いを踏みにじれって言うのか!」
「焔ちゃん落ち着いて!」
シノビマスターズに参加しなければ半蔵学院の面々を助けられないこと、そうなれば飛鳥と交わした約束をたがえてしまうことになる
そう考えると焔は冷静ではいられなかった
春花が宥めるのも構わずに必死になって抗議しようとしていた
「…焔、何か勘違いしていないか?」
「感、違い?」
するとそんな焔に対して光牙はやれやれと言った顔を浮かべながら口を開く
「なにも俺はシノビマスターズに参加しないと言っただけで”何もしない”とは一言も言ってないぞ」
「えっ?」
「シノビマスターズに参加せずとも方法はまだある…俺たちは俺たちのやり方であいつらを助けようじゃないか」
何か策を考えている様子の光牙はふっと笑みをこぼすのだった